以下の例はすべて 肝虚風動 (肝血が不足し筋脈を栄養出来ずに痙攣する) の証に該当します。
ここに解説の要点を集めてあります。
1. 転筋 (こぶらがえり)
2. 甲状腺機能亢進症
3. 脊髄腫瘍手術後の痙性歩行
4. 手が震える/痔の出血
5. 上瞼の引きつり
6. フィッシャー症候群
7. 手や頭がふるえる
8. 上がり症と書痙
★ 転筋 (こぶらがえり)
女性 52歳
病名と経過 : 2年前に膵臓の手術をして,膵臓半分と胆嚢と脾臓がありません.
週に2,3回強いコブラガエリが両ふくらはぎにおこり,夜中(3時頃〜夜明け)に目をさまします.
激痛で眠れません.
温めたほうがいいと思って赤外線の靴下をはいたりしているのですが,なかなかなおりません.
今朝も激痛で起きました.
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返事 :
漢方では「肝は筋を主る」といい、筋(腱)の営養は肝から得ています。
そして肝は血液を貯蔵しまた調節しています。
血液は人体の休息時や睡眠時には肝臓に貯蔵され、活動時には全身の各組織に送り出し供給されます。
肝が陰血の充分な滋養を受けると、陰陽平衡になり、正常な機能を営むことができるのですが、
陰血が何かの原因で虚損すると血は肝を養うことが出来なくなります。
陰血不足つまり陰虚になって陰陽の平衡がくずれると陰が陽を制御できなくなって
陰虚風動 (血虚生風) が起こります。
「諸暴強直、皆風に属す」と言われるように風とは強直痙攣のことです。
また「血虚失栄・血燥風動」とも言います。
即ち血虚になって肝を滋養することができず、肝血が筋肉を養えなくなったのが原因です。
「風を治すには先ず血を治すべし、血行れば風自ら滅す」といわれている事から治療法も
自ずから決まります。
おすすめの漢方処方
(1)新加鈎藤湯 (しんかこうとうとう)・・・・・・・・・・(煎じ薬)
(2)芍藥甘草湯加味 (しゃくやくかんぞうとうかみ)・・・・・・・・・・(煎じ薬)
※ HPの「症例 DB」の「痺症」の項目にも「転筋 (こぶらがえり) 」の症例が載っています
から参照して下さい。
★ 甲状腺機能亢進症
女 31歳
もっとも治して欲しいこと : 甲状腺機能亢進症
今年5月頃から体重が減り始め、48kgあった体重が4ケ月で43kgになりました
そのほか、便秘症が治り、毎日1回便通があるようになり、時々、指の震えがありました。
8月中旬、病院へ行き血液検査の結果、甲状腺亢進症と診断されました。
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返事 :
>体重が減り始め、48kgあった体重が4ケ月で43kgになりました
肉体を構成する物質を「陰」とし、その働きを「陽」とします。
この陰陽のバランスが取れていれば痩せもせず肥りもしません。
いま急激に痩せたと言うことは陽気が亢進して陰気が消耗したということになります。
それが甲状腺機能亢進症の実態です。
ではなぜ急に陽気が亢進したのでしょうか?
ストレスとか刺激が多いと神経が緊張して多くのエネルギーを消費します。
即ちそれが陽気亢進というものですが、いったん陰陽のバランスが崩れ始めると
失われた陰分を補充してやらない限り、陽気の亢進はどんどん進みます。
それを漢方では「陰虚陽亢」といいます。
>時々、指の震えがありました。
陰分が虚して陽気を制御できなくなると「陽動生風」といって、痙攣が起こります。
陰の大元は肝と腎です。
肝陰・腎陰をうんと補わない限りこのストレスには勝てません。
単に手指の蠕動だけではなく、精神不振・心悸・咽干口燥・舌干少苔をも伴なうものです。
おすすめの漢方処方
(1) 定振丸(ていしんがん)・・・・・・・・・・(煎じ薬)
★ 脊髄腫瘍手術後の痙性歩行
男 29歳
もっとも治して欲しいこと : 僕は七年前から脊髄腫瘍にかかっています。二年前に手術を
受けましたが、歩行不自由(左足)。筋力低下、運動障害などの症状があります。
せめてバランスよく歩きたい、正常な歩行に近づけたいのです。
一番:左足のバランス改善。痙性四肢麻痺 痙性歩行
二番:上肢の筋力低下の改善、握力アップ
全身 : だるい 食欲が無い
四肢 : 左手がしびれる 左足がだるい
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返事 :
>脊髄腫瘍にかかっています。二年前に手術を受けました
>痙性四肢麻痺 痙性歩行
筋脉拘急は筋脉失養が原因です。
漢方では『肝は筋膜を主る』といい、筋脉は肝の支配するところです。
また『肝は血を蔵す』ので筋脉失養は肝血(肝陰ともいう)不足が原因です。
