(解説)
二輪運転手ヨーディル(仮称)※
二輪運転手ヨーディル(仮称)※脚本公募(落選)
一部のシナリオ学校を通じて行われた脚本公募。
かつて子供を湧かせたあのヒーローの新シリーズを制作するにあたって
公募が行われたが…応募者全員落選。
忘れた頃にハガキによる通知(しかも学校から)のみ。
だが、これまでにない斬新な設定では該当者なしは当然との意見もあった。
僕をはじめ多くの人が旧態依然のシリーズのイメージに引っ張られて
作品を提出したようだ(旧シリーズのライターのもとに通いつめた人もいた)が
そういう設定にしたいのならあらかじめ説明しろという声もあった。
きっとこういうのは番組は水物なのだろうけど。
後処理が杜撰でなければ批判も集まらなかっただろうに。
後に名前がから「●●●」に変更され放映。
カタカナ芸名のあの主人公が話題に。その後、「イケ面路線」でシリーズ化。
子供よりその母親の間でブレイク…原作者は草場の陰から何を思うか。
※いろいろと問題があるため、名前を変えてあります。
作品を閲覧されるにあたり次のことにご注意ください。
@あの番組とは何の関係もないと思ってください。
A登場人物がどこかで聞いたような名前でも気にしないで下さい。
B一部怪人が某劇団のキャラに似ていますがパクりではありません(時期が全く違う)。
では、どうぞ。
二輪運転手ヨーディル
第11話・第12話
第11話
少女の花飾り(仮題)
登場人物
伊吹雄介(24)
一条達也(25)
葉山百合子(24)
春野カオリ(5)盲目の少女
春野幸子(38)カオリの母
警察官
二輪運転手ヨーディル
サイ怪人
イノシシ怪人
ドゥーム王(声)
梗 概
ある春の日、日差しが心地いい河川敷で花飾りを作る春野カオリ(5)の姿があった。
だが彼女の足元はおぼつかない。そう、カオリは生まれつき目が不自由なのだった。
それでも少女は春の息吹を身体一杯に感じて微笑んでいる。
××遺跡では新たな怪人が姿を現していた。イノシシ怪人。そしてこの怪人が
半人前であることで「教官」的役割で共に出撃する兄貴分のサイ怪人。二人の作戦は
イノシシ怪人が「人間化」して子供をさらい、ヨーディルがやってきたところを
待ち伏せして叩こうというもの。サイ怪人は主に作戦の指示にあたる。
そこで目をつけたのが、河川敷で遊ぶカオリであった。
雄介と百合子は河川敷で散策をしていた。そこに花を摘み、花飾りを作るカオリ。
母親の春野幸子(38)がちょっと目を離した隙に歩み寄る人間化したイノシシ怪人。
だが声を掛けた瞬間に土手から転がり落ちるカオリ。
イノシシ怪人は思わずカオリを助けてしまう。
事態に気付いて急いで駆けつけ介抱する雄介と百合子。幸子も駆けつける幸いにも
怪我はなかったが、カオリの目が不自由であることを知る一同。
「ありがとう」
カオリはお礼に花飾りを雄介に差し出すが、
「最初に駆けつけたのはこのおじさんだから、これはおじさんに」
と言われ躊躇しながら花飾りを受け取るイノシシ怪人。そして幸子から名前を聞かれ、
咄嗟にイノマタという名前を名乗る。
「ありがとう、イノマタのおじちゃん」
照れくさそうなイノシシ怪人。
「来い、作戦変更だ!」
イノシシ怪人のあまりの不甲斐なさに激怒するサイ怪人はイノシシ怪人を再教育し、
繁華街で大暴れさせる。体当たりで人を苦しめるイノシシ怪人。そして逃げ惑い、
混乱し、将棋倒しになる人々を見て笑うサイ怪人。
そこに現れた雄介はヨーディルに変身し、怪人たちが突進できないように袋小路に
誘い出す。小回りがきかず壁や電柱に激突するイノシシ怪人。だがサイ怪人に作戦を
見破られ、決戦の地は広い河川敷となった。
一足先に河川敷に入り待ち伏せする怪人たち。そこにやって来たヨーディルに突進し、
吹っ飛ばすイノシシ怪人。
イノシシ怪人はその後も突進を続けるがヨーディルはかろうじて避けている。
「最後のとどめでし!」
イノシシ怪人の雄叫びに反応する声が…
「おじちゃん?」
それは草むらで遊んでいたカオリであった。
「おじちゃんでしょ?私、分かるよ」
「お嬢ちゃん…」
イノシシ怪人は一旦はためらうが再び突進を開始。
ヨーディルはスプラッシュフォームに超変身してドラゴンロッドで今度こそ逃げずに
迎え撃つ。彼の背後に幼稚園児がいるからだ。
「今度あいつの突進を避けたらあの子たちが跳ね飛ばされる…」
イノシシ怪人がヨーディルに突進する。だがその速度はこれまでになく速い!
「俺は一人前になるでし!」
「ダメだ!速すぎる!」
反応が遅れてしまうヨーディル。
と、突然カオリの声。
「やっぱりイノマタのおじちゃんだ。ねえ、遊ぼうよ!どこにいるの?」
「お…お嬢ちゃん…」
イノシシ怪人のスピードが一瞬遅くなる。その瞬間、ヨーディルの中の雄介と百合子も
カオリの言っていた「おじちゃん」の意味を理解する。だが、攻撃は交わせずに
イノシシ怪人はドラゴンロッドの前に崩れる。
サイ怪人はそのまま逃げ、事態は一旦は落ち着いた。カオリは事態が理解できない
様子で幸子が必死になだめている。
消滅するイノシシ怪人の遺骸。そこには花飾りが落ちていた。百合子が声を
掛けようとするがそのまま何も言わずに立ち去る。
マシン2000をぶっ飛ばす雄介。その表情は戦うことへの苦悩に満ち溢れている。
○××遺跡・前(夜)
人影はなく月明かりだけが周囲を照らし出す。
○同・中(夜)
外から動物の不気味な鳴き声。唸り声。
突然、地響きとともにドゥーム王の声が響き渡る。
王(声)「出でよ僕よ。伊吹雄介を、二輪ライダーヨーディルを倒し、人間どもを殲滅せよ!」
暗闇から姿を現すイノシシ怪人。
イノシシ「ははーっ!私めに任せてくださいでし」
イノシシ怪人、深々と下げた頭を上げ、
王(声)「イノシシ怪人、お前の戦術を申してみよ」
イノシシ「ヨーディルなどに戦術などはいらないでし。この頭と、この足でぶっとばすだけでし!」
イノシシ怪人、辺りの壁に頭をぶつけまくる。
崩れ落ちる岩肌。
王(声)「うむ、頼もしい。では…いざゆけ!イノシシ怪人よ!」
イノシシ「ウァッハッハッハ!」
イノシシ怪人、両手を挙げて笑うと闇の奥から別の怪人が現れる。サイ怪人。
サイ「お待ちくだサイ!」
イノシシ「あ、兄貴」
王(声)「どうしたのだ」
サイ「このイノシシ怪人、近頃力をつけたとはいえども、誰の目から見ても未だ半人前。
一人で出撃など出来ましょうか」
イノシシ「兄貴、その言い方はないでし!」
サイ「うるサイ!」
王(声)「して、お前の考えは?思うこと、最後まで申してみよ」
サイ「こやつの兄貴分でもある私めが一緒に出撃し、戦いのアドバイスを行い、この半人前の
イノシシ怪人を立派なドゥームの戦 士として育て上げるつもりであります」
イノシシ「兄貴、半人前、半人前ってうるさいでし!」
サイ「うるサイ!」
王(声)「それは面白い」
イノシシ「あ、ああ、そんな…」
イノシシ怪人、しゃがみ込んでしまう。
王(声)「イノシシ怪人よ、サイ怪人の力を借りて伊吹雄介…二輪運転手ヨーディルを殲滅せよ!
