あとの祭り重賞回顧アーカイブ |
●朝日杯フューチュリティステークス今年もまた、スピード馬がクラシック候補を粉砕する結果になった。上位2頭は小倉2歳ステークスの1、2着が入れ替わっただけだし また京王杯2歳ステークスの連対馬による1、3着でもあった。 このレースは、レベルが高い=時計が早いマイルの競走なのだから 中距離馬よりマイラーの方が走りやすいのは、当たり前のことだ。 必要以上にクラシック候補を買いかぶるのは、マイラーに対する軽視の表れだと思う。 もちろん、レベルが高いと言っても2歳馬のレースだから フジキセキみたいな早熟の中長距離馬がマイラーを蹴散らすようなことはあるだろう。 しかし、フジキセキもバブルガムフェローも3歳の春に故障しているわけで 早熟の代償は覚悟しなければならない。 メイショウボーラーは好ダッシュから離して逃げたが 最初は少し鞍上と喧嘩する場面も見られた。 前走までの福永騎手よりもペリエ騎手の方が当たりが強いからだと思う。 しかしペリエ騎手だからこそ、そのあと馬を抑えることができたのも事実だ。 差されはしたが、坂の中山で最後の1Fが12秒2だからけっして止まったわけではない。 持ち味のスピードは存分に発揮しており、ペース判断はむしろ完璧と言うべきだろう。 敗因のひとつは外枠だろうが、なにより中山マイルを人気で逃げ切るのは至難の業だ。 京都や阪神ならば惰性で押し切れるが、中山では坂上で一波乱がある。 ダービーを逃げ切ったアイネスフウジンですら、朝日杯では差して勝っている。 急坂の中山に2歳戦のゴールが設定されていることの意味を、軽く考えるべきではない。 アポインテッドデイは一番の好スタートを決めて内の番手を進んだが 直線の坂に差し掛かるとフラフラしていた。 しかし、止まるかと思わせて、最後はまた脚を使っているのだからたいしたものだ。 ストライドが大きな馬は、ハイペースの縦長になるとここまで有利なのである。 体高のわりには薄っぺらな身体をしていて、これから実が入ってくるものと思われるが 持っている血が古くさいものばかりなので、どれだけ肉がつくかは心許ない気もする。 じつは伸びしろはそれほどないという可能性もある。 どちらにしても、短距離〜マイルのスタミナ馬であるという大枠は変わらないはずで 脚質の違いにかかわらず「マチカネホクシンみたいだ」という評価は われながら的を射ている自信があるが、どうだろう。 フォーカルポイントは直線で素晴らしい脚を使って追い込んだが4着に終わった。 たしかにスタート直後に不利はあったが 腰が甘いから不利を回避できないのだ、とも考えられる。厳しい言い方ではあるが。 甘さにも繋がる身体の柔らかさを利用して大きな動きを産み出すデザインになっていて 本質的には小回りマイルの忙しい競馬はあまり向いていない。 しかしながら、不利を受けなければ1分33秒台に突入していた可能性は高く 脚質的な制約はあるものの、この馬もかなり強いと思う。 鞍上が思い切った騎乗を好む人だということもあって これからも届くか届かないかというスリリングな追い込みで楽しませてくれるだろう。 コスモサンビームの最大の勝因は内枠でもバルジュー騎手の好騎乗でもなく 馬がどんどん良くなっていたことだ。これに尽きると思う。 食べて稽古してレースをして…、というサイクルを回すたびに着実に成長していって いつの間にか、阪神で完敗したキョウワスプレンダと 小倉で完敗したメイショウボーラーを追い抜いてしまった。 もちろん、G1を獲るだけの素質を秘めていたのはたしかだが それが開花したのは、厳しい稽古に耐えることができたからであり つまりは競馬という営みが好きだったからだと思う。 パドックの格言で「強くなる馬は二戦目に変わる」と言うけれど これはつまり、競馬を理解して前向きに取り組める馬かどうかが 中間の過ごし方を通じて二戦目の馬体に表れるからだと思う。 人との協力によって自ら成長していくところは競走馬の最大の美点のひとつだ。 この真実を最近見せつけてくれたのが、JCを勝ったタップダンスシチーだったが あの馬もコスモサンビームも同じ佐々木晶三厩舎の所属馬であることは もちろん、たんなる偶然ではないはず。 |