以下の例はすべて 肝風挟痰 (肝陽が亢じると風痰を生じ清竅を乱す) の証に該当します。
ここに解説の要点を集めてあります。
1. 目眩/吐き気/頭痛
2. 頬のチック症
3. 脳梗塞による言語障害
4. 成人スティル病(ステロイド使用中)
5. 手の痺れ
6. 顔面麻痺
★ 目眩/吐き気/頭痛
女 33歳
もっとも治して欲しいこと : 目眩、吐き気、頭痛
全身 : 怒りっぽい 汗っかき
顔面 : 赤い めまい 頭痛
胸 脇 : 動悸がする 吐き気がある
大便 : 便秘
頸部 背 : くびや肩が凝る
腰 : 腰が痛い 足が冷える むくみがある 足がだるい
この2〜3年の間に目眩、吐き気、頭痛が定期的に訪れるようになりました。
1年前くらいからその間隔が2〜3ヶ月に1度くらいになったので内科に行きましたが
特に異常もなく、耳鼻咽喉科を薦められ色々と検査をしましたがこちらも特に異常はありませんでした。
今も急に目眩、吐き気、頭痛がします。肩凝り、頭痛は中学生くらいの頃よりのものです。
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返事 :
めまい(眩暈)・震せん・手足の蠕動・昏倒・硬直・ひきつけ等の痙攣や動きを
伴なうものを漢方では“風”という概念で考えます。
体外から働きかけるものを「外風」、体内に発するものを「内風」といいます。
吐き気・頭痛などがあるところから言えばこれは「内風」ですね。
“肝気は目に通ずる”といい、めまいと「肝」とは密接な関係にあります。
そこでこの「内風」はまた「肝風」とも言います。
「肝風」が起こるには[肝陰<肝陽]という陰陽のバランスの崩れがなければなりません。
肝陰とは精血や肝腎の陰分のことで、体液一般です。
何故、体液が不足したかと言うと
>全身 : 怒りっぽい 汗っかき
>顔面 : 赤い
「肝熱」があるからです。
情志の生理機能は各臓腑の気機によって支えられていますが、
なかでも決断や怒りをつかさどるのは「肝」です。
精神情志がストレスを受けて緊張状態が長いと肝気は停滞して動かなくなります。
これを「肝気欝滞」といいます。
肝気欝滞が長く続くと「肝鬱化火」といって熱化してきます。
顏色は赤くなり、汗っかきにもなります。
「肝熱」はまた「肝陽」ともいいますが、[肝陰<肝陽]のアンバランスがあると
陽気を抑える事ができず(「熱すればすなわち風動く」)、肝陽は「風」を呼び
「肝陽化風」となります。
これが「めまい」の本態です。
>胸 脇 : 吐き気がある
もっと根底には脾胃の気虚があるようです。
>腰 膝 下肢 : むくみがある 足がだるい
それは「脾胃は四肢を主る」で、ここからもうかがえます。
脾胃の気化機能が虚すると「脾虚湿盛」といって、水分の停滞が起こります。
この停飲は長期になると熱を受けて粘性を持った「痰」へと変化します。(「脾は生痰の源」)
かくして「肝風+痰」という大きな病因が形成されます。
>顔面 : めまい 頭痛
痰が肝風とともに上へあがって目や頭を塞ぐのです。
これを「肝風夾痰,上擾清竅」といいます。
また欝滞した「肝気」は脾胃をいじめるので胃気が逆上して吐き気になります。
これを「肝木乗胃,胃気上逆」といいます。
おすすめの漢方処方
(1) 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)・・・・・・・・・・(煎じ薬)
(2) 柴胡沢瀉湯(さいこたくしゃとう)・・・・・・・・・・(煎じ薬)
*ホームページの 症例 DB 内科 メニエル氏病048
の例が出ていますので参考にして下さい。
あなたのケースとメカニズムが似ています。