サイ怪人よ、よいな?」
サイ「お任せ下サイ。次にお目見えするサイはヨーディルの首と、一人前に成長した
このイノシシ怪人をご覧にいれましょう」
王(声)「うむ、頼もしい。では…いざゆけ!わが僕たちよ!」
サイ「ウァッハッハッハ!」
両手を挙げるサイ怪人、イノシシ怪人も力なげに手を挙げる。
イノシシ「…ウァッハッハッハ…」
怪人たちはそれぞれスーツ姿の男性に「人間化」する。
(但し人間化してもイノシシ怪人は牙があって毛深い、サイ怪人は鼻の頭に小さなツノが残る)
○河川敷
感じられる春の息吹。川面のきらめき。
川辺では春野カオリ(6)が生い茂るクローバーの上に座って花飾りを作っている。
(カオリは目が不自由です)
遠くの土手には春野幸子(38)が同年代の女性と立ち話をしている。
幸子「カオリ、あんまり遠くにいっちゃだめよ!」
カオリ「はーい」
カオリ、土手を少しづつ登っていく。
○路上
河川敷の土手沿いの道路。
雄介と百合子が歩いている。
雄介「なあ、どうしたんだよ」
百合子は微笑みながら歩いている。
雄介「なあ」
百合子「いいじゃない、こうやってたまには息抜きするのも。毎日毎日忙しくて季節が
変わったのも知らなかったわ。雄介もそうでしょ?」
雄介、腹を撫でながら、
雄介「俺は…腹が減った」
百合子「(頬を膨らませ)もう。雄介の頭の中は食べることで一杯なんだから」
雄介「そんなことないよ」
百合子「(微笑)ほら、見て、シロツメクサ」
百合子、土手の方に走ろうとすると自動車が突っ込んでくる。
雄介「あぶない!」
百合子「きゃっ!」
雄介が百合子をかばって何とか自動車をかわす。
雄介「(車に向かって)バカヤロー!」
車は蛇行しながら走っていく。
○自動車・中
前シーン登場の車。走行中。
人間化してスーツを着ているイノシシ怪人とサイ怪人がそれぞれ運転席、
助手席に座っている。
サイ「あぶないぞ!ちゃんと前見てるのか!」
イノシシ「兄貴が周りをよく見ろと言うからでし」
サイ「周りって、あのな…(河川敷を見て)…ちょっと止まれ」
急停車する。
二人の視線の先には河川敷のカオリの姿。
サイ「(ニヤリ)おあつらえむきだな」
イノシシ「(つられてニヤリ)」
サイ「いいか、打ち合わせ通り作戦開始だ。まずお前があの小娘をさらってくる」
イノシシ「あの…」
サイ「そしてヨーディルを待ち伏せして」
イノシシ「あの…」
サイ「奴が来たところでお前が体当たりでドカン」
イノシシ「あの…」
サイ「何だ?」
イノシシ「どうして俺ばっかりが仕事をするのでし?」
サイ「(咳払い)それは、お前の修行だからでし…あ、修行だからだ。分かったか」
イノシシ「(腑に落ちない)」
サイ「分かったらさっさと行け!」
サイ怪人、イノシシ怪人を押し出す。
○河川敷
土手沿いの道路に停車中の車から転がり出てくるイノシシ怪人。
イノシシ「(両手を挙げ)ウァッハッハッ…」
イノシシ怪人、慌てて口を押さえる。
そしてネクタイを整え、土手の中腹で花を摘んでいるカオリに歩み寄る。
イノシシ「お嬢ちゃん」
カオリには聞こえていない様子。
イノシシ「お嬢ちゃん」
カオリ「きゃあっ!」
イノシシ怪人の呼び掛けとは無関係にバランスを崩して土手を転がり落ちるカオリ。
イノシシ「お嬢ちゃん!」
イノシシ怪人は慌てて土手を駆け下りカオリをキャッチ。だがどうすればいいのか
分からない様子でオロオロしているところに雄介と百合子が駆けつける。
雄介「大丈夫か」
百合子「大丈夫?」
イノシシ「あ、あわわわわ」
雄介はカオリを抱きかかえ腕をさすったりと介抱する。
雄介「大丈夫だ」
百合子「(笑顔)よかった」
幸子が駆け寄ってくる。
幸子「カオリ!」
雄介「お母さんですか?大丈夫、かすり傷ですよ」
幸子「カオリ!」
カオリの伸ばす手の方向に幸子はいない。
雄介「?」
幸子「この子、生まれつき目が不自由で」
百合子「そうなんですか…」
幸子「ごめんなさい。ここ、カオリにとって庭みたいなものですから、安心してたんです。
今度から気をつけます…ごめんね、カ オリ」
カオリ「(頭を振り)ありがとう」
カオリ、握り締めていた花飾りを雄介に渡そうとする。
雄介「え?」
幸子「お礼なんだよね?お兄ちゃんに」
雄介「いやいや…このおじさんにあげてよ」
イノシシ「(驚く)えっ?」
雄介「最初に駆けつけたのはこのおじさんだから、これはおじさんに」
カオリ「(頷いて)ありがとう」
イノシシ怪人、躊躇しながら花飾りを受け取る。
幸子「せめて…お名前を…」
イノシシ「あ…え、あの…イノマタ…イノマタというものでし」
幸子「(深々と礼)ありがとうございました。イノマタさん」
カオリ「ありがとう、イノマタのおじちゃん」
雄介「よかったよかった」
百合子「じゃ、行こっか、雄介」
幸子「じゃ…これで」
カオリ「バイバイ、イノマタのおじちゃん」
イノシシ「ばいばい…お嬢ちゃん」
イノシシ怪人を残して皆、去る。
ちょっとだけ微笑んでいるイノシシ怪人。背後にはサイ怪人が立っている。
イノシシ「あ、兄貴」
