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Q1 借金があるので、不動産を妻の名義にしておきたい . Q2 抵当権設定登記の登記原因について . . Q3 破産登記のない不動産についての破産管財人からの売却の登記の 受否について . Q4 内縁解消と財産分与による所有権移転登記について . Q5 古い抵当権を抹消したい . Q6 死因贈与と遺贈の違いについて . Q1 借金があるので、不動産を妻の名義にしておきたい 多重債務を負っているので、不動産の私の持分を贈与で妻に譲渡したいと思って います。妻名義に登記しておけば、不動産を差し押さえられる心配はないでしょうか。 . A1 この贈与という債務者の行為は、債権者の債権を害することを知ってしたものと 認められるので、債権者は民法424条の詐害行為取消権を行使して、詐害行為取 消請求の訴えを起こし、贈与契約の取消等を請求できます。この勝訴判決が確定 すれば、原告は債務者に代位して単独で所有権移転登記の抹消登記申請をする ことができます。形式的に離婚して夫の持分を財産分与で妻に譲渡するのも同様 です。もちろん、裁判の結果がどうなるかは裁判所の判断ですからなんとも言えま せんが、このように登記名義だけを変更する行為は、いたずらに法律関係を複雑に するだけで、債務者にとって何のメリットもありません。不動産の売却等も視野に入 れ、債務をいかに整理していくかを考えるべきだと思います。 . . Q2 抵当権設定登記の登記原因について 登記簿の乙区の抵当権設定登記の登記原因が「年月日保証委託契約による求償 債権年月日設定」となっている場合がありますが、どういう意味なのか教えてくだ さい。 . A2 債務者=設定者(不動産の所有者)としてお答えします 通常の、債権者(銀行)と債務者の直接の債権を被担保債権として抵当権設定登 記がなされた場合は、登記原因は、「年月日金銭消費貸借年月日設定」と記載さ れます。登記原因が「年月日保証委託契約による求償債権年月日設定」となって いる場合は、債権者(銀行)と債務者の抵当権設定契約ではなく、債権者、債務者、 保証会社の3当事者関係のうち保証会社と債務者間の保証委託契約による求償 債権を被担保債権とする抵当権設定契約です。一見複雑な関係に思われますが、 個人の債務者・保証人・債権者の関係を思い浮かべればわかりやすいと思います。 債権者・債務者間では金銭消費貸借契約が、保証会社・債務者間では保証委託 契約が、そして、債権者・保証会社間では保証契約が締結されています。もし、債 務者が債務を履行できなかったときは、保証会社が債務者の代わりに債権者に弁 済することになり、その代わりに保証会社は、債務者の不動産に設定した抵当権 を実行し債権を回収することができます。 . . Q3 破産登記のない不動産についての破産管財人からの売却の登記の受否に ついて 破産会社所有の不動産の登記簿に破産の登記がされていない場合でも、破産管 財人を登記義務者として、任意売却による不動産の所有権移転の登記をすること はできますか? . A3 できます 実務家の機関紙、登記研究545号に次のような質疑応答が載っていますが、法 務局の登記実務もこれにしたがっています。 . (要旨) 破産管財人が任意売却した不動産の所有権移転登記の申請は、当該不 動産について破産の登記がされていない場合であっても、受理される。 . 問 破産の登記がされている不動産と破産の登記がされていない不動産を一括し て任意売却したとして、破産管財人から所有権移転の登記が申請されたが、破産 法によれば、裁判所は破産財団に属する権利で登記したものがあることを知った ときは遅滞なく破産の登記を嘱託しなければならないとされているので、破産の登 記のない物件について破産管財人が所有権移転登記の申請をするには、その前 提として破産の登記がされていることを要するものと考えますが、いかがでしょうか (管財人A) . 答 破産の登記は、取引の混乱等を防ぐための報告的な登記にすぎないので、 所問の所有権移転登記の申請は、破産の登記がされていない場合であっても受 理されるものと考えます。 . . Q4 内縁解消と財産分与による所有権移転登記について 内縁関係を解消する場合でも、財産分与による所有権移転登記をすることができ ますか? . A4 できます。 内縁解消の場合においても財産分与の請求(民法768条)は認められる(最判昭 和33・4・11)ので、そのような場合であることが判明すれば、財産分与を原因と する所有権移転登記はできるはずです。 ※昭和47年10月20日民事三発559号回答は、判決による場合における財産分 与による所有権移転登記を認めていますが、これは判決による場合に限定する 趣旨ではなく、登記原因証書として財産分与の協議書が添付され、内縁解消に よる財産分与であることが書面上認定できる場合であれば、財産分与による所有 権移転登記を認めてさしつかえないと解されています。 . ※内縁離婚に基づく「財産分与」を登記原因として所有権移転登記を申請することの 可否について . 原被告は、事実婚関係にあった後、内縁離婚をした件につき「被告は原告に対し、 別紙目録記載の不動産につき、昭和 年 月 日財産分与を原因とする所有権移 転登記手続をせよ」との判決が下された場合、登記原因を「財産分与」として登記で きると考えるがどうか。 . (回答)貴見のとおりと考える。 . Q5 古い抵当権を抹消したい 土地を売ろうと思い登記簿謄本を取り寄せたところ、明治40年に設定されたと思わ れる債権額300円の抵当権が登記されていました。抵当権者の相続人について調 べてみましたがわかりませんでした。関係書類は残っていません。この古い抵当権 を抹消するにはどうすればよいのでしょうか。また、返済されたことが証明できない 場合、債権額の300円というのは、現在の貨幣価値に換算して支払うことになるの でしょうか。 . A5 古い抵当権の抹消登記は、登記権利者(所有者)と登記義務者(抵当権者の相 続人全員)の共同申請によってするのが原則です。しかし、ご質問のケースでは、 登記義務者が行方不明で、関係書類も残っていないとのことですので、このような 場合には、債権額及び弁済期までの利息、そして供託した日までの損害金を供託 所(法務局にあります)に※供託して、登記権利者が単独で抹消登記の申請をする ことができる特例が設けられています。具体的には、供託所に備え付けの「供託書」 に必要事項を記入し、債権額、供託日までの利息及び債務の不履行によって生じた 損害の全額に相当する金銭を添えて、債務履行地(抵当権登記名義人の住所地) に所在する供託所に供託します。 このとき交付される「供託したことを証する書面」を添付すれば、登記権利者が単独 で抵当権抹消登記を申請することができます。 . 債権額とは、あくまでも抵当権設定当時の債権額のことであり、現在の貨幣価値を 考慮する必要はありません。 . ※供託:お金を払いたくても、相手が受け取らない・居場所がわからないなどの場合 に、国(供託所)が代わりに受け取ってくれて、それで支払ったことになる制度 . . Q6 死因贈与と遺贈の違いについて 死因贈与と遺贈の違いや、税務上の取り扱いについて教えてください。 . A6 @死因贈与は契約であり、遺贈は単独行為です。 死因贈与とは、贈与者の死亡により効力が生じる贈与をいい、遺贈とは、遺言で 自分の財産の全部又は一部を処分することです。 . A死因贈与も遺贈も相続税法により、贈与税ではなく相続税が課税されます。 . 相続税法第1条 左に掲げる者は、この法律により、相続税を納める義務がある。 1.相続又は遺贈(贈与者の死亡に因り効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)に因 り財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所 を有するもの . B死因贈与は、生前に始期付所有権移転仮登記をすることができますが、遺贈者 の生前に、遺贈による所有権移転請求権仮登記はできません。 . 遺贈は、遺贈者の生前中はいつでも遺言の方式により取消すことができる(民法第 1022条)から、受遺者は目的物を取得する期待権すら有しない(最判昭和31.10. 4)。 . 死因贈与の取消しについては、判例は、遺贈と同様に贈与者の最終意思を尊重す べきであるという理由で、書面による死因贈与の取消しを認めています(最判昭和 47.5.25)が、契約である死因贈与を一方的に取り消すには、贈与者の最終意 思の尊重という理由だけでは不十分であるとする反対説も有力です。そして、最近 の判例の傾向を見ると、事実関係の如何によっては、贈与者が自由には取り消すこ とができない死因贈与もあることが示されており(最判昭和58.1.24)、遺贈の場 合とは異なり死因贈与の取消しには制限があることを明らかにしたものということが できます。 いずれにせよ、死因贈与の取消しの可否を巡っては、死因贈与の動機、態様、内容 その他諸般の事情を総合的に検討し、当該の死因贈与が取り消されても止むを得な いものかどうかを具体的に判断する必要があるとされて います。このように、贈与者はいつでも死因贈与を取り消すことができるとは限らない ので、死因贈与の場合には、受贈者のために所有権移転請求権保全の仮登記をす ることができるものと解されています。 また、死因贈与を後日贈与者が取り消したとしても、仮登記をした場合には、その仮 登記を抹消するには、原則として仮登記権利者(受贈者)の同意・協力が必要です。 つまり、簡単には抹消できないからこそ、遺言ではなく死因贈与「契約」がなされ、仮 登記まですることができるとも考えられます。 . C死因贈与も遺贈も、遺留分減殺請求(民法第1031条)の対象となりますのでご注 意ください。
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