また、半夏白朮天麻湯048 の各例にもそれぞれ関連する症状の説明があります。
★ 頬のチック症
男 27歳
もっとも治して欲しいこと : 左頬の痺れが一年以上続いています。
幼児期より左頬がひきつり、「チック」というのでしょうか。
それにより自他ともに不快な思いをしています。
また日々憂鬱で特に寝覚めの悪さが自分をますます落ちこませています。
いろいろな医院にも行きましたが、「ま、気のせいでしょ」と取りあって
いただけないことが多く、出される薬も弱い睡眠薬ばかりで
飲もうと気持ちが起きません。
全身 : だるい 気がふさぐ 健忘症 怒りっぽい 微熱 汗っかき
寝汗をかく 不眠
顔面 : 顔面麻痺 顔面痙攣 チック めまい 頭痛 頭が重い 目が痛い
口 唇 舌 : アフター性口内炎がでる
喉 気管 : シャックリ
胸 脇 : 動悸がする 胸苦しい 吐き気がある 酸っぱい水が上がる
腹部 : 胃の辺りが痛い 脇腹が痛い 腹が張る 食欲が無い
大便 小便 陰部 : 切れが悪い 切れ痔の出血がある
頸部 背 手腕肩 : くびや肩が凝る 手指がしびれる
腰 膝 下肢 : 腰が痛い 腰がだるい 膝が痛い しびれる 足が冷える
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返事 :
>「ま、気のせいでしょ」と取りあっていただけないことが多く、
>出される薬も弱い睡眠薬ばかりで
漢方では以下の理由で立派な病気と認めています。即ち
>顔面 : 顔面麻痺 顔面痙攣 チック めまい 頭痛 頭が重い
これらの症状に共通して見られるのは痙攣と麻痺です。
このように動揺振転の性質や変動して静止しない性質を漢方では「風(ふう)」と呼んでいます。
外因によるものは「外風」、内因によるものは「内風」と区別します。
今の場合は内風ですね。
>胸 脇 : 動悸がする 胸苦しい 吐き気がある 酸っぱい水が上がる
もう一つ観察されるのは「痰飲」の存在です。
痰飲とは病的な水液停留(水滞)のことです。
胃に水滞したものは、動悸、息切れ、めまい、胸脇のはり、背中の冷感、
胃中のガボガボいう水声となります。
「内風」と「痰飲」が相搏つと「風痰」になります。
風痰が顔面の経絡の流れを阻害すると痙攣と麻痺を引き起こします。
脳内ではめまい・頭痛・頭重になります。
>日々憂鬱で特に寝覚めの悪さが自分をますます落ちこませています。
「怪病に痰多し」で、難病・奇病の類にはこの痰飲が悪さをするのがあります。
これを「痰欝気結」といいます。
ノイローゼや鬱病の原因の一つです。
*清竅……眼・耳・鼻・口などの開口器官が正常であれば意識も正常であること
おすすめの漢方処方
(1) 千緡湯合六君子湯(せんこんとうごうりっくんしとう)加味・・・・・・・・・・(煎じ薬)
★ 脳梗塞による言語障害
男 52歳
もっとも治して欲しいこと : 脳梗塞による言語障害
怒りっぽい 汗っかき
頭痛 頭が重い 舌がもつれる 口が乾く
喉が詰まった感じ 喉が痛い 声がかすれる
夜間排尿が多い
くびや肩が凝る 腰がだるい
かゆい 湿疹
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返事 :
>脳梗塞による言語障害
>舌がもつれる
現代では脳血管障害・脳梗塞などと呼んでいますが、昔は「中風」と言っていました。
中風とは「風(ふう)に中(あた)る」という意味です。
風には動揺振転の性質があり、ふるえ・ピクピクひきつる等の特徴は風の範囲に属
するものと考えています。
「熱すればすなわち風動く」の言葉の如く、風を生じる病機は「肝腸化風,熱極生風,
血虚生風」の3通りです。