サイ「いつまで待っても来ないと思ったら…お前、人間様の仲間入りか?」
イノシシ「(シドロモドロ)え、雄介、伊吹雄介を発見したでし」
サイ「うそつけ!」
イノシシ「本当でし、本当でし!」
サイ「(歯を食いしばり)来い、作戦変更だ」
サイ怪人、イノシシ怪人を引きずっていく。
イノシシ「作戦変更?聞いてないでし」
サイ「うるサイ!」
○路上(夕)
雄介と百合子が歩いている。
百合子「ねえ、あの男の人、ちょっと変だったと思わない?」
雄介「そうか?いい人だったじゃん」
百合子「違うのよ、雰囲気が。嫌な予感がするわ」
雄介「人を見た目で判断しちゃだめだよ」
百合子「分かってるけど…」
雄介「よせよ。気のせいだよ」
百合子「(不安そう)だといいけど…」
○荒地(夜)
鉄塔の下。強風が電線を切る音が不気味に響く。
人間化しているサイ怪人、その後にイノシシ怪人が歩いてくる。
イノシシ「何でしか?新しい作戦ってのは」
サイ怪人、元の姿に。
イノシシ「ここで何をやるでしか?」
サイ「うるサイ!いつまでそんな格好をしてるんだ」
イノシシ怪人、元の姿に。
サイ「いいか、この作戦はお前の力にかかっている」
イノシシ「力なら自身があるでし」
サイ「いいか、まず、お前が街の中で人間どもを体当たりで蹴散らす」
イノシシ「あの…」
サイ「そうすれば騒ぎを聞きつけて必ず奴が現れる」
イノシシ「あの…」
サイ「そして、奴が現れたらすかさずお前が体当たりでドカン」
イノシシ「あの…やっぱり仕事は俺だけでしか?」
サイ「うるサイ、これはお前の修行なんだ」
イノシシ「…分かったでし」
サイ「さあ、早速特訓だ」
イノシシ「特訓?」
サイ「この鉄塔に鉄砲をして感覚を取り戻すんだ」
イノシシ怪人はためらっている。
サイ「さあ、この鉄塔をヨーディルに見立てるんだ!」
イノシシ「デカすぎるでし」
サイ「うるサイ!さっさとやれ!」
イノシシ「やるでし…やるしかないでし!」
イノシシ怪人が鉄塔に何度も体当たり。
初めのうちはビクともしないが次第に傾き始める。
不意にイノシシ怪人の足元に花飾りが落ちる。カオリにもらったもの。
イノシシ「!」
慌てて花飾りを懐に入れ、また体当たりを始める。
イノシシ「この!この!でし」
鉄塔はきしみながら倒れる。
サイ「いいぞ!その調子だ!」
サイ怪人は高笑い。
○繁華街
悲鳴を上げ、逃げ惑う人々。
泣き叫ぶ人々を追い詰め、跳ね飛ばすイノシシ怪人。
イノシシ「ウァッハッハッハ!」
それを見ているサイ怪人。
サイ「もっとやれ!もっとやれ!」
○路上
サイレンを鳴らしながら走行する一条の運転するパトカー。
○繁華街
救急車に運び込まれるケガ人。道端ではまだ多くの人が倒れている。
そこに私服パトカーが到着。
野次馬を掻き分けてくる一条に警察官が駆け寄る。
警察官「一条さん!あの、怪物が現れて…」
一条はそのままロープをかいくぐっていく。
警察官「あぶないですよ!」
歩きながら拳銃をかまえる一条。
警察官「あぶないですよ、やめてください」
一条「(振り返る)」
百合子が一条に駆け寄ってくる。
一条「あぶないぞ」
百合子「ドゥームの仕業なの?」
一条「…」
百合子「そんなんでしょ?だったら何で雄介を呼ばないの?」
一条「あいつは警察じゃない」
一条、歩きだす。
そこに野次馬を掻き分けてマシン2000が登場。駆けてくる雄介。
百合子「雄介!」
雄介「一条さん、ドゥームですか?」
一条「お前はひっこんでろ」
駆けていく一条、だが目の前に現れるイノシシ怪人とサイ怪人。
サイ怪人「懲りないやつらだ。行け、イノシシ怪人」
イノシシ「覚悟でし!」
イノシシ怪人が突進してくる。
雄介「あぶない」
雄介は一条を弾き飛ばして突進をかわす。
一条「(睨みつけ)余計なことをするな」
雄介「(睨みつけ)せっかく助けたのに」
一条「助けてくれとは誰も言ってない」
雄介「(睨みつける)」
百合子「ちょっと、もっと協力しあってよ!バラバラだと負けちゃうよ!」
一条「…」
雄介「…」
サイ怪人が野次馬に歩み寄る。
サイ「へっへっへ。お前らは俺が料理してやろう」
警察官「早く、こっちへ」
警察官に促され逃げる野次馬。
サイ「待て!逃げても無駄だぞ」
サイ怪人はパトカーに突進する。
サイ「ぐぁぁぁぁぁぁ!」
パトカーを持ち上げ、ひっくり返す。
影では逃げ遅れた野次馬が怯えている。
サイ「ウアッハッハッハ!」
雄介(声)「だめだ…奴らをあの人たちから引き離さなければ…よし!」
雄介は立ち上がり落ちている木片を掴んでサイ怪人に投げつける。
雄介「おい、うすのろ。こっちだこっち。来れるもんならついてきてみろ!」
雄介、繁華街の奥に走っていく。
サイ「生意気な!」
イノシシ「兄貴!」
サイ怪人、イノシシ怪人が雄介の後を追う。
一条「(歯を食いしばり)待て!」
百合子「ちょっと!」
一条、百合子も続く。
○同・ストリート
走ってくる雄介。方向を変え路地に飛び込む。
サイ怪人、イノシシ怪人はそのまま通り過ぎる。
○同・路地
雄介は通り過ぎる怪人らを確認して変身。
二輪運転手ヨーディル登場!
