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[2歳馬総まくり・2002年夏]

横手(以下、横)毎年恒例の二歳馬診断です。
エアトゥーレを筆頭に、毎年数々のヒットを飛ばしてきたのですが、
去年は生産者一押しのエンドレスワンダーが2戦未勝利。
僕の推したビーポジティブは未出走ということで、もうひとつの結果でした。
いや、さんざんな結果と言うべきか。

名前の出せない生産者(以下、生エンドレスワンダーは走る気が全然ないんだもんな。参ったよ。

 でも、評判の高かったファビラスキャットをばっさり切ったのはさすがでした。

 お母さんが走った馬だから、人気になってしまうのはしようがない。
だけど、初仔というのはいろいろ難しいからね。

 その替わりといってはなんですが、
今年のファビラスラフイン(=シュペリユール)はかなり良いと思うんですけど。
ちゃんと「走るサンデーサイレンス産駒」の形をしています。

 兄弟が全然違うタイプに出ることはしょっちゅうあることだからね。

 血統だけだと、全きょうだいって同じ評価になってしまうじゃないですか。
エトスは馬体を見ているわけだから、
きょうだいできちんと上げ下げをしてあげることが大事だと思います。
とりあえず、シュペリユールは「上げ」ということで。

 今年はツィンクルブライド(=ラヴァフロウ)も良いね。
ようやく走る子を出した、という感じだと思う。
リファール独特の首が窮屈なところが伝わっているから、距離に限界はありそうだけどね。

 極め付きの良血馬・ダンシングオンはどうでしょう(ダンスインザダーク、ダンスパートナーの全弟)。

 できればノーコメントにしたい。

 ダメですか。

 いや、ダメとは。
これから馬が良くなってくる可能性はあるし、またそれが良血の良血たる所以だから。
だけど、飛節の形に難があるので、トモの部分に筋肉が乗ってくるかというと、多いに疑問が残る。

 メタメタの評価ですね。
もう一頭評判になっている母アドマイス(=ブラックカフェ)はどうでしょう?
デビュー戦のブラックカフェ
 サンデーの良いところは出ていると思うよ。首差しとか、顔つきとか。
線の綺麗な馬で、跳びも綺麗なはず。ただし、なにかワンパンチ足りない気がする。

 僕は好きですね。現段階で良すぎるのが心配になるくらいで。

 サンデーサイレンスの中では、
今年のナンバーワンは母パンパードスター(=キーファクター)で決まりだろう。

 外国産として走ったシルヴァコクピットの下ですね。
サンデー産駒にしては、四肢が短めで重心の低いタイプに見えますが。

 凄いパワーを感じるね。ハミを「グッ」と噛んで引っ張り回していく…、というイメージかな。
とてつもない大物、それこそアグネスタキオン級の可能性がある。

 今までのサンデー産駒であまりいなかったタイプですね。
この重厚さは母父のスタードナスクラから来ているんでしょう。
はまれば凄いことになりそうですが、
僕としては旧来型のサンデーを指名しておいた方が安全だと思います。
そういえば今年はエアグルーヴの初仔(=アドマイヤグルーヴ)もいますが。2億3千万の馬です。

 繋ぎの柔らかさはさすがだな、と思う。
だけど背中の硬さがどうにもいただけないな。収縮しきれないだろう、これでは。

 なるほど! この馬、叔母さんのマリーシャンタルにそっくりなんですよ。
マリーシャンタルも繋ぎが柔らかくて、クモズレしそうなくらいなのに、
でも好走するのはダートばかりだったんですよ。たぶん背中に問題があったんですね。

 品があるし、けっして悪い馬ではないんだが、そういうアンバランスな面はある。

 サイレンススズカの近親になる母ワキアオブスズカ(=スズカドリーム)はどうですか。

 パスだな。この膝から下の短さを見せられると、ちょっと食指が動かないよ。
いい筋肉をしているから、ある程度動けると思うけど、いかんせん完歩が小さいからね。
脚元に負担が掛かる危険性が高い。

 ダービー馬タニノギムレットの下(=タニノバラライカ)もいますが。

 良い馬ではあるよ。でも、兄以上ってことはないな。

 ここまでサンデーサイレンス産駒を中心に見てきたわけですが、それ以外でなにかいましたか?

