あとの祭り重賞回顧アーカイブ |
●東京スポーツ杯2歳ステークス東京スポーツ杯2歳ステークスは、2歳の中距離重賞でありながら、それほどスローにはならない傾向があります。今年も、前半の入りが3F35.5秒→4F47.5秒でした。先週の京王杯2歳ステークス(芝1400M)が3F35.4秒→4F47.4秒でしたから、短距離戦とほとんど変わらないラップだったわけです。レースの展開としては、追い込み馬に有利な流れになりました。掲示板に乗った馬のうち、エアサバス以外は、3〜4コーナーの中間では最後方を走っていた馬たちです。直線に入ってから、前と後ろがそっくり入れ替わったのですから、タフなレースだったといえます。 だからといって、彼らに展開が向いたのか? というと、それはちょっと違います。他の馬たちが動いた3〜4コーナーで、じっくり我慢をしたからこそ、脚を温存することができたからです。つまり、展開が向いたのではなく、展開を呼び込んだのです。 他の馬が動いているところでつられずに、きちんと我慢ができたのは、ここに至るまでの経験があればこそです。追い込んできた4頭はいずれも、500万、オープンでの好走実績があった馬たちでした。 1番人気のエアサバスと3番人気のメガトンカフェは、動くべきでない3〜4コーナーで動いてしまい、最後で甘くなってしまいましたが、彼らは両方とも1戦1勝というキャリアでした。ただし、レース数が少ないのが必ずしも悪いわけではありません。エアサバスの初戦は自分のペースで行っての逃げ切りでしたし、メガトンカフェの初戦は追走に苦労してからの追い込みでした。 つまり、両馬とも「我慢して差す」という中距離戦での作法を教えてもらえないままの重賞挑戦だったのです。敗因を突き詰めるならば「準備ができていなかった」ということになるでしょう。ちなみに、両馬とも今走からハミを「リングハミ」に替えてきました。馬を抑える力が強いハミですが、これで経験不足を補おうとするのは、いかにも付け焼き刃だったような印象を受けます。 勝ったスムースバリトンは、ここまで1勝3敗という成績でした。マイネルアドホック、マイネルレコルト、ショウナンパントル、ニシノドコマデモという馬たちに先着を許していて「勝負付けは終わった」かのような見方をされていましたが、ところがどっこい。使われるたびに馬体がどんどん良化していって、2度目の重賞挑戦で一気のブレイクを果たしました。 「負けを乗り越えて這い上がる」という成長曲線は、サンデーサイレンス直子ではあまり見られないもので(唯一ステイゴールドがそうだった)、ステイヤーに特徴的なものだと思います。これがスペシャルウィーク産駒初の重賞制覇ですが、この馬の走りが父の種牡馬としてのモデルケースになるでしょう。つまり「緩い流れの前哨戦で負けて、本番の底力勝負で巻き返す」。これです。ダンスインザダーク型の「本番で穴を開ける種牡馬」と、頭にインプットしておきましょう。 |