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モーツァルト 交響曲 第35番 ニ長調 K.385 「ハフナー」 リスト ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調 ショパン ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11 演奏 マルタ・アルゲリッチ(pf)、アレクサンドル・ラビノヴィッチ(cond)、 シンフォニア・ヴァルソヴィア 録音 1999年5月14日 ポーランド国立歌劇場(ライヴ) CD番号 DICA-24021 |
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ついに入手した!という感じ。ヤフオクでは常に定価以上で取引されている逸品。それを中古CD店
で1500円で「帯付き美品」で買えたのだから、最初は目を疑ってしまった。果たしてそれだけの演奏
なのかどきどきしながら聴いたのだが、予想に違わず凄かった。買ってヨカッタ。アルゲリッチのピアノだけでなく、ラビノヴィ
ッチ指揮の「ハフナー」も名演なのだからこれ以上ない。従来の小奇麗にまとまった優雅なモーツァルトではなく、少々粗っ
ぽいが往年のカザルスの指揮のように男性的なモーツァルト。「ハフナー」という曲自体それ
ほど決して傑作ではないので(むしろモーツァルトほどの作曲家であってみれば駄作の部類に入れて
もいいくらい)、よほどの名演奏でないと聴く気が起こらないが、この「ハフナー」は何度となく聴
き通してしまった。 この演奏の良いところは、すべての楽器が鳴りきっている点とその推進力。モーツァルトだから第一ヴァイオリン を強めに、伴奏は控えめにということはしない。中低弦、時には木管も音を割って入ってくるので、 今までの「ハフナー」から想像する響きとは一味違う。テンポは速め。特に4楽章は「ここまでやるか」 というくらい速い。それでもアンサンブルは乱れていないし、両端楽章ではルフトパウゼ(ブルーノ・ ワルターがウィーン・フィルとの「40番」で使ったアレを想起させる)が出てきて面食らわせる。 いずれにせよこの演奏は従来の「ハフナー」像を一新させてくれることは間違いないと思う。 アルゲリッチのピアノについては、個人的により好きなショパンについて書こう。 この演奏については、デュトワ/モントリオールso.とのスタジオ録音も他を圧した名演だったが、今 回のライヴはそれと甲乙つけがたいものだ。どちらを上位に置くかはリスナーの好みといってもいいだ ろう。 だいたい指揮者にデュトワ、ラビノヴィッチを当てること自体、アルゲリッチらしいのだが、デュトワ が元夫ならラビノヴィッチは現恋人。どうしてもそれを演奏になぞらえてしまう。デュトワ盤が過去の 恋人との再会を冷静に距離を置いて見つめる眼差しなのに対し、ラビノヴィッチ盤は今まさに逢瀬を愛撫す るがごとき交わりといったら言い過ぎか。オケ伴奏に絡まりつくかのように紡ぎだされる鍵盤のタッチ は時に異常なほどに感情の高まりを見せる。例えば2楽章の中間部。何度もここだけ繰り返し聴い てしまった。「もうこれ以上我慢できない」とはこんな様子を言うのだろう。溢れんばかりの心情の吐 露がここにある。あるいは3楽章の冒頭、主題提示部のテンポのゆらめき。聴いているこちらがついて いくのが精一杯でくらくらしてしまう。ショパンのコンチェルトは若書きの作品であるだけに、完成度 はイマイチでもその分溌剌とした勢いがあったほうが好ましい。 現在廃盤なので入手し難いが、是非とも耳にして欲しい演奏である。 (2005.3.12記) |