○同・ストリート
怪人の姿はない。
一条が走ってきて立ち止まる。その後から百合子。
一条「あぶないぞ」
百合子「どっちがあぶないのよ」
突然、物陰からイノシシ怪人がダッシュしてくる。
一条「覚悟しろ!」
一条、辺りを駆け回るイノシシ怪人に何度も発砲するが全く当たらない。
一条「クソッ、速すぎる」
百合子「きゃっ!」
百合子の背後からイノシシ怪人が突進してくる。
一条「!」
と、その時、物陰からヨーディルが飛び出して一条と百合子をかばう。
イノシシ怪人はそのまま通り過ぎていく。
百合子は気を失っている。
一条「おい、しっかりしろ!」
ヨーディル「大丈夫、気を失ってるだけだ」
立ち上がるヨーディル。
一条「おい」
ヨーディル「(振り返る)」
一条「奴らを狭いところに誘い出せ。そうすれば突進が出来なくなる」
ヨーディル「分かった」
走り出そうとするヨーディル。
一条「おい」
ヨーディル「(振り返る)」
一条「助けてくれて、ありがとよ」
ヨーディル「(頷く)」
走りだすヨーディル。
○繁華街・路地
ヨーディルが駆けてくる。サイ怪人とイノシシ怪人も登場。
ヨーディルは挑発的な仕草で、
ヨーディル「さあ、来い」
突進するイノシシ怪人。ヨーディルは巧みに避ける。
イノシシ怪人は電柱に激突。
イノシシ「い、痛いでし!」
ヨーディル「だらしないやつらだ、二人でかかって来い」
サイ「何を!」
サイ怪人も足を踏みならして突進。ヨーディルはまたも避ける。
ブロック塀に激突するサイ怪人。
ヨーディル「まだまだ!」
駆けていくヨーディル。怪人たちも後を追うがスピードが速すぎて
小回りがきかずあちこちに身体をぶつけている。
○繁華街・袋小路
ヨーディルが駆けてくる。怪人たちもやってくるが、肩で息。
ヨーディル「どうした?もう終わりか?」
イノシシ「悔しいでし!」
イノシシ怪人が突進するがヨーディルは避けて塀に激突。
サイ怪人も続くが同じ。
イノシシ怪人はまたも突進するがスピードが遅くヨーディルの出した足に
引っ掛かり転倒。
イノシシ「狭すぎて加速がつけられないでし」
サイ「待て…これはあいつの作戦だ…もっと広いところに移動するぞ」
イノシシ「分かったでし」
サイ怪人が駆け出す、イノシシ怪人も身体をぶつけながら後を追う。
ヨーディル「おい、待て!」
ヨーディルも続く。
○河川敷
草むらで花飾りを作っているカオリ。
× × ×
幸子はカオリに目の届かない土手の上で立ち話に夢中。
× × ×
グランドにサイ怪人、イノシシ怪人が駆けてくる。
サイ「おい、ここだ、ここでヨーディルを待ち伏せだ。待ち伏せて、何も知らずに
来たところをドカンと」
イノシシ「また俺だけでしか?」
サイ「今度は俺もやる」
イノシシ「分かったでし」
× × ×
暫くしてグランドにヨーディルが駆けてくる。人影がないので辺りを見回す。
サイ(声)「ウアッハッハッハ」
ヨーディル「どこだ?出て来い」
イノシシ(声)「言われなくても、出るでし!」
草の陰からイノシシ怪人が突進、オーティスを跳ね飛ばす。
サイ怪人も姿を現す。
サイ「いいぞ、やれ」
やっと起き上がったヨーディルに突進するイノシシ怪人。
イノシシ「また俺一人でし!」
ヨーディル「(絞り出す)クソッ」
ヨーディルは間一髪で突進を避ける。
× × ×
土手に一条と百合子の姿。
百合子、グランドを見て、
百合子「雄介!」
一条「あ〜あ、これじゃ広すぎるよ」
幸子が駆けつける。
幸子「(真っ青)あの、娘が、カオリが…」
一条「しっかりしてください!」
百合子、草むらで花を摘んでいるカオリを見て、
百合子「あっ!」
百合子は慌てて駆け下りていく。
一条「待て!」
後を追う一条。
× × ×
何度もイノシシ怪人の突進をかわすヨーディル。
動きは遅くなりかなり衰弱している。
× × ×
草むらのカオリに駆け寄る百合子。
カオリ「誰?」
百合子「いいから、ちょっと伏せてて」
カオリ「何?」
百合子「しーっ、静かに」
一条が転がりこんできて、拳銃を構える。
百合子「ちょっと」
一条「耳、押さえてなよ、お嬢さんたち」
一条、発砲しようとするが弾切れ。
一条「クソッ、こうなったら…」
百合子、一条の手を引っ張って引き倒す。
百合子「無茶しないでよ」
一条「…」
× × ×
足を踏みならすイノシシ怪人。
イノシシ「今度こそ、本当に覚悟でし!」
走りだすイノシシ怪人。助走をつけ、ヨーディルに向かおうとする。
イノシシ「最後のとどめでし!とどめでし!これで、一人前でし!」
× × ×
カオリが立ち上がる。
百合子「あぶないよ!」
カオリ「おじちゃん?」
× × ×
イノシシ怪人の動きが遅くなる。
× × ×
カオリ「おじちゃんでしょ?私、分かるよ」
百合子「えっ?何言ってるの?」
× × ×
立ち止まるイノシシ怪人。
イノシシ「お嬢ちゃん…」
サイ「どうした?さっさとどどめを刺せ」
× × ×
カオリ「どこにいるの?おじちゃん」
百合子「あぶないから伏せてて。お願い」
百合子はカオリを伏せさせる。
× × ×
サイ「何をためらっている!」
イノシシ「お嬢ちゃん…」
必死に起き上がろうとするヨーディル。
ヨーディル「クソッ…」
サイ「とどめを刺せ!一人前になりたくないのか?」
頭を何度も振るイノシシ怪人。
イノシシ「やるでし、やるしかないでし!」
イノシシ怪人が助走をつける。
ヨーディルの背後から歓声。
ヨーディル「(振り向いて)なに?」
ヨーディルの背後に保母と幼稚園児たち。一行は何も気が付いていない。
× × ×
幼稚園児の一団を発見する百合子。
百合子「あぶない!」
× × ×
ヨーディル(声)「だめだ…今度あいつの突進を避けたらあの子たちが跳ね
飛ばされる…もう避けられない…どうすればいいんだ…」
川を見るヨーディル。
ヨーディル(声)「水…そうか!」
ヨーディル、よろよろと立ち上がり、超変身、スプラッシュフォームに。
川底から現れたドラゴンロッドを構えるヨーディル。
ヨーディル「さあ、来い!」
イノシシ「そんなことをしても無駄でし!俺は一人前になるでし!」
イノシシ怪人の突進。今までになく猛スピード。
ヨーディル(声)「ダメだ!速すぎる!」
ヨーディルの反応が遅れた!その時…
× × ×
立ち上がるカオリ。
カオリ「やっぱりイノマタのおじちゃんだ。ねえ、遊ぼうよ!どこにいるの?」
× × ×
イノシシ「お…お嬢ちゃん…」
× × ×
百合子「イノマタの…おじちゃん?」
× × ×
ヨーディル「なに?」
○フラッシュ
河川敷でカオリから花飾りをもらって照れている人間化したイノシシ怪人。
○もとの河川敷
動きが一瞬鈍るイノシシ怪人。
ヨーディル(声)「ダメだ!来るな!」
ヨーディルはイノシシ怪人への攻撃を交わそうとするが間に合わず
ドラゴンロッドが怪人に直撃。
イノシシ「(絶叫)あああああああ…お嬢ちゃん、サヨナラでし!」
崩れ落ちるイノシシ怪人。
× × ×
草むらでカオリとともにうずくまる百合子。必死にカオリの耳を押さえている。
百合子「ダメ…聞いちゃダメ…」
× × ×
サイ「だらしないやつめ!」
サイ怪人は助走をつけてヨーディルに突進。
ヨーディルはドラゴンロッドで攻撃するがサイ怪人は手傷を負うだけ。
サイ「おのれ、ヨーディル、おぼえてろ!」
サイ怪人は猛スピードで去る。ヨーディルも後を追うが間に合わない。
× × ×
イノシシ怪人の遺体が消滅する。その跡には花飾りが落ちている。
× × ×
パトカーや救急車が到着。警察官らによって現場の整理が行われている。
一条は他の刑事と何やら相談している。
