六神合体ゴッドマーズ 演出家と脚本家の攻防(ホントか?) |
| この作品は、異星人の超能力者の主人公が、地球を守るため自分が生まれた星と戦うというストーリー。横山光輝氏の原作ですが、設定で原作どおりなのは”主人公(マーズ=タケル)が地球を破壊するために赤ん坊の時に地球に送りこまれ、マーズが命令すると(もしくはマーズが死ぬと)ロボットガイヤーが爆発し地球も消滅する”というところぐらいでしょうか?横山氏は雑誌のインタビューでこのことを聞かれ、「餅は餅屋」と答えています。私は”マンガとテレビ(ドラマにしてもアニメにしても)媒体が違うので、どうせなら設定を思いっきり変えた方がいい”と思っているのですが、横山氏のこの意見に影響を受けていると思います。 この作品の1〜5話は、今までで放映されたアニメの中でもかなり質の高い作品だと確信しています。よくある番組だと、主人公が強くて、ロボットに乗って悪と戦っている姿を見たら、回りの人間もそれをあっさり受け入れていると思うのですが、このゴッドマーズは違う。仲間の一人がタケル(マーズ)のデータを出生時にまでさかのぼって調べ、そのあやふやさに不信感を抱き、タケルの死=ガイヤー爆発=地球の破滅と知ると、「こんなやつとは一緒に戦えない」とはっきり言ってます。これってそばにいる人間として正直な反応だと思うんですよ。ただアニメっていうとどうしてもお子様向けで、このあたりの心情を省略して話を進めることが多いと思うんですが、ゴッドマーズは仲間がタケルを受け入れるまでに5回もかけています。このあたりの丁寧さは当時中学生だった私でも感心するほどでした。 このストーリー展開が良かったのと、絵がキレイだったこともあって、たちまち当時のアニメファンの女子中高生をとりこにしたゴッドマーズ。でも人気の一番の理由は主人公マーズ=タケルが背負った運命でしょうね。今まで幸せに育ってきたのに、いきなり異星人だと言われ、超能力まで目覚めてしまう。父は殺され、自分も殺されそうになり、でも死んだら自分のせいで地球が爆発する・・・だれにも変わってもらえない、死ぬ事さえ出来ない。その苦悩する姿にファンはクラクラしていました(もちろん私もその一人)。 この作品から脚本と演出に興味を持ち始め、自分なりに善し悪しを言うようになりました。この作品のチーフディレクターが今沢哲男氏なんですが、この人の演出の回はずば抜けて光っていました。今でも覚えているのは53話、ガイヤーが火口に突っ込んでいくシーン。ふつうならガイヤーのアップで終わるであろうシーンなのに、この人がやると、ガイヤーの火口行きを阻止しようとする敵のロボットと、さらにそれを妨害する五神ロボがちゃんと描かれているんですね。これはすごく感心したシーンなので、今でもはっきり覚えています。 それに対して脚本家のF氏。この方はこの作品のメイン脚本家なんですが、クサ〜イお話が好きなようなのです。私は、”どちらかというと無口でおとなしいタケル”が好きだったのに、途中からもうしゃべるしゃべる。また”このキャラクターなら絶対にそんなことはしない(言わない)だろう”ということも書いたりするんですね。 で、ここからは私の想像なんですが、そういう脚本をどうも今沢氏が書き換えていたのではないかと・・・・。”22話の洞窟のシーンも台詞を一部省略した”というインタビュー記事を読んだので、このシーンは確実に手を加えています。それ以降、私が思うに少なくても36話のフローレの母と初めて会う回と、最終回も手を加えていると思います。だって、36話はF氏の脚本なんですが、極端に台詞が少ないんですもん。マルメロ星編になって面白くないなーと思っていたのですが、無口に戻ったタケルを見て、またじっくりゴッドマーズを見るようになりました。最終回はF氏の”小説ゴッドマーズ”とラストがまったく違うので・・・。これもかなり変更しています。ナミダが超能力を使えるようになったので、”もしや・・・”と思っていたら、小説の方は想像どおりのラストでした。あまりにもショックだったので、その後、その小説は今日まで閉じられたままです。 今沢さん・・・・(ホントかどうか知らないですけど)、テレビでの感動的なラストをどうもありがとう・・・と、今しみじみ思ってしまいました。
(1998.11.5)
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