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・相続人が外国人の場合の相続登記 . ・2人の相続人が権利証を別々に持てるか? . ・遺産分割協議の解除 . ・遺産分割協議の合意解除 . ・遺産の再分割の税務上の取り扱い . ・相続登記を省略して不動産を売却したい . ・登記原因が「錯誤」でも無効にならない? . . ・相続人が外国人の場合の相続登記 フィリピン人女性ですが、日本人男性と婚姻して日本に住んでおり、子供が1人 います。去年夫が死亡したのですが、夫の兄弟から、「子供は相続権があるが外 国人の妻は相続人になれない」と言われました。本当でしょうか。 . A 国籍が異なる当事者の相続については、被相続人(ご主人)の本国法(日本 法)によることになります(法例26条)。したがって外国人の相続人への相続登記 も、原則として日本人の相続登記の場合と同じです。国籍のいかんは相続になん らの影響を及ぼさず、相続人が外国人であっても何ら差し支えありません。相続 を証する書面として「妻」としての記載がされているご主人の戸籍(除籍)謄本を添 付し、住所証明書として、住民票の代わりに登録原票記載事項証明書を添付すれ ば、あとは通常の相続登記の場合と同様です。 . . ・2人の相続人が権利証を別々に持てるか? 父が亡くなり、母は既に他界しています。兄弟二人が父名義の不動産を共同相 続することになりましたが、権利証を別々に作っていただくことは可能でしょうか。 . A 登記実務の取り扱いでは、共同相続人中の一部の者の相続分についての みの相続の登記はできないことになっておりますので、登記済証(いわゆる権利 証)は1つしか交付されません。あらかじめ権利証をどちらが保管するかを決めて おくことをお勧めします。なお、売買による所有権移転登記で売主がAで買主が B、Cの場合には、1件目でBを権利者として所有権一部移転登記、2件目でCを 権利者とするA持分全部移転登記の2件の登記を申請すれば、別々に権利証を 持つことができます。 . ・遺産分割協議の解除 父の遺産である土地建物を、金銭債務負担付きで兄1人に取得させる分割協議 が成立しました。ところが兄が約束どおりに債務を払ってくれません。債務不履行 を原因として遺産分割協議を解除することができますか。 . A 認められません(最判平元・2・9) 遺産分割の合意は、通常の債権のように、債権債務を発生せしめ、その義務の 履行によって債務を消滅せしめるものではないので、債権契約に関する民法540 条以下の適用はありません。もし適用があるとすれば、遺産の再分割の請求を果 てしなく許さなければならないことになり取引の安全を害するからです。 . . ・遺産分割協議の合意解除 遺産分割協議を全員の合意で解除し、やり直すことはできますか。 . A できます。 我が民法は契約自由の原則を採用しており、その内容が公序良俗に違反しない 限りは有効、つまり、全員の合意さえあれば、遺産分割をやり直すことを、民法上 制限する理由はありません。 不動産登記においても、遺産分割協議書を添付してなされた相続登記を、錯誤を 原因として抹消し、新たな遺産分割協議書を添付して再度の相続登記を申請する ことができます。 . ・遺産の再分割の税務上の取り扱い 共同相続人ABCが遺産分割によりAを相続人として登記した不動産について、 錯誤により相続登記を抹消した後、再度遺産分割協議書を添付してBを相続人と する相続登記をする場合、贈与とみなされることはありませんか。 . A 贈与として扱われ、贈与税が課されます。 要するに、遺産分割協議の合意解除は、民法上は有効であるが税法上は無効と いうことです。対税関係においては、いったん有効に成立した遺産分割協議のやり 直しという観念は理論上成立せず、不動産登記において「相続登記のやり直し」が 可能であるとしても、それは従前の遺産分割協議により相続財産が確定した後の 資産の移転として、改めて課税処分を受けることになります。 したがって、単なる遺産分割のやり直しの場合には、※民法第909条(遺産分割 の遡及効)の適用はなく、やり直した時点から効力を生ずると考えるのが妥当であ り、分割後の相続人間の取引として扱われます。 . ※民法第909条 遺産の分割は、相続の開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。但し、第3者 の権利を害することができない。 . . ・相続登記を省略して不動産を売却したい 1年前に母が死亡し、相続登記をしないでいましたが、このたび売却することにし ました。