幸子に抱きかかえられているカオリ。
カオリ「イノマタのおじちゃんは?」
幸子「そんな人、いなかったよ、ね、そうですよね」
同意を求められた百合子、
百合子「(躊躇して)え、ええ」
百合子、川べりを見て歩きだす。
× × ×
川べりには雄介。手に持っていた花飾りを川に投げる。
花飾りはゆっくりと流れていく。
背後から百合子。百合子は声を掛けようとするが何も言わずに消える雄介。
一条がやってきて、百合子にCD−ROMを渡す。
一条「碑文の新しい部分のデータだ。解読に協力してもらいたい」
百合子「私、警察じゃないわよ」
一条「さっきは、すまん。どうかしてた」
百合子「(ゆっくり頷きながら)ねえ」
一条「何だ?」
百合子「どうして戦わなければならないの?何を理由に、こんな辛い思いを
しなきゃならないの?」
一条「さあな。ただ言えることは戦わないと俺たちがやられるってことだ。
その昔、やつらは我々人類を襲った。歴史は繰り返す」
百合子「歴史が繰り返すんだったら、オーティスが私たちを…」
一条「それは分からない」
その場を離れる一条。
百合子は川面を見つめている。
○路上
苦悩に満ちた表情でマシン2000を走らせる雄介。
―11話・完―
第12話
正義の味方(仮題)
登場人物
伊吹雄介(24)
一条達也(25)
葉山百合子(24)
おやっさん(名称未定)
医師A(準レギュラー:名称未定)
百合子の母
そば屋の男
大学生
二輪運転手ヨーディル
サイ怪人
キノコ怪人
ドゥーム王(声)
梗 概
百合子は不機嫌だった。それは一条から依頼された碑文の解読。判明すれば
新しい「超変身」の謎が解ける。だが結局自分一人で行っていることに怒りを
感じていた。うまく解読できれば問題はなかったのだが、行き詰まっていたことが
彼女の怒りや焦りを助長していたのだ。
××遺跡からは新たな怪人、キノコ怪人が姿を現していた。この怪人は人間化し、
自分の毒胞子で育てたキノコで弁当を作ってより多くの人間を苦しめようとする
作戦で行動。
犠牲者が多発し、実際に雄介と百合子も間一髪のところで切り抜けた。
せっかく雄介も解読に強力しかけた折、登場するキノコ怪人。途中でサイ怪人も
合流して「きのこ弁当」のトラックを走らせている。
「お前は引っ込んでろ」
「いえ、行きます」
雄介は一条の制止も振り切って出撃。またも解読作業は百合子一人に。
雄介が天井にしがみついたまま走るトラックはやがて空き地で横転。
ヨーディルに変身した雄介とキノコ怪人とサイ怪人との接近戦となったが
ヨーディルは毒胞子を浴び、サイ怪人の突進を受けて意識を失っていた。
そこに駆けつけて来たのは一条。
「伊吹、伊吹…クソッ!」
一条は変身が解けた雄介の身体から取ったベルトを装着し、変身ポーズをとり、
何とヨーディルに変身してしまう(しかもマイティフォーム)だが、急激に
消耗される体力。
「伊吹はいつもこんな辛い思いをして戦っているのか…」
一条は短期決戦に持ち込むため、さらに超変身。ブラストフォームに。
そしてペガサスボウガンでキノコ怪人とサイ怪人に爆裂矢を打ち込む。
崩れ落ちるキノコ怪人。だがサイ怪人には効果がなくそのまま突進攻撃を受けて
しまい吹っ飛ばされる。
意識が戻った雄介は変身が解けて横たわる一条に歩み寄る。朦朧とした状態で
見たもう一人のヨーディルは一条だった。
「やっぱり…俺じゃダメだな…」
そこに百合子が駆けつけて来た。碑文の解読が終わったのだ。百合子は雄介に
解明した部分を伝える。
「一条さん!」
「君にも…見せたかったよ…正義の味方…」
百合子の腕の中で意識を失っていく一条。
雄介は怒りに満ちていた、ヨーディルに変身し、百合子から伝えてもらった部分を
合わせて新しい超変身のポーズをとる。それは激しい風と稲光を呼ぶ凄まじいもの。
やがて一発の落雷を目印に地面から巨大な剣「タイタンソード」を引っ張り出す。
「うあああ」
ソードは重すぎて思い通りに動かせない。だが彼の怒りはそれを通り越していた。
メチャクチャに剣を振りながらサイ怪人の突進を迎え撃つヨーディル。
結局サイ怪人の鼻のツノを折る。
「くそ!おぼえてろ!」
サイ怪人は逃げ出した。だがヨーディルは後を追う力もなくその場に崩れる。
そしてタイタンソードはそのまま天高く上がり、夕焼け空に輝く星となる。
どこかの土地の山奥の家。ここの主人の老剣士が赤い空に輝く星を見ていた。
「来るときが来た」
老剣士は家人にそういい残すと、そのまま星の輝く方向に歩きはじめた。
○葉山家・前(夜)
郊外の一軒家。
人通りは全くない。
○同家・百合子の部屋(夜)
二階の一室。
百合子が机に向かっている。机上のノートパソコンを開いている。
百合子「指…鳥…蛇…鳥…蛇…最後は剣。でもだめだ、最初のやつがやっぱり
分からない…(ため息)」
○ノートパソコン画面
画面はニ分割。右側に碑文の文字。左側にはギリシャ、中国などの
古代文字が次々と流れていく。
○もとの百合子の部屋(夜)
百合子、パソコンの画面を見ながらあくび。
階下から百合子の母の声。
母(声)「百合子、もう遅いから寝なさい」
百合子「分かってるよ!(ブツブツ)…ったく子供じゃないんだからさ」
パソコンの画面に見入る百合子。
○××遺跡・前(夜)
○同・中(夜)
外から動物の不気味な鳴き声。唸り声。
突然、地響きとともにドゥーム王の声が響き渡る。
王(声)「出でよ僕よ。伊吹雄介を、二輪ライダーヨーディルを殲滅せよ!」
キノコ「ハハーッ」
王(声)「よくぞ出てきたキノコ怪人よ。貴様の力を持って、人間どもをこらしめよ」
キノコ「おやすい御用で…大量の人間を一度に苦しませてご覧に入れましょう」
王(声)「その言葉、信じてよいのだな?」
キノコ「ハハーッ。私は人間に情が移ったあまり戦死したり、尻尾を巻いて逃げる
ようなことは決していたしません」
王(声)「うむ、頼もしい。では…いざゆけ!わが僕よ!」
キノコ「ハハーッ!」
人間化するキノコ怪人。
(顔が不自然に白く、「カサ」をイメージさせる赤いベレー帽をかぶっています)
○葉山家・前
家の中から百合子の母の声。
母(声)「百合子」
○同家・百合子の部屋
カーテンの隙間から陽光。
母(声)「百合子」
百合子は机の上に頭を落として眠っている。パソコンは電源が入ったまま。
母が入ってくる。
母「百合子、いつまで寝てるの?」
百合子、目覚める。
百合子「(あくび)」
母「まあ、夜中じゅうやってたの?」
百合子「あ、うん、まあね」
母「そんなことばかりしてたら身体壊すわよ」
百合子「でも…」
母「一人だと大変じゃない。他に誰か手伝ってくれる人はいないの?」
百合子「(あくび)」
百合子、辛そうに頭をたたく。
百合子「そうだよね。そうじゃなきゃおかしいよね」
立ち上がる百合子。
× × ×
受話器を持ったまま一人部屋の中をウロウロする百合子。
百合子「どこいってんだ、雄介のやつ」
呼出音が続き、一旦通話を切り、ダイヤルしなおす。
百合子「もしもし」
○××警察署・前
○同警察署・中
一条の仕事場。
受話器を持つ一条。目の前にはそばの入ったどんぶり。
仕事場の出入口にはうどん屋の男。
男「毎度ありい」
出ていく男。
一条「何?」
割り箸を割る一条。
○葉山家・百合子の部屋
受話器を持った百合子。
百合子「雄介、どこにいるか知りませんか?」
○××警察署・中
どんぶりと受話器を持って器用に話す一条。
一条「知らないよ、あんなやつの居場所なんかいちいちチェックしてないし。
何よ、伊吹をデートにでも誘うつもり?そんなことないって?そうじゃないの?
