文書のずさんな扱い
アセス評価書案に対して、都民や関係区長が環境局(アセス知事)へ意見書を出しました。その意見書の写しは事業者である建設局(事業知事)と練馬区長(関係区長)に送付されました。これはアセス条例定めに従った手続きです。当然文書番号も付された公文書です。それを受け取った建設局は、事案の軽重を判断した上で、1年以内に廃棄相当の文書と判断しました。収受文書を文書登録しませんでした。環境局から送られた文書に収受印だけが押されました。他方、練馬区長は道路完成後の事後調査の後1年間は保存すべき文書として収受をしました。収受簿に文書登録しました。
何が違うでしょう。
建設局ではこれらの文書を年度を越えては保存せず、廃棄処分にした筈です。都民や関係区長の意見に回答を出す前に意見そのものは処分をしてしまった筈なのです。しかし、現実にはそのようなことはある筈がなく、文書は保存されていると想像します。文書管理台帳に登録するのが面倒くさいから手を抜いただけでしょうか。
文書管理台帳に登録しないということは、公文書のインデックスに記載されないことを意味します。東京都建設局の意思決定に重要な文書である筈なのに、その文書の存在が都民の側から確認できません。意思決定の透明性という観点から問題を残します。
東京都個人情報保護条例第11条では、個人情報を外部に提供する際に、外部提供を受けるものに対して「個人情報の使用若しくは使用方法の制限その他必要な制限を付し、又はその適切な取扱について必要な措置を講ずることを求めなければならない」と定めています。
今回の場合個人情報(住所・氏名を記載した意見書の写し)を外部(建設局・練馬区長)に提供した環境局が実施機関になりますが、環境局はこの定めに従っていませんでした。
このことについて環境局は「個人情報の保護については、官公庁に対しては、個人情報保護条例について自明の理と判断してとくに注意は行っていませんが、民間に対しては口頭をもって注意していました」としています。
条例上「ねばならない」と定められていることについて「自明の理と判断してとくに注意は行っていません」とか「民間に対しては口頭をもって注意していました」は語るに落ちるということでしょう。今回過ちは都庁内で起きたのです。民間に対して無礼な先入観も見えています。条例を承知していたとはとても思えない個人情報の取り扱いだった、という他ありません。
アセス評価書案について練馬区長は意見書を出しました。この意見書はもちろん公文書として発議番号が取られていますから、発した練馬区の発議簿に記載され、市民は文書の存在を知ることができます。恐らく受理した環境局の側でも収受の文書登録をした筈なので、環境局側のインデックスを調べても文書の存在はわかるでしょう。
行政は文書で意思表示をしてその意思決定をしていきます。文書主義と言われる所以です。行政の意思決定の透明性は、このように意思決定にかかわる文書の存在の透明性に支えられています。
さて、練馬区は区長名の書面とは別に環境保全課長名で文書を出しています。この文書は文書番号を登録していない「事務連絡」という扱いになっています。しかし、文書の内容は近接空間の背後地の騒音評価の誤りを指摘し、遮音壁の非現実性を指摘していて、単なる事務連絡とはいえません。文書の相手先の環境局環境影響評価審査課長からも「事務連絡」で回答が戻っています。
このアセスに関心を持つ市民にとっては、このような意見の交換こそ知りたい情報である筈なのですが、この文書の存在は両者の文書インデックスにはありません。市民からは見えない文書のやり取りがあった、行政の意思決定に不透明さがあったといわざるを得ないでしょう。
今回、包括的に「放射35号道路汗す評価書案に関して、練馬区長及びその補助機関が、東京都に発した文書及びその回答のすべて」として開示請求したことで表に現われました。これは行政の意思決定の透明性という観点からは悲しいことです。
練馬区の「文書事務の手引き」では「事案の軽重にかかわらず、文書の存在や責任の所在が不明確となる事務連絡文書を作成することは認められません」とあります。
公文書公開制度を実のあるものとするためにも、文書の出入りの記録はオープンにして欲しいものです。
東京都の「文書事務の手引き」がどのように規定しているかは調べていません。
私が個人情報がどのように扱われたのか疑義を持ち環境局に紹介した文書の回答(H13/12/28)は文書番号がありませんでした。これでは折角回答をもらっても、後から文書の存在を否定されかねません。そこで、その点を指摘し、文書の適正な管理をを申し入れました(H14/1/8)。それ以後来る文書は文書番号が付されるようになりました
文書の存在を登録していなければ、文書開示制度は有名無実に陥ってしまいます。行政の意思決定プロセスの検証を保障するために、文書はすべて登録されるべきです。