国道制覇(岐阜編)04'
日帰りでいける国道ツーリングは、ほぼ走り尽くしてしまった。
自動車での輪行で残されているところといえば、岐阜県飛騨地方くらいだった。
平日の休みを利用して行けそうにも思えるのだが、保育園の送り迎えがあるので、どんなにがんばっても8時半から17時半までの9時間がせいいっぱい。
車移動の時間を考えると、走れる時間があまりに少ない。
それに、時間に追われて走ることほどつまらないことはない。
そんな折り、妻が太郎を連れて実家へ行く用事ができた。
しかも、その日はボクの休日にどんぴしゃり。
このチャンスを逃してはいけない。
2004年7月29日(木)
こんな時に限って、前日の残業がながびいた。
終わったのが0時半。
それから帰って準備やら風呂やら、バタバタしていたら、2時になっていた。
5時出発の予定なのに・・・
熱帯夜で寝付けなかったら、さらに最悪になるので、普段はつけないエアコンをガンガン効かせて眠る。
4時半起床。
睡眠時間2時間半かい?
なんとか予定通り5時出発。
こんな時間なのに意外と交通量が多い。
美山町を抜けるR158は先日の福井豪雨の爪痕がなまなましい。
半壊してブルーシートで覆われた家屋。
ボコボコにへこみ、泥だらけの車。
浮き上がった線路。
泥だらけの田んぼ。
見るからに痛々しい。
しかし、氾濫した足羽川が国道からそれていくと、そこは何事もなかったかのような平和な集落になった。
こんなにも差が大きいとは。
大野市のコンビニで朝食のパンとオレンジジュースを仕入れていく。
運転しながらぼちぼち食べるが、寝不足のせいでなかなか胃が受け付けてくれない。
岐阜県荘川村のR156とR158が分岐する「であいの森」には7時半到着を予定していたが、意外と早く7時前に到着した。
ちなみにここの「さくらソフト」は絶品。
ツーリング終了後、賞味するとしよう。
車内で着替えて7:05スタート。
車ではエアコンを効かせて走ってきたが、外の空気のなんと涼やかなこと!
まるで、初秋のようなシルキーな風。
道路脇の温度計が22℃を表示していた。
「気持ちいい〜!」
やっぱ高原は違うなぁ。
平野部では早朝でも30℃越してるからなぁ・・・
今日の走行コース予定は次の通り。
R156を北上し、白川村へ、R360の峠道を経由して東進、古川町へ、R41を南下し高山市へ、最後にR158を西進してくるっと一周する168km。
まずはR156を北上。
道は御母衣湖沿いに走る絶景の道。
ところが、道は狭い上、トンネルが多かった。
交通量も意外と多い。
R156は岐阜と富山を結ぶ幹線道路なので物資運搬のトラックが多いようだ。
でも、まぁ、多いといっても、山中のほとんど交通量のない道をイメージしていた割には多いというだけで、めちゃめちゃ多いわけではない。
トンネルのところだけ気をつけていればなんの問題もない。
御母衣湖
風が気持ちよくて、若干上っている道だったけど、足軽にスイスイと走っていった。
「高原の道はいいなぁ」
そう思っていたのは、白川村までの30kmだけだった。
合掌造りで有名な白川郷で休憩。
食べ残しのパンとオレンジジュースを食す。
走り再開してすぐR360へとそれると、道は一変、細く勾配のきつい峠道へと変貌した。
それまで快調にまわっていた足は、軽いギアにおとしてもヒィコラとなり、さわやかだった空気もどこへいったやら、汗だくになってきた。
峠まで何kmあるのだろう?
実はまぬけなことに地図を持参してくるのを忘れていた。
道路脇に、「R360、10km」という表示を見つけた。
しばらく行くと、「9km」になった。
「はは〜ん、これは峠までの距離だな、ということはあと9kmか」
峠道の9kmははっきり言ってハンパではない。
しかも、勾配がきつめなので気合いを入れていかないと走りきれない。
一所懸命ペダルをこいではいるのだが、1kmごとに減っていく距離表示がなかなか現れない。
ギアはこれ以上軽いのはないよ、という39×23T、スピードは8〜10km/hくらい。
ボクの汗のにおいか吐く息をかぎつけて、アブが何匹もまとわりついてくる。
スピードが遅いからいっしょについてくる。
うざいが、しんどくなってとまるとさされることは間違いないので止まれない。
ボクが動いているうちは不思議とさされないので、ここはボクとアブの勝負。
あと7km、あと6km、あと5km・・・
のどがカラカラだ。
腰も痛い。
「もうアカン、ちょっと休憩」
ボクの負けのように思えたが、いつのまにかアブはいなくなっていた。
標高が高くなって、気温が下がったのだろうか?
それとも生息できるようなやぶがないためだろうか?