今日、天気いいし。あと、面白い映画も始まってるし。何なら俺と行く?」
一条、そばを口に運ぶ。
○葉山家・百合子の部屋
百合子、通話中。
百合子「違うってば。だから一条さんに頼まれた碑文の…」
受話器の向こうではそばをすする音。
百合子「ちょ、ちょっと何やってるの?」
○××警察署・中
そばをすする一条。
一条「ん?きのこそば食ってるの。うまいよ。食べる?」
通話は切れている。
一条は首をかしげ受話器を置き、そばを食べる。
○葉山家・百合子の部屋
受話器を放り投げる百合子。
百合子「(ため息)いい気なもんだ」
とパソコンを操作して碑文をプリントアウトして部屋を出ていく百合子。
階下より…
百合子(声)「ちょっと行ってくる」
母(声)「ちょっとって、どこ行くの?」
ドアが閉まる音。
○××大学・グランド
ラグビー部が練習中。
大学生Aが笛を吹き、
大学生A「よし、昼休みだ」
バラバラと歩きだす大学生たち。
そこに一台のトラック。荷台の幌には「名物きのこ弁当」とある。
運転席には人間化したキノコ怪人。
キノコ怪人はスピーカー越しに、
キノコ「え〜、名物〜きのこ弁当はいかが…」
大学生たちが駆け寄る。
大学生A「お、きのこ弁当だってよ」
大学生B「俺、ちょうど弁当買うところだったんだよ」
大学生C「俺も」
大学生D「あの!すみませーん!」
キノコ怪人、降りてきて殺到する大学生たちに弁当をさばく。
× × ×
キノコ怪人のトラックが走り出すと、その向こうでは弁当を食べて
もがき苦しむ大学生たち。
キノコ怪人の笑い声。
○バイクショップ××・前
○同・中
おやっさんの店。
マシン2000を整備する雄介とそれを見ながら話をするおやっさん。
雄介「おやっさんて、そんなにグルメなの?」
おやっさん「あたりめえよ。そば屋に行くと、まず、うどんとそばを食べ比べる。
ちゃんとしたそば屋だとよ、そばとうどんのつゆの濃さが違うんだ」
雄介「へえ、気付かなかった。どうして?」
おやっさん「そりゃ、そばは風味を楽しむものだからな。つゆを薄くするんだ。
そば粉と割り粉が7:3くらいだとちょうどいい風味だわな。でもよ、出前やってる
とこだと、麺が伸びちゃうからよ、5:5くらいかな。止むなく率を落としてる店も
少なくないってわけよ」
雄介「へえ、おやっさんって、本当にグルメなんだ」
おやっさん「(満面の笑み)あったりめえよ。なんなら今度、食わしてやるよ、
うまいとこのやつ」
店の前に車が停車し、百合子が入ってくる。
雄介「百合子、どうしたんだ?」
百合子「(不機嫌)どうしたんだじゃないわよ。まったく、いい気なもんね」
雄介「どうしたんだよ」
おやっさんの頭にツノのジェスチャーを見て首を傾げる雄介。
百合子「雄介も考えてよ」
百合子、碑文のコピーを雄介に押し付ける。
百合子「碑文のコピー。新しい超変身が書いてあるらしいんだけど、
分からないのよ」
雄介「でもさ、専門家の百合子が分からないんじゃ…」
百合子「(怒)じゃあ、どうすればいいのよ!」
雄介「どうすればいいのって…」
おやっさん「もしよかったら、それ見せちゃくれないか。そういうのって案外素人が
見た方が片付くことってあるし。バイクだってそうだ。原因不明の故障も素人目から
教えられることだって珍しいことじゃない」
コピーを手に取るおやっさん。
おやっさん「最初のはちょっと分かんないけど、次のは指だろ?その次は鳥、蛇、
また鳥。おや、次のも蛇だ。違うか?」
百合子「それは分かってるんです。でもその意味が…」
おやっさん「あんたはどう考えてるんだ?」
百合子「昔いた鳥とか、蛇を示しているんだと思います。古代文字と照らし合わせて
いるんですが。分かっても、今も生息しているとは限りませんし」
笑いだすおやっさん。
怪訝そうな百合子。
おやっさん「これを書いた人たち、えらかったんだろ?だったらもっと分かりやすい
意味をこめるわな。こういうのは」
百合子「分かりやすい?」
おやっさん「例えばこうだ。鳥ってどこにいる?」
雄介「空…ですね」
おやっさん「そうだ。蛇は?蛇は空を飛べない。地面だ。二番目の文字は指だから、
天と地を指差せってことじゃないのかな。そうすれば剣が現れる」
百合子「いいかもしれない…」
百合子、雄介の手を引っ張る。
雄介「どうしたんだよ」
百合子「解読を進めるのよ。来て」
百合子、雄介を連れ出す。
百合子「ありがとうございました」
おやっさん「(笑う)あの二人、結構お似合いだな」
○××大学・前
マシン2000から降りる雄介と自分の車から降りる百合子。そのまま歩きだす。
雄介「大学?」
百合子「研究室、ちょっとだけ借りるの。設備も整ってるから」
歩きだす二人。
× × ×
少し離れたところにキノコ怪人のトラックが停車している。
キノコ怪人(人間化)は雄介と百合子の姿を確認してゆっくりと発車。
× × ×
歩いている二人。
雄介「…でさ、さっきの天と地ってやつ。いっぺんには無理だから、
両手を使うんじゃないかな?」
百合子「それだったら、もっと碑文はもっと違う書き方をしてあるはずよ」
雄介「そうか…」
二人の前にゆっくり停車するキノコ怪人のトラック。
キノコ(声)「え〜、きのこ弁当はいかが?とれたて新鮮、きのこ弁当」
