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長編小説 恵美ちゃんはBLOGアイドル(人気携帯コミック原作)

by七度柚希

目次

第一話

1.初めての原宿見物

2.東大五月祭のミスコン

3.初めてのオーディション

4.いよいよアイドルデビュー

5.ハプニングバーは大騒動

第二話

6.ビーナスクラブ

7.ゴスロリメイド喫茶

8.プロが二歩で負ける

9.大将棋まつり

10.ラブホテルで面接

11.性感マシーン

12.性感調教

1.初めての原宿見物

彩香ちゃんのお誕生会

 中学二年の春、期末試験も終わったあと有紀は彩香ちゃんの誕生会に誘われた。
彩香ちゃんの部屋に集まったのは小学校の時からの同級生の女の子達とそれに江実矢君だ。
江実矢君はおじいちゃんがロシア人で目が青くて肌も白い。
体も小柄で髪はすこし茶色で、顔立ちも可愛らしくてちょっと見ると女の子みたいだ。
その上、着ている服はいつもお姉ちゃんのお下がりで赤やピンクの上着ばかりだ。
そのせいで小学校の時は同級生の男の子達に虐められることが多かった。
彩香ちゃんはそんな江実矢君をいつもかばって助けてあげていたので、江実矢君は彩香ちゃんには頭が上がらない。
友達も彩香ちゃんと仲のいい女の子達ばかりなので、しゃべり方や仕草まで女の子っぽくてよく女の子に間違えられた。
部屋にみんなで集まると、最初はみんなでゲームをして、お昼は彩香ちゃんの大好物のローストビーフがでた。
彩香ちゃんのママはクリスマスと誕生日にしかローストビーフを作ってくれない。
最初に彩香ちゃんが半分取ると後は女の子達がすこしづつ取り分けた。
最後に江実矢君の番になったときは、付け合わせのパセリしか残っていない。
彩香ちゃんは「江実矢君はパセリが大好きなのよ」とローストビーフを口にほおばりながら楽しそうに言ったけどパセリが好きな男の子など居るわけない。
お昼御飯の後は彩香ちゃんのママが作ったケーキをみんなで食べて、そのあと彩香ちゃんが得意のピアノを弾いた。
そのあとみんなで順番に歌を歌ったりしているとお母さんがもう時間だからとお茶の道具を片付けに来た。
「ねえちょっと、江実矢君まだまだ帰らなくても良いわよね」と彩香ちゃんに言われて江実矢君はすぐには帰れなかった。
まだ中学生にもなれば男と女、二人だけになれば何が起きるか判らない。
彩香ちゃんが「私のこと好きなの嫌いなの」と強引に江実矢君に迫ってキスを奪うことだってあり得ないことではない。
有紀はなんだか心配になって江実矢君と一緒に彩香ちゃんの部屋に残った。
彩香ちゃんが勉強机のテーブルを開けると中からパソコンが出てきた。
スイッチをいれてあれこれ操作すると、江実矢君の写真が画面に映った。
「江実矢君のblogを作ったのよ」と彩香ちゃんが言うので有紀は画面を良く見た。
去年の運動会で、江実矢君が無理矢理女の子のテニスウェア姿の仮装をさせられた時の写真がblogに自己紹介として載っていた。
もちろん江実矢君をからかうためにわざと彩香ちゃんがblogを作ったんだけど、江実矢君には彩香ちゃんに逆らえない。
彩香ちゃんはママが聞いていないのを確かめて「ねえ恵美ちゃん、こんど一緒に原宿に遊びにいきましょうよ」と江実矢君を誘った。
恵美というのは小学校の時からの江実矢君のあだ名で江実矢君のランドセルには大きく恵美と誰かが悪戯で書いてあって、消しても消えなかった。
彩香ちゃんはみんなの前では一応は「江実矢君」と呼ぶけど二人きりになったりすると「恵美ちゃん」と呼んでいる。
有紀はまた彩香ちゃんが江実矢君をデートに誘ったんだとびっくりしたが「有紀ちゃんも来てよね」と誘われて、二人きりで行かせる訳にはいかないと「うん」と返事をした。
「ねえ、恵美ちゃん、誰にも言っちゃ駄目よそれに有紀ちゃんも」
「去年私がパパとママに原宿に行きたいっていったら、二人とも絶対駄目だって言ってね、毎日今日はどこにいくかって聞かれて大変だったんだから」と彩香ちゃんが言い張るので親には内緒で行くことに話しがまとまった。
原宿見物