とにかく勝負はボクの勝ち、アブの負け。
「あと5kmかぁ・・・」
次の敵はこの山のようだ。
あと4km、あと3km、
「何で1kmがこんなに長いんや?」
そう思ったあと2km地点。
急に勾配が緩やかになった。
もう少しギアかけても走れるくらい緩やかだ。
これはピークが近いことを示している。
よっしゃー。
これなら2kmでもすぐに行ける。
ピークの天生峠に到着。
なんと標高1290mという表示があった。
そんなに標高が高いとは思っていなかった。
せいぜい700mくらいかと。
まぁ、上りはじめの地点がすでにある程度の標高があるので不思議でもないか。
ここで不運なことにカメラが電池切れ。
写真はここまで。
それにしてもサイクリストは端っことてっぺんが大好きだ。
天生峠(1290m)
次は下り。
「ヒルクライムのダウンヒルは最高に楽しいんだよね」
なんてことはない。
下りもつづら折りの急勾配なのだ。
ダーッとスピードはでるけど、ヘアピンコーナーの手前でスピードを落とさないと奈落の底へと落ちていくことになる。
こがなくても50km/h以上はすぐにでてしまうから、常にブレーキングしていないと危ない。
それに車も来るのだ、こんな道に。
ブラインドコーナーばかりで両方の肩から指先までにガチガチに力が入り、リムにブレーキシューがあたりっぱなしで発熱している。
いくら下りでもこれでは楽しいはずもない。
せっかく稼いだ位置エネルギーが有効に使われていないのがもったいない。
久しぶりの民家が見え、道が広くなってやっと思うようにスピードが出せるようになった。
しかし、持っていた飲み水がなくなっていたので、最初に見つけた自販機でジュース休憩。
朝の涼しい気候はどこへやら、止まると日差しがきつく暑かった。
しかし、のどかな山村だ。
じいちゃん、ばあちゃんが農作業にいそしんでいる。
ここ河合村ではR472と合流。
R472といえば、2000年東海豪雨で道無き道と化したあの国道だ。
通行止めなどの表示がなかったので、もう復興したのかもしれない。
4年も経っているしねぇ。
とにかくこの地点で、R360全線走破!
そのまま宮川村を超えて古川町へ。
次はR41を南下する。
路肩が広く、平坦なこんな道は、超えてきた天生峠に比べたらとっても走りやすいのだけど、なんかつまらないんだよねぇ。
過酷な道を好むマゾ的サイクリストか?
標高が下がり昼近くになってきたせいで、暑い。
お腹も空いてきたのでコンビニで昼食。
暑くて食欲もでないが、何か食べないとエネルギーが枯れてしまう。
ミニカツ丼とマドレーヌ一個が昼ご飯。
高山まで約17km、平坦路だから30km/hくらいで走る。
にしても暑い。
「高山は盆地だから暑いんだろうなぁ・・」
そういえば、河口湖から降りてきた夏、甲府盆地も暑かった。
高山市内、R158の交差点を右折。
ほんの数百m走ると緩やか〜な上り坂があった。
なんとその途中で右太ももがつった。
「えっ?なんでこんな緩い坂で?」
よくわからなかったが、とにかく休憩して足のマッサージとストレッチ。
なんとか回復した。
無理なペダリングはやめ、20〜22km/hくらいでゆっくり走る。
しばらくはなんともなかったが、30km/hくらいで一人のサイクリストに抜かれた。
ちょっと足が回復していたこともあって、
「あの人についていけば少し楽かも」
なんて考えて追いかけてしまった。
おかげで再びボクの足はつってしまった。
アホ・・・
道の駅ななもり清見で休憩。
前回ここを訪れたときはまだ道の駅にはなっていなかった。
清見村にはもうひとつパスカル清見という道の駅がある。
確か、道の駅は第三セクターで自治体の協力が必要だから、1市町村に1つしか造れないと聞いたが、ここは二つもできたみたいだ。
水桶に、野菜と塩のサービスはいまだ健在のようだ。
しかし、ボクはソフトクリームを食べ、暑さをしのぐ。
もう一度足のマッサージをして走行再開。
ここから峠道の始まりとなった。
登坂車線が始まる地点でペッとボトルのお茶を買う。
ボトルケージにはホットになったお茶が一本入っていたので背中に入れる。
どうせ、他のところに入れておいてもホットになるだけなのだ。
その前に背中を冷やした方が気持ちがいい。
登坂車線は延々とつづく。
過去に一度通った道ではあるが、どんな勾配の道が何kmくらいあるかほとんど覚えていなかった。
それにそのときは逆方向に走っていたので、今のぼっている道はそのときは下ってきた道なのだ。
前も8月、暑いときだった。
それだけはよく覚えていた。
足に負担もかけられないのでマイペースでゆっくり上る。
「登坂車線の終わりが上りの終わり、だけど、峠は荘川村まであと二つはあるかな・・・」
そんなことを考えていた。