どういう経過で脳梗塞になったか説明がありませんが、実熱か虚熱かのどちらかの
熱があったからに相違ありません。
朝起きたらなっていたというような静かに起こる脳梗塞は大抵は「血虚生風」に属し、
現代風にいえば虚血性脳血管障害となります。
漢方では「陰(血)虚陽亢」という病理に注目します。
陰液(陰分)が不足してくると陰陽のバランスが崩れて相対的に陽気が盛んになります。
これが「虚熱」というもので、風を起こす根源になります。(裏熱生風)
もしここに「痰」があると、風は痰を伴ない上昇してきます。
「風痰」が経絡に流れ込むと経絡は閉ざされて正気が通行できなくなります。
これを「風痰阻遏舌強」といい、舌がもつれます。
これは風の中絡者(絡にあたるもの)に分類されます。
「口眼ロ咼斜(顔面麻痺)」も同類です。
風の中経者(経にあたるもの)になると大きな経絡が麻痺して半身不随になります。
さらに風の中臓腑者ともなれば神明は失われて昏迷・喉中痰鳴・牙関緊閉・舌強硬回縮
などと険悪な状態になります。
*清竅……眼・耳・鼻・口などの開口器官が正常であれば意識も正常であること
おすすめの漢方処方
(1) 牽正散(けんせいさん)・・・・・・・・・・(煎じ薬)
★ 成人スティル病(ステロイド使用中)
女 26歳
もっとも治して欲しいこと : 成人スティル病(若年性関節リウマチの症状が大人にでるもの。
発熱、多発関節炎、発疹等。現在ステロイド剤と消炎鎮痛剤を服用して治療中)
また足の浮腫、便秘等が強くなってきたほか、食欲減退、胸のつかえ、身体のふるえがあります。
ステロイドの副作用を軽減するような方法をお願いしたいです。
成人スティル病の症状として自覚するものはほとんどなく、右手首、膝などが時々少し痛む程度です。
それよりも、今辛いのは、身体のふるえ、だるさ、むくみ、日に日に肥満していくことです。
全身 : だるい 気がふさぐ 微熱 汗をかきにくい 不眠
顔面 : 赤い 瞼がむくむ めまい 鼻が乾く
口 唇 舌 : 舌苔が厚い 口が臭い 口が乾く
喉 気管 : 喉が詰まった感じ 喉が痛い 声がかすれる 切れにくい痰がある
胸 脇 : 動悸がする 胸苦しい 胸やけがする
腹部 : 腹が張る 食欲が無い
大便 小便 陰部 : 便秘
頸部 背 手腕肩 : くびや肩が凝る 手指がしびれる
腰 膝 下肢 : 腰がだるい 膝が痛い しびれる 足が冷える かかとが痛い
むくみがある 足がだるい
皮膚 頭皮 毛髪 : にきび
婦人 : 月経量が少い 月経が遅れる 月経が早くなる 月経痛がある 血の塊が混じる
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返事 :
>ステロイドの副作用を軽減するような方法をお願いしたいです。
ステロイド適応の病気で今一番求められているのがこの事です。
>身体のふるえ、だるさ、むくみ、日に日に肥満していくことです。
>瞼がむくむ めまい 鼻が乾く
>舌苔が厚い 口が臭い 口が乾く
>喉が詰まった感じ 切れにくい痰がある
>動悸がする 胸苦しい 胸やけがする
>腹が張る 食欲が無い
>むくみがある 足がだるい
これらすべてに関係するのが漢方でいう“痰飲”です。
痰飲とは病的な水液停留(水滞)のことです。
痰飲は時間がたつと熱化して「痰火」や「湿熱」に変わります。
上の各症状は、これらが経絡の流れを阻害する時に起こります。
更には熱が“風”を誘い、風痰が合わさると痙攣や痺れになります。
おすすめの漢方処方
(1) 導痰湯(どうたんとう)加味・・・・・・・・・・(煎じ薬)
★ 手の痺れ
男 41歳
もっとも治して欲しいこと : 一番目 まえから軽い頚椎ヘルニアがあり、症状はあったのですが昨年末より