おそらく手術による負荷が、大きく陰血を失わせたものと思われます。
陰血不足,筋脉失養,而致筋脉拘急,継而引動肝風,頭頚紐動,手舞足踏。
(陰血が不足すると筋脉は痩せ、痙攣を起こす。更には肝経が風に犯されて頭や首が動いたり、
痙性歩行になったりする。)
陰虚風動(または血虚生風)といって、古くからある病態です。
おすすめの漢方処方
(1) 四物湯(しもつとう)加味・・・・・・・・・・(煎じ薬)
★ 手が震える/痔の出血
男 38歳
もっとも治して欲しいこと : 一番目に気になるのは、3〜4年前から時々血便が出ること。
以前軽い痔を経験したことの再発なのか、腸の問題なのかということです。
二番目は手に意識をもつ時のみ少しだけ(人にはわからない程度に)手が震えるようになったことです。
普段は一応健康に見えるのですが、寝不足になると埃などで鼻炎が出たり、何か重いものを持
ったり無理をすると、時々腰が痛くなり、パソコンなど細かい作業をすると肩こりが出たり時
には寝違いのようになります。
全身 : 気がふさぐ 健忘症 怒りっぽい
顔面 : 普通 鼻水 クシャミ
口 唇 舌 : 口は乾かない
喉 気管 : 切れやすい痰が出る
腹部 : 腹が張る
大便 小便 陰部 : 便秘 血便 切れが悪い 尿が濃い 痔が痛む 痔の出血がある
頸部 背 手腕肩 : くびや肩が凝る 首の寝違え
腰 膝 下肢 : 腰が痛い 腰がだるい 膝が痛い
皮膚 頭皮 毛髪 : 抜け毛
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返事 :
>(人にはわからない程度に)手が震える
漢方では“諸風掉眩・皆属於肝(震顫は肝の病気である)”といいます。
それは「肝は筋を主る」からです。
肝は蔵血の臓で、肝の実体(肝体)は絶えず陰血に滋養されていなければなりません。
反対に肝血が不足していると肝の陽気が動き出します。(気火上逆,肝陽風動)
陽は動きを主ります。陽気がもっとも動くものを“風”といいます。
従って手の震えなどを肝風といい、肝血が不足して起これば「陰虚風動(血虚生風)」といいます。
>腰が痛い 腰がだるい 膝が痛い
>抜け毛
>痔が痛む 痔の出血がある
肝血が不足すると「肝腎同源」で、腎陰も不足になります。
肝腎両臓の陰血がともに不足すると「陰虚内熱」になり、上のような症状が起こります。
おすすめの漢方処方
(1) 定振丸(ていしんがん)加味・・・・・・・・・・(煎じ薬)
★ 上瞼の引きつり
女 36歳
もっとも治して欲しいこと : 右目の眼瞼後退(上瞼の引きつり、交感神経の緊張から
きているとのこと。片目のみ。2年ほど前から発病。
右目の症状がとても気になります(人相に影響するので人にも指摘される)。
全身 : だるい 気がふさぐ 健忘症 怒りっぽい
顔面 : 右目瞼の引きつり 普通 瞼がむくむ 顔面麻痺(時々) 顔面痙攣(左目の下)
頭痛 頭が重い 目がかすむ 目がまぶしい 目が痛い(両目の奥が痛む)
口 唇 舌 : 舌苔が厚い 口が臭い 舌がもつれる
喉 気管 : 喉が痛い 痰は無い
胸 脇 : 脇が痛い
頸部 背 手腕肩 : 肘の痛み 手指がしびれる
腰 膝 下肢 : 腰が痛い 膝が痛い こぶらがえり むくみがある
皮膚 頭皮 毛髪 : 斑点(しみ) おできや化膿 にきび リンパ腫
婦人 : 月経量が少い 血の塊が混じる おりもの
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返事 :
> 右目の眼瞼後退(上瞼の引きつり、交感神経の緊張からきているとのこと。片目のみ。
> もう片方は目の下の痙攣
> こぶらがえり
> 月経量が少い
筋肉の痙攣や引きつりを漢方では「風」と呼び、
外因からの「外風」と区別するために「内風」とか、
風は肝気と関係が深いので「肝風」ともいいます。
発症してから一年以上経っている事と月経量が少い事を併せて考えると
この「内風」は「肝血の虚」に起因するもののようです。
これを「血虚生風」といい、全身的または部分的な血虚が生因でしょう。
すなわち「肝血失栄,不能養筋」の結果、痙攣や引きつりを起こしたのです。
血虚には心血虚と肝血虚とがありますが、月経や筋肉と関係があるのは肝血虚の方です。
おすすめの漢方処方
(1) 加味芍薬甘草湯・・・・・・・・・・(煎じ薬)
★ フィッシャー症候群
男 57歳
もっとも治して欲しいこと : 今年の7月頃、眼底当たりの頭痛がして、バファリンを呑んだ。今まで呑んだことはない。
10月の第1週目頃からまた同じような頭痛が続き、10日あたりから耐えられなくなり病院へ行った。
その頃からものが二重に見えるようになり、左眼が眼瞼下垂。
眼瞼下垂は3〜4日で回復するも複視状態はずっと続き、眼科から脳外科、神経内科と通院し、