やっと長い登坂車線が終わった。
その先は小鳥峠。
なんと標高1000mだった。
「えーっ?そんなに標高高いのか?」
意外で驚いた。
温見峠や冠山峠と同じくらいではないか。
しかし、気温は29℃。
「1000mで29℃かよ!」
思わずツッコミを入れてしまった。
しかし、ここから下り坂、天生峠の下りと違い快調にとばす。
ちょっと下ると気温は32℃。
「・・・」
下りきったところで、東海北陸自動車道の工事をしているらしく、片側交互通行で、大回りをさせられた。
以前と違い、山の中には不似合いな真新しいインターチェンジ。
「ふん、気にいらねぇ」
ここからR158は高速沿いに走ることに。
以前に走った道と雰囲気が全然違っていた。
もっと生い茂った木々の下を走る道だった。
秋にはものすごく紅葉がきれいな道だった。
道路開発のお陰で美しい景観がぶち壊しだ。
再び道は緩やかに上り始めた。
今度も長い道だった。
ピークの松之木峠は標高1085m。
「えーっ?さっきの峠より高いの?」
しかも、気温は同じ29℃。
暑いっちゅーねん。
カーンと下って小さな村を二つ三つやり過ごすとみたび上り坂。
飲み水がもうなくなっていた。
さっきの村で給水しておくべきだった。
少しの焦りがあったのだろうか、上りの途中でみたび足がつった。
今度は左足。
なかなか痛みが引かない。
道路の反対側に広い路肩があり木陰がある。
そこまで行きたいと思うが、足が動かない。
車も行き交うのでムリして渡るのも怖いが、なんとか足を引きずって渡った。
アスファルトにしゃがみこむと、フライパンのように暑かった。
今は日陰だけどさっきまで日に当たっていたにちがいない。
それでもがまんしてストレッチ&マッサージ。
やわらかな風が時折吹いてきて、涼を感じる。
ありがたくもあり、幸福感に満たされる。
なんとか足は回復。
実はこの先にR472の行き止まり道(片道4kmくらい)がある。
前回の時も走ろうと思っていたが、表示がなくやりすごしてしまった。
今回こそと思っていたが、足がこんな状態なのでやめることを決意した。
だけど、入り口だけはチェックしておこう。
走り出し、しばらく上るとトンネル。
これはピークの証だ。
トンネルの中は涼しくて気持ちがいい。
車が来なければ最高の場所だ。
国道の標識はR158とR472の重複国道であることを示していた。
これはR472の分岐がまだであることを示している。
前回見過ごしたということは表示がない可能性が高いから注意だ。
しかし、地図を忘れてきたことはいたい。
左へ曲がる道があればのぞき込んでチェックしていた。
結局、今回もわからないまま、通り過ぎてしまったようだ。
帰ってから地図で確認すると、R472のイントロデュースには魚帰滝があることがわかった。
そういえば、のぞき込んだ道の入り口に魚帰滝の表示があった道があった。
次回こそはそこを曲がろう。
やっと、人里にたどりついた。
のどがカラカラだ。
自販機を見つけて水分補給をする。
ここはすでに荘川村。
あと数kmだ。
下りベースだからもうイージー。
道の駅荘川も今回は寄らずに通り過ぎる。
さくらソフトがまっている。
車のところには14時半到着。
走行距離140km。
おや?予定よりかなり短いぞ。
距離計算を間違っていたようだ。
さて、車で着替えてお楽しみのさくらソフトを食べに行こう。
「あれ?」
看板にさくらソフトがなくなっているぞ?
「すいませーん、あのー、さくらソフトはやってないんですか?」
「今年はやってないんです。おいしいって言ってくれるお客さん多いんですけどね」
「せっかく食べに来たのに残念だなぁ、じゃあ、バニラ下さい」
「すいません、もう機会止めちゃったんです」
がーん。
しかたなく、帰路についた。
R156沿いに道の駅大日岳を発見した。
ここも以前は道の駅ではなかったが、今は道の駅になったようだ。
ソフトがあるのでここでソフトを食べることにした。
そしたら意外や意外最高にうまいじゃない!
まず一口食べて、戦慄が走った。
なめらかな舌触りと濃厚な牛乳の味が脳の中にあるデータベースを呼び起こす。
バニラでこんな上品な味は過去に食べた経験がない。
舌触りのデータベースは北海道で食べた山中牧場のアイスに似ていた。
おそらく糊剤を使っていない。
放っておくとすぐ形が崩れてしまうのがその証拠だ。
そして、この濃厚な味は、ひるがの高原牛乳を使っているのだろうか?
「うーむ・・・」
うなりながら一口。
「これは・・うまい・・・」
また一口。
ゆっくり食べてはいられない。
とけてしまう。
でも、味わいを楽しみつつ食す。
完食し、
「もう一個食べようかな?」
と振りかえると、店は閉められていた。
15時で閉店かよ?
また、食べに来よう。
待ってろよ道の駅大日岳。