 当日に地下鉄の駅前で待ち合わせをすると、彩香ちゃんはいつものピンクのジャンパーにチェックのミニスカート姿だった。
江実矢君は少し遅れて来た。
彩香ちゃんは江実矢君が着ている服を足元から頭のてっぺんまで見つめた。
今日江実矢君が来てきたのはお姉さんの由香利ちゃんが高校のバレー部で着ているクラブのジャンパーだった。
小柄な江実矢君にはまだ大きすぎるけど、彩香ちゃんにはちょうどいい大きさに見えた。
彩香ちゃんは「ちょっと貸しなさいよ」と言ってジャンパーを脱がせて替わりに、彩香ちゃんのピンクの上着を着せた。
洋服を無理矢理交換させられるのは前からしょっちゅうのことなので、江実矢君は黙ってされるままになっていた。
原宿の駅を降りて坂を上がって、橋の上を通って代々木公園に行くと、黒いドレスに白いレースの縁取りのついた服装の女の子達が大勢いた。
なんだろうと思っているとその先で、路上のバンド演奏をしている。
周りを取り囲んでいる女の子達はみんな黒やピンクのドレスを着て、手を振ったり飛び跳ねたりしていた。
「これゴスロリっていうのよ、お姉ちゃんが言ってた」と彩香ちゃんが得意そうになって有紀に教えてくれた。
彩香ちゃんはピンクのワンピースが気に入ったようで「どこで売ってるのかしらね」と気になる様子だった。
ちょうどバンド演奏が終わるとボーカルをやっていた男の子が「今日はどうもありがとう」と挨拶をしていた。
女の子達はすぐには帰ろうとはしなかったが、バンドの男の子達が機材を片付け始めるとだんだんと散らばって帰り始めた。
ちょうどさっき見たピンクのワンピースの女の子が横を通って帰ろうとしたので彩香ちゃんが「あの、済みません」と声をかけた。
女の子がこっちを向いたとき「その服どこで売ってるんですか」と彩香ちゃんが聞くと「あなたたち原宿来るのは初めてなの」と女の子に聞き返された。
始めて原宿に来るなんてとても恥ずかしくて言えないけど、嘘を付くわけにもいかないので「そうなんです、今日初めて来たんです」と有紀が返事をした。
「じゃあ、一緒においでよ、案内してあげるから」と女の子が言うので、一緒について行くことにした。
女の子は秀美ちゃんと言って、原宿にはしょっちゅう来てるらしかった。
竹下通りは中学生くらいの女の子達でまるで満員電車みたいに混んでいたけどなんとか人の流れに沿って歩き続け、途中で角を曲がった。
少し先を行ってまた角を曲がるビルがあってその二階に上がると彩香ちゃんは目を丸くした。
さっき女の子達が着ていたのと同じような衣装が、ショーウィンドー一杯に並んでいて、店の中は女の子達で一杯だった。
ちょうど店の入り口の中央には特売の品がワゴンで積んであり周りを女の子達がぎっしりと群がってとても近寄れなかった。
店の中をなんとか女の子達をかき分けて入っていくと秀美ちゃんが着ているのと同じようなワンピースが並んだ列を見つけた。
「これなんかどう似合うと思うけどと」秀美ちゃんがワンピースの一つを手にとって江実矢君の両肩にハンガーを押しつけた。
秀美ちゃんは江実矢君のことを女の子だと思ってるようだった。
ワンピースが欲しかったのは彩香ちゃんなのに、江実矢君の方がどう見てもよく似合う。
彩香ちゃんは渋い顔たったけど何も言わなかった。
それに原宿は安いと聞いていたのにどのワンピースもとても中学生のお小遣いで買えるお値段ではない。
彩香ちゃんは一通り店に並んだワンピースを見て回ると「高くて買えないからやっぱりいいです」と言って帰ろうとした。
すると秀美ちゃんが「お金がないんだったら、なんとかなるから、ちょっと待って」と言って携帯を取りだして誰かに電話を始めた。
ゴスロリファッションのモデル