雄介、立ち止まり、
雄介「どうする?」
百合子「そうね、お昼も近いし買っとこうか」
雄介「きのこ弁当二つ。…あ、俺出しとくよ」
雄介、怪人から弁当を二つ買う。
そのまま歩きだす二人。
雄介「…あ、そうだ。片手でグルグル回すんじゃないの?天、地、天、地って。
そうすればどこかから剣が現れる」
百合子「あ、それいい考えかも!」
キノコ「バカめ」
歩いていく二人を見送りながら高笑いをする怪人。
と、突然パトカーが停車し、怪人の周りを一条と警察官らが囲む。
一条「あいつら!」
一条は大学構内に走る。
○同大学・考古学研究室
パソコンのモニターに向かう雄介と百合子。
百合子「となると問題は最初のやつね」
雄介と百合子、弁当を開けて口に運ぼうとすると一条が駆け込んでくる。
一条「それを食うな!」
雄介「え?」
百合子「一条さん」
一条「そのキノコは毒キノコだ」
雄介「またまた。このキノコのどこが…」
再び弁当を口に運ぼうとする雄介。
一条「食うなっていってるだろ」
一条、二人の弁当を取り上げる。
百合子「あ、一条さん、キノコ好きだから食べたいんでしょ。欲しかったら門の前に
弁当屋さんが」
一条「(怒)違う!あの弁当屋、ドゥーム怪人なんだ」
雄介「え?」
一条「現に被害も出てる」
○同大学・前
キノコ怪人(人間化)を囲む警察官たち。
キノコ「ウアッハッハッハ。よく分かったな」
怪人はもとの姿に戻る。動揺する警察官たち。
キノコ「おじけづいたか?だらしない奴め」
怪人が口から吐き出した毒胞子にもがき苦しむ警察官たち。
怪人はそのままトラックに乗って走りだす。
○同大学・考古学研究室
雄介と百合子と一条。
一条「分かったらおとなしくしておけ!」
出て行こうとする一条。
雄介「一条さん」
一条「今回はお前らの出番はない」
出て行く一条。雄介も後を追うが、
百合子「どこ行くの?」
雄介「ごめん」
百合子「碑文の解読はどうなるの?また私一人でやれっていうの?」
雄介「…ごめん、解読できたら、教えてくれ。大丈夫、百合子なら出来る」
雄介、思い切ったように出て行く。
百合子「待ってよ!どうして私だけ…」
泣き崩れる百合子。
○路上
走行するキノコ怪人のトラック。途中で車を止める男が現れる、人間化した
サイ怪人。
サイ「止まれ、止まれ、この!」
キノコ「うるさいやつだ」
キノコ怪人はサイ怪人に毒胞子をぶっかける。
サイ怪人は咳き込みながら、
サイ「バカ、俺はドゥームのサイ怪人さまだ」
キノコ「ほう…お前が尻尾を巻いて逃げたサイ怪人か」
サイ「うるサイ!いいから乗せろ」
キノコ「ダメだ。作戦の予定が狂う」
サイ「よく考えてみろ、お前の毒でヨーディルを弱らせて、俺が体当たりをする。
こんな完璧な攻撃があるか?」
キノコ「う〜む」
サイ「もちろんお前の手柄にしてやる。どうだ、俺とやってみないか?」
キノコ「(思案して)仕方ないな」
サイ怪人もトラックに乗り、走りだす。
その背後から近づいてくる一条のパトカー。
それに追いつくマシン2000。
一条「来るなと言ったろ」
雄介「ここは俺にまかせてください」
一条「奴は毒胞子を放つ。接近戦じゃ無理だ。ヘリを手配しているからお前は
引っ込んでろ」
雄介「いえ、行きます」
一条「おい!」
雄介はトラックを追う。
○××大学・考古学研究室
ふくれっ面でパソコンの画面に向かう百合子。
百合子「あっ!」
○パソコン画面
碑文の最初の文字。円形の上に二本のフォークをクロスさせた図形。
よく見ると円形には赤い色素が残っている。
○もとの考古学研究室
百合子、画面を見ながら、
百合子「赤い…ということは…太陽?…それ とも…」
おやっさんの声。
おやっさん(声)「これを書いた人たち、えら かったんだろ?だったらもっと分かり
やすい意味をこめるわな。こういうのは」
百合子「違う…」
百合子の心音が聞こえてくる。
百合子「心臓?」
心音がさらに大きくなる。
百合子「心臓…に…これは手?心臓の前に手をクロスさせる…胸の前で
腕を組む!」
立ち上がる百合子。そのまま部屋を飛び出す。
○路上
キノコ怪人のトラックを追う雄介のマシン2000。
トラックは蛇行運転をするが尚も追走し、ついにはトラックの屋根に飛び移る
雄介。車の蛇行は激しくなるが必死にしがみつく。
× × ×
後方を走るパトカーから雄介を見守る一条。
一条「あのバカ!」
× × ×
トラックの運転席ではハンドルを必死に握るキノコ怪人。毒胞子を雄介に
かけようとするが「カサ」が窓にかさばって顔を外に出せない。
失敗して車の中に胞子を出してしまうキノコ怪人。
キノコ「おのれ!」
その隣で激しい揺れと毒に咳き込むサイ怪人。
○別の路上
車を走らせる百合子。
百合子「もう、どこなのよ」
○空地
キノコ怪人のトラックが走ってくる。
天井の上で激しい蛇行に耐える雄介。
だが蛇行があまりにも激しすぎてトラックが横転してしまう。
雄介はその場から離れると。車の中からキノコ怪人。そしてやたら
咳き込んでいるサイ怪人は足元がおぼつかない。
サイ「ひどい運転だ」
キノコ「うるサイ」
サイ「それは俺のセリフだ」
雄介はその場で変身。
二輪運転手ヨーディル登場!
