その後

治療スケジュール

手術後の治療 スケジュールは病院の方針により、また患者の回復状態を見て医師の判断により、多少の違いがあると思いますが、参考までに私の場合を表にしました。

注:1)
表を見るには文字 サイズをなるべく、にしてご覧下さい。小にするには インターネット・エクスプローラの場合、メニューバーから「 表示 」をクリック、「 文字のサイズ 」から 「 小 」を選びます。

注:2)
バルーン・カテーテルを尿道に入れたままの歩行では、ビニール・チューブにつながる排尿バッグを身体から下げた状態で移動します。


治療スケジュール
項目治療および
処置
点滴検査安静度食事清潔方法排泄関係その他
手術前日下剤服用なしなし自由絶食シャワー自由手術説明
剃毛
手術当日手術前
浣腸排便
24時間
点滴
血液検査ベッド上安静絶飲食なしカテーテル
尿道留置
−−−
術後1日目膀胱洗浄朝、夜血液検査ベッド上
90度まで
おかゆなしカテーテル
尿道留置
−−−
術後2日目膀胱洗浄朝、夜−−−排便のみ
自力歩行
常食清拭カテーテル
尿道留置
−−−
術後3日目膀胱洗浄朝、夜血液検査歩行可常食清拭カテーテル
尿道留置
−−−
術後4日目膀胱洗浄朝、夜−−−歩行可常食シャワーカテーテル
抜去
肛門引き
締め運動
術後5日目−−−朝、夜血液検査正常歩行常食シャワー自由肛門運動
せず
術後6日目−−−朝、夜−−−自由常食シャワー自由肛門運動
せず
術後7日目−−−−−−血液検査自由常食シャワー自由薬の内服
開始
術後8日目−−−−−−−−−自由常食シャワー自由薬の内服
術後9日目−−−−−−−−−自由常食シャワー自由薬の内服
術後10日目−−−−−−−−−自由常食シャワー自由退院後の
生活指導
術後11日目−−−−−−−−−−−−−−−−−−午前中
に退院



ガン細胞検査の結果

手術の際に採取した前立腺、内腺部(中心に近い部分)組織の病理検査の結果については、術後七日目に医師からガン細胞は発見されなかった旨を知らされました。ヨカッタ!

注:)
一般に前立腺ガンは外腺部(外側に近い部分)に発生することが多いので、生検では主に外腺部の組織を採取しますが、勿論ガンの性質上どの部位にも発生します。私が前立腺肥大手術に踏み切った理由の一つは、削り取った内線部の組織検査を当然することも考慮したからでした。

退院後の療養

退院に際しては二週間分の薬を渡されましたが、感染症予防の抗生物質、胃の薬、整腸の漢方薬でした。それと共に医師からは以下の指示を受けましたが、その目的は感染症の予防と傷口からの出血防止でした。

  1. [水分] :傷口は尿が流れるところにあるので、きれいな尿を流すために、一日当たり千五百〜二千 C C の水分を採ること。

  2. [食事] :香辛料やコーヒーなどの刺激物やアルコール類は、炎症を悪化させるので避けること。

  3. [入浴] :熱い風呂や長風呂を避けること。血の循環がよくなり、出血しやすくなる。

  4. [排泄] :便秘になると、排便の際に腹圧が掛かり出血し易くなる。繊維質の多い食品を摂取し、起床時に冷水を飲む、腹部マッサージをするなどして便秘を避けること。

  5. [外出] :自転車やバイクは手術部位が圧迫され出血し易くなるので、医師の指示があるまで乗らないこと。また同じ姿勢で長時間過ごしたり、重い荷物の上げ下ろしも控えること。

  6. 「性生活」:完全に治るまで禁止。

リハビリ

医師の説明によれば
前立腺肥大手術の傷は前立腺の内側を広範囲に削ぎ落として出来た傷なので、盲腸などの縫合手術と異なり、回復に時間が掛かります。削ぎ落とした傷の全面に最初に「カサブタ」が出来て、そこに薄い皮膜が出来るのに約一ヶ月、完全な皮膜ができるまでに三ヶ月掛かります。

その間に無理をすると「カサブタ」が剥がれたり、薄い皮膜が破れたりして出血する場合があります。更に傷口から細菌が入ると、急性前立腺炎などの感染症を引き起こす恐れがあるので水分を十分に採り、排尿の回数や量を増やして傷口と接する尿に細菌が発生しない様にして下さい。

とのことでした。

退院後は女性がお産の後などに使用する真ん中に大きい穴があいた円形の座布団を通信販売で購入し、食堂の椅子や書斎の椅子に座る際に使用して傷口への圧迫を防ぎました。水分の摂取量を毎日2リットルに決め、白湯(さゆ)を200 C C 入りのコップで10杯飲む様に計画ました。

