氏名 大野嘉章
環境保全の見地からの意見
表7-2-4中の調査地点N-4は「2車線の主要区道練馬71号線」であり、「幹線交通を担う道路」に該当しない。これに「幹線交通を担う道路に近接する空間」に適用する環境基準値を適用したのは誤りである。N-4(0m,20m)調査結果 N-4(40m,80m)調査結果
表5-1(6)、表5-1(10)、表5-1(14)はN-3、N-4、N-5に対応する道路端より80m地点の調査であるが、現地で聴取できる音を観察するといずれの場所でも対象道路の「道路交通騒音が支配的な音源である」とは認められない。従ってこれら3点は「道路に面する地域」には該当せず、一般地域の環境基準を適用すべき場所である。これに「近接空間」の環境基準を適用したのは誤りである。
この誤りは、測定時に対象道路の道路交通騒音とそれ以外の騒音との区別をせずに測定した測定方法の誤りに由来する可能性が高い。このことから、80m地点及び40m地点の測定データを検証し、正しい測定が行われたかの見直しをすべきである。
前述1-1-1のとおり2車線の区道には近接空間の適用はないから、20m、40m、80m地点の調査結果に近接空間の基準を適用したのは誤りである。
それぞれの地点で測られた騒音について対象道路の「道路交通騒音が支配的な音源」であるか否かを吟味して「道路に面する地域」か「一般地域」かを判断してそれに対応した基準を適用すべきである。
N-5地点の対象道路は主要地方道441号線であるから「幹線交通を担う道路」であるが、2車線であるからその近接空間は道路端より15mの範囲である。20m、40m地点に近接空間の基準を適用したのは誤りである。
それぞれの地点で測られた騒音について対象道路の「道路交通騒音が支配的な音源」であるか否かを吟味して「道路に面する地域」か「一般地域」かを判断してそれに対応した基準を適用すべきである。
N-3地点の対象道路は環状8号線で4車線であるからその近接空間は道路端より20mの範囲である。40m地点に近接空間の基準を適用したのは誤りである。
この地点で測られた騒音について対象道路の「道路交通騒音が支配的な音源」であるか否かを吟味して「道路に面する地域」か「一般地域」かを判断してそれに対応した基準を適用すべきである。
本計画道路が完成し供用開始された後は「幹線交通を担う道路」でかつ2車線を超える道路となるから近接空間は道路端より20mの範囲である。その外側はそれぞれの地域区分に従った非近接空間としての「道路に面する地域」の基準が適用される。
本ケースについてNo.1-4地点に対応する「非近接空間としての道路に面する地域」の環境基準値は下表のとおりとなる。
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地点名 |
用 途 地 域 |
地域類型 |
昼 |
夜 |
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30mまで 第一種住居 |
B |
65 |
60 |
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30m超 第一種低層住居専用 |
A |
60 |
55 |
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西側 30mまで 近隣商業 |
C |
65 |
60 |
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西側 30m超 第一種中高層住居専用 |
A |
60 |
55 |
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東側 第一種中高層住居専用 |
A |
60 |
55 |
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第一種低層住居専用 |
A |
60 |
55 |
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第一種低層住居専用 |
A |
60 |
55 |
これをもとに、資料編p.65-68の騒音レベル予測結果分布図を検討すると、別紙図示したとおり背後地において環境基準を超える領域が存在する。
| No.1断面 | No.1H22年時点予測 | No.1H32年時点予測 |
| No.2断面 | No.2H22年時点予測 | No.2H32年時点予測 |
| No.3断面 | No.3H22年時点予測 | No.3H32年時点予測 |
| No.4断面 | No.4H22年時点予測 | No.4H32年時点予測 |
評価書案p.112では「予測した騒音レベルは、全ての予測地点において、いずれの時間区分も評価の指標を下回る。」としている。これは、予測地点として背後地を選定せず、道路端のみを採用していることに因っている。
注)分布図には左右の図の説明はないが、大気汚染の図の類推から、右側の図を道路東側、左側の図を道路西側と読んだ。分布図縦軸については何の説明もない。高さ方向として読んだが、その尺度については記述がなく検証できない。
車道と環境施設帯との間に遮音壁を計画し、No.3-4地点でその効果を見込んでいる。
遮音壁は、音源から受音点に直接音が到来しないという回折減衰を原理としてその効用が発揮される。受音点から音源が見えるような不連続な遮音壁は効果が著しく損なわれる。遮音壁は連続していて初めて効果を発揮する。
然るに、評価書案の回折効果は、自動車専用道のように遮音壁が連続している場合の計算と推察される(遮音壁の開口率に応じた計算がない)。
しかし、放射35号道路は自動車専用道ではなく、沿道敷地からのアクセス性が道路の効用の一部をなしている。直接の歩道の切り下げ、或いは副道の分岐などで遮音壁は細分化されてしまう可能性が高い。
遮音壁の物理的効用を活かそうとすれば、沿道利用という道路の社会的効用を犠牲にするという二律背反がある。実例を挙げて検証してみる。
1.本計画道路と同一幅員40mを持ち、その延長上に位置する放射36号道路練馬区小竹町付近では連続する遮音壁を採用した。その選択のために、地域住民と道路事業者との間で充分な議論が行われ、地域住民は、放射36号道路への車の直接乗り入れの利益よりも、道路騒音の回避を優先する選択を自らの意志で為すことができた。
2. 更にその延長上に位置する放射36号道路豊島区部分は同一幅員であるが平面道路の構造をとり、広幅員の歩道内に副道を呼び込む方式を採用している。この部分でどれほどの議論がなされ、地域住民がその道路構造決定にどれほどの関与をしたかは知らない。
この部分は今回提案の放射35号平面部分とほぼ同様の道路構造であるが、遮音壁はない。
ちなみに平成11年度の交通センサスによれば29000台/日の交通量がある。今回提案の評価書案から類推するならば、環境基準を上回っている可能性は高い。
3. 甲州街道では設置した遮音壁が住民の反対で撤去された。(資料別添)
4.国道43号線に設置された遮音壁ですら不連続が生じている。国が敗訴し騒音の環境基準の見直しの契機を作った国道43号線に作られた遮音壁は、車道と歩道との境界に高さ5m近いものとして設置された。この遮音壁すら沿道利用のために不連続を余儀なくされ、その音響的効果は減退している。
このような事例を見るならば、道路管理者が地域社会との合意を図らずに「よかれ」と独断した事例に成功例がないことがわかる。道路のあり方は多様であって、「どのような道路であって欲しいか」という決定は、道路事業者の都合だけで決められるものでなく、地域住民の決定への関与が必要不可欠であることがわかる。
そのためには、かかわりを持つ地域住民に対し、道路のあり方や沿道土地利用のあり方についての充分な情報を提供し、その意思決定をサポートしなければならない。
今回提案の遮音壁は、既存道路ですらその効用が実用的なものとして検証できていない。既存道路で検証できていない方法を計画道路に持ち込むことはあまりに乱暴である。そればかりか地域住民の選択をミスリードする可能性すらある。
後世社会に残す社会資本としての道路であるから、そのあり方について、地域住民の関与を求め、併せて応分の責任を持ってもらう姿勢が、道路行政に求められる。道路を、事業者から押し付けられた嫌悪施設におとしめないために、「私たちの道路」と呼ばれる道路を残すために。
添付した資料「1億円のムダ、国道遮音壁を半年で撤去」記事について
読売新聞2001年11月28日付記事です。
Yahoo!News2001年11月27日記事です。
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