 まずい、もしかして援助交際でお金を稼ぐために男の人に電話してるんじゃないだろうかと有紀は思って、彩香ちゃんの横腹を「ちょっと」と言って突っついた。
彩香ちゃんもまずいことになりそうだと気が付いて有紀と目を合わせて不安そうにしながら、江実矢君の手を握って引き寄せた。
すぐに店の前に男の人が手を振って近づいてきた。
やっぱり援助交際に違いないと思ったが、どうも変だ。
肩に大きなカメラバッグを担いで、両手に大きなカメラを一つづつぶら下げている。
「この人ね、プロの写真家の溝口さんなのよ、ほらファッション雑誌に女の子の写真載ってるでしょう」と言って秀美ちゃんが何冊かのファッション雑誌の名前を挙げた。
たしかに名前の聞いたことのある雑誌だし、何度かは見たこともある気がした。
「それでどのこかな、可愛い娘って」と聞かれて秀美ちゃんは江実矢君を指さした。
「ううん、いいね、いいよ、可愛いよ」とおせいじのつもりなのか、べた褒めされて江実矢君は恥ずかしそうに下を向いた。
秀美ちゃんが手近なワンピースを何枚か手に取ると、溝口さんは「じゃあ、これ借りていきます」と店の人に声をかけた。
店の人は別に返事もせずに軽く頷いただけだったけど話しはそれで済んだらしい。
なんだかすごい写真家の人らしいとなんとなく有紀にも判った。
近くに写真のスタジオがあるからと言われて店をでて裏道を入っていくとマンションらしい建物が見えた。
こんな所で写真なんか撮るはずないと心配な気がしたけど、マンションの入り口から入ってみると中は事務所の看板がたくさん並んでいて普通に人が住んでるマンションではないみたいだった。
案内されて二階に上がると写真スタジオの看板が見えたのでどうやら変な所ではなかったと安心した。
彩香ちゃんは不思議な顔をして、スタジオに置いてある天幕を面白そうに眺めていた。
じゃあ写真撮るから、奧の部屋で着替えてくれるかなと言われてさっき借りてきた服を一人づつ渡された。
江実矢君はピンクワンピース渡されて困った顔をしていたが、彩香ちゃんに「恵美ちゃんすぐ着替えてね」と言われて三人で奧の室に入った。
部屋にはテニスのラケットやら、コウモリ傘やら撮影の小道具らしいものが一杯おいてあった。
「さあ、着替えなさいよ恵美ちゃん」と彩香ちゃんにまた言われて江実矢君は大人しく着替え始めた。
着替えが済んだころ、女性の声がして化粧の道具を持った人が入ってきた。
江実矢君がまず最初にお化粧をすませると、次に彩香ちゃんと有紀の番だった。
一通り準備が済むと、撮影のスタジオに戻って、さっそく撮影が始まった。
彩香ちゃんは自分でも携帯のデジカメで江実矢君の写真を撮ったり、あとは江実矢君に写真を撮ってもらったりした。
撮影が終わると溝口が「よかったらその服もって帰っていいよ、店には僕からお金を払っておくから」と言ってくれた。
「なに、店の服が雑誌に載れば宣伝になるからね、だからその分安くしてもらえるんだ」と言ってくれたのでそれなら安心と思って、ゴスロリの服装のままマンションを出た。
三人で竹下通りを歩いていると少し離れた所で、中学生の女の子達がうらやましそうな顔でひそひそ話しているのが見えた。
携帯をだしてこちらに向けてはデジカメで写真を撮ってる女の子もいて、彩香ちゃんは意気揚々と大股で歩き続けた。
彩香ちゃんはいつも私は竹下通りを歩いてるのよとでも言うような自信たっぷりの足取りで道の真ん中を歩いて原宿の駅まで着いた。
芸能プロダクションのスカウト

 駅前のロッテリアの前で男の人が急に彩香ちゃんの目の前に立ちふさがり「よかったら、君たちモデルにならないか」と声を掛けてきた。
名刺をすぐ目の前に差し出すので彩香ちゃんが手にとって見るとどこかの芸能プロダクションらしくて緑川と名刺に書いてあった。
だけど中学生に声をかけてモデルになりませんかなんて話しがあるわけない。
原宿に行ったら、モデルにならないかなんて話し掛けられても大抵はインチキでナンパが目的なんだと彩香ちゃんのママも言っていた。
「ひとまず近くのカラオケに行かないかゆっくり話しができるから」と緑川さん言われてやっぱりと有紀は思った。
これが噂に聞く「ナンパ」なんだと彩香ちゃんは飛び上がりそうになって興奮気味に立ち止まった。
「ナンパされたら、そのままラブホテルまで付いていったりする女の子もいるんだって」とクラスの女の子が話していたのを聞いたことがある。
もしかしてそんなドキドキ体験ができちゃうかもと有紀も心臓が破裂しそうになった。
だけどこんの服装のままだったらどこに行っても目立つだけだ。
彩香ちゃんも同じ事を考えたらしくて「ねえ、有紀ちゃん、着替えた方がいいわよね」と言いだした。
緑川さんと一緒にロッテリアに入ると緑川さんが飲み物を頼んでいる間に三人でトイレに行って、着替えを済ませてお化粧も落とした。
これなら、目立たないし安心してカラオケにも行けるわねと思って席に戻ると、緑川さんは着替えた江実矢君を見てがっかりした様子で「あ、悪いけど急に用事ができてので、またなんかあったら電話してくれないか」と言って飲みかけのコーヒーを置いたまますぐに出て行ってしまった。
やっぱり中学生相手にカラオケなんかしたい男の人なんかいるわけない、ゴスロリの衣装を着ていたから声をかけられただけだったんだ。
彩香ちゃんはがっかりした顔だったが、有紀はこれでよかったんだと一安心した。
地下鉄の駅を降りて家に戻る途中に江実矢君の家に寄って、もらった服を「文化祭の劇の衣装」と言うことにして江実矢君に預かってもらうことにした。
そのあと彩香ちゃんが「有紀ちゃん、ちょっと寄って言ってよ」と言うので二人は彩香ちゃんの部屋に上がった。
彩香ちゃんはさっそくさっき撮ったばかりの江実矢君の写真をblogに載せて、「私もしかしたら芸能界にデビューしちゃうかも」と書き込みをした。
そんなことして大丈夫なのかしらと有紀は思ったが。
彩香ちゃんは「どうせblogなんか誰も見ないし、嘘を書いたってぜんぜん大丈夫なの」と平気な顔だった。

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