11月21日から重症筋無力症の疑いで入院。
その間、いろいろ検査を受け、重症筋無力症の疑いは晴れたが、フィッシャー症候群ではないかといわれ、
軽症であるため、12月8日に退院。
症状は最初目前20センチくらいまでしかものがちゃんと見えなかったが、今は1〜2メートルくらいの
距離がときどきちゃんと見える状態。
口、唇、舌…口が渇く、舌苔が白い、
大便、小便、陰部…小便の出が悪い。切れが悪い。脱肛
頸部、膝、下肢…足が冷える。
現在、高脂血症、高血圧、糖尿病の薬を00年から常用しています。
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返事 :
>眼底当たりの頭痛がして
>ものが二重に見えるようになり、左眼が眼瞼下垂。
>フィッシャー症候群ではないかといわれ、
目の症候は“肝”と関係があります。
そして頭痛・複視・眼瞼下垂などは「肝風」にあたります。
その肝風は「肝虚風動」によって生じた“風”です。
肝虚とは肝の蔵血不足(肝血虚)のことで、肝血が不足し筋脈を栄養出来ずに硬直するのです。
立派な体格ですが、「小便の出が悪い。切れが悪い」「足が冷える」からは肝腎の虚が潜在します。
高脂血症、高血圧、糖尿病などもすべて「肝腎陰虚」が根本原因でしょう。
おすすめの漢方処方
(1) ほう賛襄主任医師験方・・・・・・・・・・(煎じ薬)
★ 手や頭がふるえる
男 61歳
もっとも治して欲しいこと : 五年ほど前から、手や頭がふるえます
手は、事務所では字を書けるのですが、結婚式や、出張でホテルの宿泊者名簿
に名前・住所等を書くとき手がふるえて書けないときがあります。
頭は、事務所で緊張もしないような場所でも時々ふるえますし、結婚式とか
多数の人がいるときは、特にふるえます。
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返事 :
>名簿に名前・住所等を書くとき手がふるえて書けないときがあります。
>頭は……多数の人がいるときは、特にふるえます。
動作などの元になるエネルギー(陽)は精血などの物質(陰)によって
サポートされています。
高齢になるとこの陰が不足してきて陽を充分に支えきれなくなります。
すると陽気が勝手に動いて手顫などになります。
これを「陰虚不能潜陽,陽動生風」といいます。
一般に陰気は肝腎によって蓄えられるのでこのストックが不足するのを
肝腎陰虚といい、唾液やその他の体液も足りなくなり(精血不足)
動悸・めまい・口乾なども起こってきます。
おすすめの漢方処方
(1) 二甲復脉湯・・・・・・・・・・(煎じ薬)
★ 上がり症と書痙
男 48歳
もっとも治して欲しいこと : 上がり症と書痙
仕事柄人前での挨拶や会議での司会や発言等がちょくちょくありますが、もう緊張しすぎて大変なストレスです。
動悸や手の振るえが激しくなり、言葉が震え話にならないのです。
冠婚葬祭やホテル人前での記帳等も、緊張のあまり手が震えて文字が書けません。
20代から症状は出ておりましたが、意識し始めたのは31歳からです。
2番目は、睡眠不足(熟睡出来ません)とアトピー(乾燥肌で痒くて眠れません)です。
3番目は、痩せ過ぎと言いますか、太れなくて困っております。
全身:だるい 寝汗をかく 熱しやすく冷えやすい 不眠
顔面:白い めまい 目がかすむ 目がまぶしい なみだ目 目が痒い
口 唇 舌:舌苔が厚い 口が乾く
喉 気管:喉が詰まった感じ 声がかすれる 咳が出る 切れにくい痰がある
胸 脇:動悸がする
腹部:胃の辺りが痛い 腸が鳴る 食べてもすぐ腹が減る
大便 小便 陰部:便秘 下痢 頻尿
頸部 背 手腕肩:背中が痛い 手指がしびれる
腰 膝 下肢:腰がだるい 足が冷える こぶらがえり 足がだるい
皮膚 頭皮 毛髪:発疹 かゆい 湿疹 水泡
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返事 :
> 上がり症と書痙
> 睡眠不足(熟睡出来ません)とアトピー(乾燥肌で痒くて眠れません)
> 痩せ過ぎと言いますか、太れなくて困っております。
> 寝汗をかく 熱しやすく冷えやすい
> 目がかすむ 目がまぶしい なみだ目
> 口が乾く
> 食べてもすぐ腹が減る
すべて陰虚(痩せ・口乾・熱しやすく冷えやすい)が根底にあり
虚熱(熟睡出来ません・寝汗・アトピー・目がまぶしい)が発生し、
それが風(書痙)や飢餓(食べてもすぐ腹が減る)や緊張(上がり症)を生みます。
おすすめの漢方処方
(1) 二甲復脉湯・・・・・・・・・・(煎じ薬)
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