この場合、「節税」のために、相続の登記をしないで母から買主に売り渡 したように登記することはできますか。 . A 被相続人名義の不動産の売買には、次の2通りが考えられます。 @被相続人が生前に売買契約を締結したが、所有権移転登記前に死亡してしまっ た場合 A被相続人死亡後、相続人への相続登記未了の間に、相続人が売却する場合 . @の場合は、被相続人の買主への所有権移転登記義務を相続人が承継してい るわけですから、相続の登記をすることなく、相続人全員が登記義務者となって 直接買主への所有権移転登記をします。これは相続登記を「省略」するわけでは なく、「登記義務者」は死亡した人ですが、「登記の申請」はその相続人が行うと いう形式をとるのです(不動産登記法42条)。 あなたはAに該当しますが、この場合には、いったん相続登記をした上で、相続 人から買主に所有権移転登記をすべきです。登記には実体を忠実に表すという 責務があるからです。 . 要するに、売買契約そのものが、死亡した人(被相続人)によってなされたか、あ るいは相続人によってなされたかのいずれかにより、相続登記が必要かどうかが 決まるのです。 . もちろん、法務局の登記官は登記申請について、提出された書面だけから形式 的に内容を審査しますので、質問の事例でも、売買の日付を被相続人の生存当 時にさかのぼって直接買主に所有権移転登記を申請すれば、問題なく受理され ますし、その結果なされた登記は、たとえ事実に反するものでも、無効にされると いうことはありません。 しかし、虚偽の登記をすることは、刑法157条の公正証書原本不実記載罪にあ たりますから注意してください。 . ・登記原因が「錯誤」でも無効にならない? 私の父が本年8月に他界し、遺産である土地建物について法定相続人である母 と私で話し合い、すべて私の名義にすることで遺産分割協議が成立し、10月に 登記が完了したところ、母がやはり遺産を自分の名義にしたいと言い出しました。 高齢(78歳)の母の要求を受け入れ、母の相続とすべく、錯誤の手続きを進めま したところ、司法書士の先生より、錯誤の証明を取らねば、贈与税がかかります と言われました。 分割協議のやり直しでは無く、錯誤でとお願いしましたが、それでも裁判所の証 明が必要になると税務署では言っていますとのことでした。どう理解したらいいの でしょうか、教えて下さい。裁判所に錯誤と判断してもらわなければ、贈与税が発 生してしまうのでしょうか? . A 「分割協議のやりなおしではなく、錯誤でお願いしました」とのことですが、一 度した相続登記を抹消してやり直すときも、更正の登記をするときも、登記原因は 「錯誤」という登記用語を使います。 ご質問は、「錯誤」であれば無効だから、最初の遺産分割協議は始めから効力を 有しないことになり、贈与にはならないのではないか、ということでしょうか。「錯誤 無効」という言葉がありますが、どのような場合に「錯誤により無効」となるのか、 民法のおさらいをしておきましょう。 . 法律用語辞典には、「錯誤」の意義として「表示上の効果意思に対応する内心的 効果意思が存在しないことを表意者自身が知らないこと」などと書いてあります。 . goo[国語辞典]三省堂大辞林第二版で調べると、次のように書いてあります。 . さくご【錯誤】 . (1)まちがい。あやまり。「―を犯す」「―におちいる」「試行―」「時代―」 (2)〔法〕 事実とそれに対する人の認識が一致しないこと。 . 民法に錯誤についての規定があります。 民法第95条 意思表示は法律行為の要素に錯誤ありたるときは無効とす但し表意者に 重大なる過失ありたるときは表意者自ら其の無効を主張することを得ず . 「要素」とは、表意者が法律行為(契約)の本質的部分としたもののことです。 錯誤(間違い、うっかり、勘違い)が無効とされるためには、 (1)法律行為の要素に錯誤があること (2)表意者に重大な過失がないこと が要件になります。 . したがって、、法律行為の要素の錯誤であって、且つ表意者に重大な過失が なかった場合でなければ、無効にはならないということになります。 . 遺産分割協議の無効は裁判で証明しなければなりません。司法書士の先生が 錯誤の証明が必要と言ったのは、正確には「法律行為の要素に錯誤があり、且 つ、表意者に重大な過失がなかったことの証明」のことです。税務署の言う「裁 判所の証明が必要」とは、遺産分割協議の無効確認の訴えを起こして勝訴し、そ の判決をもらってきてくださいということです。 |
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