 今年はダンスインザダーク産駒がかなり良いね。
中でもプリティロマンサーは素晴らしい。バランスが良いし、首差しも良い。
完璧だ。成長してくるだろう。種馬よりも良くなるかもしれない。
それから、母ブリリアントベリー(=アドマイヤベリー)もなかなかだ。
確実に走ってくるだろうね。

 去年はたしか、バブルガムフェロー産駒が走る、と言っていたような気がしますけど。

 トモの甘さに泣く子が多いんだよ。
当然、ダートも苦手だから、ひとつ勝つのに苦労することになる。
今年の産駒では、母ダイナクラシック(=ゼンノジャンゴ)が良いだろう。
この馬は確実にスピードはあるよ。
胴伸びが物足りないから、むしろ短い距離の方が合っていそうだ。

 サンデーサイレンスの二世種牡馬も勝ち組と負け組に分かれてきそうな気配ですね。
僕が今年注目しているのは、母父サンデーサイレンスです。

 サンデーサイレンス産駒っていうのは腹袋が薄いから、
繁殖牝馬としては乳量の面でハンデを抱えている。
そういう意味で、繁殖の体ができてくる二年目の方が期待できるのはたしかだ。

 僕の一押しは、コマンダーインチーフ×マジックキス(=ハグアンドキス)です。
ゴツすぎず、柔らかみがあって、コマンダーとサンデーの良いとこ取り。
全兄は未勝利を勝つのに苦労しましたが、この馬は牝馬に出たので切れ味もありそうです。

 ゴムマリのようなサンデーサイレンスと、
ゴツめの種牡馬との掛け合わせというのは正解だと思うよ。

 新種牡馬ですが、タイキシャトル産駒はどうでしょう。

 産駒の粒は揃っているね。ただし、その中で「これ」という馬は見当たらなかったな。
中ではミドルフォークラピッヅ(=サンレイラピッヅ)が良さそうだ。
だけど、2勝したあと苦しむことになりそう。

 母ニシノフラワー(=ニシノハーロック)というのがいますね。
最優秀短距離馬同士の配合です。

 肉付きが良いから見映えはするよね。スピードはありそうだ。
だけど、線が細いのがどうしても気に入らないんだよな。

 前の逞しさに比べて、後ろがちょっと弱い気もしますね。
ダンチヒが入る馬にありがちなんですが。

 全部を含めての一押しということでは、外国産馬になるけど、
シーキングザゴールド×イグジューベリーンだね。これが一番。

 僕も好きです、これ。素晴らしいですよね。

 完璧。ケチをつけるところがない。なによりも首差しが素晴らしい。
NHKマイルはもちろんだけど、2000くらいまではいけそうだから
クラシックも考えて良いんじゃないか。

 ただし不安もあって、全兄にグラスグラードっていうのがいたんですが、
一時はグラスワンダーの後継馬として期待されながら、
最終的にはダートの短距離馬に落ち着いてしまって、
準OPを勝つのにもえらい苦労した、ということがありました。

 シーキングザゴールド産駒というのは、上体の肉付きが立派すぎて、
それが脚元への負担になってしまって大成を阻む、というケースがほとんどなんだ。
この馬は骨量はあるけど軽そうな馬だから、その点もクリアーできそうだ。

 なるほど。兄はデビュー戦から500キロを超える巨漢馬だったんですが、
芝の大物を目指すならば馬体重は重すぎない方が良い…、ということですね。

 それからおそらく、厩舎も替わるだろうから。
グラスグラードの尾形厩舎というのは、伝統的に馬を太めに作るところだからね。

 ドバイミレニアム級の夢を見せてもらいたいですね。

2002年5月29日(『競馬王』2002年7月号掲載)