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歯周病とは


歯周病とは?

 歯周病とは、書いて字のごとく、歯の周りの組織(骨や歯肉など)の病気です。ですから、むし歯などの歯の病気ではありません。

 よく、“私は歯が丈夫で、むし歯は一本もないので自信がある!”などと思ってらっしゃる人がいたら要注意! 先ほど述べたように歯の病気とは直接関係ない、歯の周りの組織の病気なのです。

歯周病はどうしてなるの?

 歯周病は歯周病の原因となるバクテリアによる感染症です。ですので、感染に対する治療を行わないと治りません。また、自覚症状がほとんどありませんので、歯周病になっているのに気がついていない人がたくさんいます。

 現在、日本では成人の約9割の人がなんらかの歯周病になっていることがしられています。すでに国民病といっても過言ではありません。

 

歯周病の原因菌は?

 口の中には約400種類の細菌が住んでいます。それらの中には口の中の環境を保つのに必要な細菌もたくさん含まれています。ですから、むやみやたらにうがい薬で消毒をするのはいけないことです。長期的には菌交代現象が起こり、殺菌剤で死なないばい菌だらけになる恐れもあります。

 そのなかで、歯周病のばい菌にはつぎの5つが代表的なものです。
@Porphylomonas gingivalis (P. g.菌)
ATannerella forsythensis (旧 Bacteroides forsythus、T. f.菌)
BTreponema denticola (T. d.菌
CPrevotera intermedia (P. i.菌)
DActinobacillus actinomycetemcomiotans (A. a.菌)

以下のピラミッドのような図1は、口腔内の細菌叢を模式的に表したものです。上記@からBは、Red Complexといって(図の一番上の赤いところ)、重度の歯周病患者の方にみられる細菌です。
それ以下のオレンジ色は、中等度の歯周病の患者さんから検出される細菌叢です。さらにその下の黄色、グリーン、紫、そして青のActinomyces群は健常な方にも存在し、この部分の細菌叢は常在菌といって、誰にでも存在します。


図1

ですから、下の図2の左がよくある菌叢で、右はまれです。

   よくある            まれ
図2


P. g.菌

この細菌は、骨や歯肉を溶かす酵素をだし、歯の回りの組織を破壊します。またこの細菌の出す物質により、人間のからだに組織を破壊する指令がうながされます。

T. f.菌

この細菌はP. g.菌といっしょにいるときに特に歯周病が悪化すると考えられています。

A. a.菌

この細菌はロイコトキシンという、白血球を殺す毒素を産出します。そのため、局所の免疫が低下し、歯周病が悪化します。

P. i.菌

この細菌はいわゆる歯肉炎(骨は溶けていないが、歯茎だけがはれたり出血する場合)に関係しています。妊娠性の歯肉炎や思春期のホルモン性の歯肉炎のときなどによく出現します。

歯周病の種類は?


 まず、歯周病は歯茎がはれているだけの歯肉炎と、歯茎だけでなく、骨やその周囲組織(セメント質など)まで破壊された歯周炎の二つに大別します。

 歯肉炎は原因である歯周病菌を歯ブラシなどで除去すればよくなりますが、歯周炎は専門的な治療をしない場合、最終的には抜け落ちて入れ歯になることもあります。

 まず、歯肉炎ですが、おもに以下のような診断があります。
@単純性歯肉炎(歯垢=細菌のかたまり が多くて感染するもの)
A妊娠性歯肉炎
B思春期のホルモンによる歯肉炎
C薬剤(高血圧の薬など)による歯肉炎
D口呼吸など、鼻が悪い人などにみられる歯周炎

 歯周病にもいくつかの診断があります。以下列挙しますと、

@慢性(成人性)歯周炎....歯ブラシの状態が何年、あるいは何十年と続いたとき。
A急速進行性歯周炎....20代後半から急激に骨組織の破壊がおこる。
B若年性歯周炎....6才ごろから骨の吸収と喪失が始まる。

 (現在、学問的にはAとBを合わせ,侵襲製歯周炎といいます)

では治療はどうするのでしょうか?

歯科に関わらず、すべて病気の治療の原則は原因除去です。そのため、原因である歯周病の細菌除去を
おこないます。
 @総菌数の除去
  お口の中のばい菌の量をへらします。方法はずばり“歯ブラシ”しかありません


 
A特定部位(歯周病菌の住んでいる所)のばい菌の除去
  歯ブラシ指導をすることによって、歯周病菌がいるところを患者様にご指導し、その場所の清掃をしていただきます。多くの場合、歯と歯茎の間や歯と歯の隙間のことが多いです。

 Bリスクファクターの除去
  タバコ、かみ合せなど歯周病を悪化させる因子(リスクファクターといいます)を除去または少なくなるよう、ご指導いたします。これはすべての患者様に当てはまることはなく、例えば、ある患者様ではたばこは関係ないこともあります。
 全身疾患のある場合、全身疾患の治療と管理あるいは関連の検索がひつようです。
 とくに、糖尿病などは歯周病との関連が強く、十分な治療と管理がひつようです。当院は1型糖尿病の歯周治療受け入れ機関にもなっております。
 
→T型糖尿病の歯周治療受け入れ機関のリンク


 C歯肉縁下(歯茎より内側)の細菌除去
  ここからは歯科医と衛生士の仕事です。歯茎より内側は患者様は自分で治療することは不可能です。場合により麻酔をしながら、歯肉縁下の細菌の除去をします。歯肉縁下の細菌が住んでいるところは歯肉縁下歯石、感染セメント質、剥離セメント質、感染象牙質などで歯ブラシでは除去不可能です。これらの感染物を除去することを、Scaling and Root Planing (日本語ではおもに“スケーリング”)といいます。

  
 D特定歯周病原細菌の除去(ケースによる)
  細菌検査の結果、ある特定の細菌(上記)が多い人は、抗生物質の全身投与または局所投与により、特定の細菌のみ、除去します。


 E再評価検査
  初診時の評価後、Dまでの治療後にもう一度再検査して評価をおこないます。ここで治癒するような軽度な歯周病はこのあと検診(メンテナンス)にはいり、一区切りです。しかし、治療のレスポンスが悪い場合(何らかの細菌が住んでいたり、患者様の免疫などに問題があるばあい、かみ合せに深刻な問題があるときなど)はここからさらに専門医による治療のステージに入ります。


 F歯周組織再生治療、再建治療
  手術や矯正、あるいはインプラント治療などの単独あるいは組み合わせにより、失ってしまった骨組織やセメント質、歯根膜などの歯周組織を再生させ、歯を抜かずにあるいは入れ歯にしなくて済むように治療します。歯の本数が足りず、他の歯に障害をもたらす場合はインプラントをすることで他の歯の負担を軽減します。