キノコ怪人と取っ組み合うが、なかなか倒せない。
キノコ「バカめ、近づきすぎだ」
ヨーディル「なに」
キノコ「お近づきのしるしに、どうぞ」
キノコ怪人、ヨーディルに毒胞子をあびせる。
ヨーディル「か、身体が…しびれていく…」
ヨーディルはその場で動けなくなる。
そこにサイ怪人の突進。ヨーディルははじき飛ばされる。
× × ×
一条のパトカーがやってくる。
ヨーディルが弾き飛ばされるのを見てパトカーから飛び出す一条、
草むらのヨーディルのもとに。
× × ×
キノコ「おや、どこにいった?」
サイ「俺の突進をくらっては暫くは動けまい」
キノコ「違う、俺の毒が効いてるんだ」
サイ「違う」
キノコ「うるサイ!」
サイ「そっちこそ、うるサイ!」
× × ×
ヨーディルを抱きかかえる一条。変身が解け、もとの雄介に戻る。
一条「伊吹、伊吹」
雄介はうめき声を上げている。
雄介のベルトを見つめる一条。
一条「(思案して)…クソッ!」
ベルトを自分の腰に装着し、立ち上がり、変身の動作をする一条。
一旦間を置いて、二輪運転手ヨーディルに変身(マイティフォーム)する。
怪人たちはヨーディルに気付く。
サイ「思ったより早かったな。お前の毒が弱いからだ」
キノコ「お前の突進が情けないからだ」
サイ「何を!」
ヨーディル「早速仲間割れか」
怪人のもとへと走るヨーディル。
しかし、荒い呼吸音。
ヨーディル(声)「体力の消耗がこんなに激しいとは…」
ヨーディル、倒れている雄介の方を見て、
ヨーディル(声)「伊吹はいつもこんな辛い思いをして…」
キノコ「ほらほら、足元がふらついてるぞ。俺の毒はジワジワと効いてくるんだ」
ヨーディルの足元がおぼつかない。
サイ「何を言っている、俺の突進のほうが足腰に衝撃を与えるんだぞ」
ヨーディル(声)「このままでは長期戦は無理だ…」
キノコ「サイ後のとどめを刺してやる!」
サイ「それは俺のセリフだ!」
怪人たちがヨーディルに向かって走りだす。
オーテイス(声)「よし…やってみよう…」
ヨーディルはふらふらと動作し、ブラストフォームに超変身、
ペガサスボウガンを怪人たちに向ける。
ヨーディル「(絶叫)来い!」
サイ「おう!」
キノコ「望むとこ…」
爆裂矢が放たれ、キノコ怪人に命中!
バラバラになるキノコ怪人。
× × ×
雄介が意識を取り戻し、戦っているオーティスを見る。
雄介「だ、誰だ…」
× × ×
サイ「なにを小癪な!」
ヨーディルは尚も爆裂矢をサイ怪人に打ち込むが全く効かずに怪人の
突進をモロに受け吹っ飛んでしまう。
× × ×
空き地の入り口に車が停車。百合子が飛び出してくる。
百合子「雄介!一条さん!」
× × ×
ヨーディルの変身が解けた一条が吹っ飛んでくる。
ゆっくりと這ってくる雄介。
雄介「一条さん!」
一条は絞るような声で、
一条「(微笑)やっぱり、俺じゃダメだな…」
雄介「一条さん!」
百合子が駆けてくる。
百合子「雄介!一条さん!」
雄介「(激怒)この野郎!」
雄介、ベルトを装着し、力を振り絞って立ち上がり、変身。
二輪運転手オーティスに。
百合子「雄介」
ヨーディル「(振り返る)」
百合子「解読したの、やってみる?」
百合子、胸の前で腕をクロスさせる。
百合子「これよ、うまくいくといいけど」
ヨーディル「分かった」
ヨーディル、駆けていく。
百合子「一条さん」
百合子は一条を抱きかかえる。
一条「(微笑)あんたにも…見せたかったよ…正義の味方…」
一条、意識を失う。
百合子「一条さん!」
× × ×
ヨーディルが足を引きずりながらサイ怪人に突進する。
ヨーディル「(絶叫)この野郎!」
サイ「(笑いながら)何?俺に突進?」
ヨーディル「(絶叫)この野郎!」
ヨーディル、怪人を押し倒し殴り続けるが全く効かない。
サイ「おお、かゆいかゆい」
ヨーディル、その場から離れる。
起き上がるサイ怪人。
サイ「今度は俺の番だ」
足を踏みならすサイ怪人。
ヨーディル「よし…」
ヨーディルは胸の前で腕をクロスさせる。次に右腕を天に向け、そのまま
グルグルと回し始めと、空が暗くなりはじめ、稲光が起こり、風が吹く。
× × ×
一条を抱きかかえる百合子、風に耐えながらヨーディルを見守る。
百合子「お願い…」
× × ×
腕を回すヨーディル。稲光と風はさらにひどくなる。
サイ「おおお、何だこれは…」
突然、オーテイスの足元に一発の落雷。
そこの部分が光りはじめる。
ヨーディル「!」
腕の回転を止め、そのまま地面の中に腕を突っ込むヨーディル。
ヨーディル「(絶叫)うぉりゃぁぁ!」
ヨーディルが力ずくで引っ張り出したのは巨大な剣、タイタンソード。
× × ×
ヨーディルを驚き見つめる百合子。
× × ×
サイ「いいお膳立てだ。覚悟!」
突進を始めるサイ怪人。
だが、ソードは自由がきかない。
ヨーディル「くそ、重すぎる!」
ヨーディルはメチャクチャに剣を振り回してサイ怪人に迎え撃つ。
身体がすれ違い。立ち止まる二人。
暫しの沈黙。
サイ「うあああ」
サイ怪人の鼻のツノが折れている。
サイ「くそ、おぼえてろ!」
鼻を押さえて逃げるサイ怪人。
ヨーディルは変身が解け、雄介の身体がその場に崩れ落ちる。
雄介に駆け寄る百合子。
百合子「雄介!」
再び晴れわたった空には夕焼け。
ヨーディルの持っていたタイタンソードはそのまま天高く上がり、
輝く星となる。
○老剣士の家・前(夕)
どこかの土地の人里離れた山奥にある藁葺きの古びた家。
風を切る音が聞こえてくる。
○同家・庭(夕)
老剣士と小僧が上半身裸で刀を振っている。
遠くからカラスの鳴き声。
老剣士、刀を振るのを止め、空を見上げる。
夕焼けの空に一際輝く星。
老剣士、歩きだす。
小僧は刀を止め、
小僧「師匠」
老剣士「出かけてくる」
小僧「こんな時間からですか?せめて夕飯を召し上がってからでも…」
老剣士「来るときが来たのだ。時期など選べるはずもなし。この私が留守の
間も鍛錬に励めよ」
小僧「どこに行きなさるんで?」
老剣士「分からぬ、あの星の方角じゃ」
老剣士、歩いていく。
小僧「師匠」
老剣士は振り返らない。
○××病院・前
○同病院・病室
雄介、一条のベッドが仲良く並ぶ。
百合子は花瓶の花を取り替えている。
百合子「(いじわるな笑い)二人とも仲良くしてね」
雄介「…」
一条「…」
ドアが開きおやっさんが入ってくる。
おやっさん「大丈夫か?」
雄介「おやっさん!何の用ですか?」
おやっさん「何の用ってこたあねえだろう。約束、忘れたのか?」
雄介、首を傾げる。
そば屋の男が入ってくる。
男「毎度ありい」
男は雄介と一条の前にどんぶりを置く。
おやっさん「ほら、そば食いたいって言ってただろ?今日は特別に、
とれとれの『きのこそば』だ。うまいぞ」
雄介「(苦笑)えっ、きのこ?」
一条「(苦笑)は、はは…」
おやっさん「何だよ、せっかく先生の許可をもらったのに。うれしくないのか」
医師Aが入ってくる。
医師A「きのこそば、一条の好物だろう」
一条「クソッ、お前まで…」
雄介「(苦笑)きのこはもういいよ…」
おやっさん「おい、何だよその態度は。えっ、えっ」
百合子「ちゃんと食べなきゃ治らないわよ」
百合子は笑っている。
病室はなごやかなムード。
―12話・完―