その為に2.2リットル入りの電気ポットで常にお湯を沸かして置くと共に、大きい「ボタン」を10個用意して飲む度に1個づつ、所定の入れ物から別の入れ物に移して飲む回数の目安(計算器)にしました。

2週間毎に外来通院をしましたが、術後22日目の尿の潜血検査では 「 プラス 」でした。傷口からまだ出血がある証拠なので、引き続き感染症防止の薬を飲むことになりました。

失禁については退院後はリハビリ・パンツは履かずに、普通のブリーフ ( パンツ )を履き、入院時に購入した ワイド・ポリマーという紙おむつ1回分を入院中は四つに切り、退院後は八つに切って失禁パット代わりに使用しています。

しかし日常生活では尿失禁することはなく、排尿時に数滴の尿がたまに付着する程度で、ワイド・ポリマーが無くなった時点で失禁パットの使用を止めるつもりです。

前立腺ガン手術との後遺症の違い

前立腺肥大手術は前述のように前立腺の肥大部分を尿道を経由して内側から削ぎ落とす手術で、可能性のある後遺症は尿失禁ですが、インポテント ( In-potent )については、勃起神経を傷付ける手術の失敗を犯さない限りありません。

これに対して前立腺 ガンの場合には開腹手術により前立腺を全部摘出すると共に、その為に欠損した尿道を補うために離れた位置から尿道を引っ張ってきて、膀胱とつなぎ合わせる手術が必要です。後遺症の可能性としては尿失禁と インポテントがあります。

インポテントを防ぐには勃起に必要な神経の温存手術法もありますが、温存する神経と血管の部分にはリンパ管があるので、ガン再発の危険性を高めるという マイナス面もあります。

入院費用

今回は3月15日の午後に入院し、3月29日の午前中に退院しましたが、ホテルなどの計算方法では14泊になるところ、15日分の部屋代を請求されました。ホテルでは 1泊いくら という計算方法に対して、病院の部屋代は 1日いくら の計算方法を採るのです。

例えば1泊だけ入院した場合に翌日の午前中に退院しても、2日分の部屋代を請求します。更にその部屋に午後から入院した別の患者からも、同じく当日分の部屋代を請求する仕組みなのです。

細かいことを言えば食費についても同様です。入退院の日に1食しか食べなくても3食分の食費を請求します。食費は 1食いくらではなく、1日いくら の計算方式だからです。病院経営とは時には二重に儲けができる、美味しい商売であることが分かりました。

今回の入院に要した費用の明細は

差額ベッド料−−−−−236,250円
医療費(二割負担)−−111,160円
食事負担金−−−−−− 11,700円

合計−−−−−−−−359,110円

でした。なお平成15年4月1日から医療保険について70才未満の場合には、個人負担の割合が3割となり、70才以上の場合は 2割負担となりました。

注:)
退院の二ヶ月後に健保組合(特例退職者制度)から高額療養費に対する給付金として、91,229円が支給されました。なお 差額ベッド料、食費などは、給付対象となる医療費には含まれませんので、念のため。

終診

手術後二ヶ月目の受診をした際に尿の潜血検査の値がようやくマイナスとなり、傷口が塞がりました。医師からは普通 より回復が早く順調なため、これで治療を終わりにします。薬も出しませんからと言われましたが、中には三ヶ月掛かる人もい るそうです。

死ぬまで(?)続けなければならなかった排尿を容易にする 薬の服用が、今回の手術によって不要になりました。メデタシ!

注:)手術後の P S A の値

前立腺手術から10ヵ月後 ( 平成16年1月 )の検査結果では、0.8に減少してい ました(4.0以下が正常値)。更に手術後2年1ヶ月( 平成17年4月 )の検査では、0.4になり、 平成18年4月(手術後3年1ヶ月)の検査では0.6でしたが、この程度の上昇はよくあるとのことでした。

P S A の値については前立腺ガンが有るにもかかわらず検査値が低い疑似陰性を示す場合もあるので、100パーセント信頼はできませんが、 ひとまず安心しました。今後は半年ないし 1年後に P S A の検査を受けて、様子を見るつもりです。

最後に

前述のように手術の灌流水が私の体質に合わずに予想外の苦痛を経験し、治療終了までに二ヶ月掛かりましたが、失禁も解決し排尿も 好調なため、現在のところは手術をして良かったと思っています。

入院に至る経緯および手術前後の体験を、患者の立場から詳細に述べた為に冗長に過ぎました。前立腺肥大症や肥大手術について、 皆様の参考になれば幸いに存じます。(終わり)


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