手足の痺れがひどく、時に全身が痺れるような感じがあります。ビリビリするという感じです。
二番目 腸の調子がよくないようです。おなかがゴロゴロ鳴っています。先月は3日ほど下痢をしました。
今は下痢はしていませんが、何か調子が良くありません。体重も3キロ程減りました。
全身 : だるい 気がふさぐ
顔面 : つやがない めまい 目が痒い クシャミ 鼻が乾く
口 唇 舌 : 唇の色が紫色
喉 気管 : 咳が出る 切れやすい痰が出る
胸 脇 : 胸苦しい
腹部 : 脇腹が痛い 腸が鳴る
大便 小便 陰部 : 下痢 切れが悪い
頸部 背 手腕肩 : 背中が痛い 肘の痛み 腕の痛み 肩の痛み 手指がしびれる
腰 膝 下肢 : 腰が痛い 腰がだるい しびれる 足がだるい
皮膚 頭皮 毛髪 : 湿疹 フケ性
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返事 :
>まえから軽い頚椎ヘルニアがあり
頚椎ヘルニアの画像所見があっても必ずしもそれが原因でない場合があります。
>おなかがゴロゴロ鳴っています。
>15年10月始めにひどいめまいがありました
>切れやすい痰が出る
これは“痰飲”の存在を指しています。
>手足の痺れがひどく
痰飲が経絡を塞いで四肢が痺れることは非常に多いものです。
おすすめの漢方処方
(1) 導痰湯(どうたんとう)加味・・・・・・・・・・(煎じ薬)
★ 顔面麻痺
女 62歳
もっとも治して欲しいこと : 16日前から右顔面が麻痺
(顔がゆがんでいる。右目をつぶれない。物が食べ難い。話し難い)。
2ヶ月前から、歌っているとき、話中に時々右耳の閉塞感
その他の身体状況: 緑内障(右目視野狭窄)、左中大脳動脈狭窄、C型肝炎、
慢性腎盂腎炎(右腎臓が小さい1/4サイズ)、脊椎分離すべり症(慢性腰痛)、
胃カメラで胃、十二指腸に軽い糜爛あり、膀胱炎を起こしやすい 軽い高血圧(服薬中)。
全身 : 汗っかき
顔面 : 普通 右顔面麻痺 右目がかすむ 右目が赤い 右耳鳴り
口 唇 舌 : 舌がもつれる 口が乾く
喉 気管 : 咳が出る 痰は無い
部 背 手腕肩 : 背中が痛い 首筋、肩の痛み
腰 膝 下肢 : 腰が痛い 膝が痛い 足の裏がほてる
皮膚 : 冬期に乾燥してかゆい
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返事 :
> 右顔面が麻痺、(顔がゆがんでいる。右目をつぶれない。物が食べ難い。話し難い)。
直接的には顔面をまとう脈絡が空虚になり、そこを“内風”が襲ったのです。(外風に対する内風)
この内風がどうして発生したかというと、肝気の高揚すなわち肝陽過剰からです。(肝陽化熱)
これを漢方では「肝風内動」といいます。
「左中大脳動脈狭窄」は過剰の肝陽によるし、また「緑内障」も肝風内動の結果です。
肝陽が強まり肝風を発生しただけなら、実体の無いものですから、いずれ消えていきます。
しかしいつまでも残存するのは“風”のほかに“痰”も存在するからです。
両者が合わさって“風痰”という実体となり、脈絡を阻絡しているのです。
これが経絡を塞ぐので気血は鬱滞し機能せず、顔面麻痺や舌の麻痺を起こして言語障害になります。
中枢の脳と末節の神経とは同調していますから、既に一部の脳梗塞は起こっています。
しかしこの程度だとまだ軽症ですから回復の可能性はあります。
おすすめの漢方処方
(1) 天麻鈎藤飲(てんまこうとういん)・・・・・・・・・・(煎じ薬)
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