猫と陣地と飼い主と。


よく「猫は家につく」と言われます。
なわばりを持ち、単独行動をとる猫は確かにそうかもしれません。
じゃあ、飼い猫にとって、“飼い主”とは一体何なのでしょう?

はじめて我家のりょうすけを実家に連れて行った時、最初は警戒していたものの、じきに慣れ、我が物顔で1階と2階を自由に行き来していました。
当時、猫を飼っていた夫の実家に連れて行った時に至っては、そこの猫用トイレで図々しくも用を足す始末。
猫の個性もそれぞれ。
我家のりょうすけはどこでもすぐに馴染んじゃうんだなぁ、と思っていました。


りょうすけと暮らすようになってから、初めての1泊旅行。
一晩くらい留守番させても平気だとは思ったけれど、まだまだ寒い季節。実家で預かってもらうことに。
今までのりょうすけの立ち振る舞いからして、問題はないだろうと安心して出かけました。
ところが、翌日迎えに行くと姉が一言。
「いや〜、『借りてきた猫』になって大変だったよ」
えっ? まさかうちのりょうすけに限ってそんなこと!??
話を聞くと、最初は普通だったんだけれど、夕方ぐらいから2階にある椅子の下にうずくまり、呼んでも何しても出てこようとせず、ごはんも食べていないとのこと。
慌てて2階に駆け上がり、その椅子の下を覗き込みました。
いた。
暗い中、目だけが光っています。
こりゃ引っ張り出さないとダメかな?と思いつつも、名前を呼びました。
すると、ものすごい勢いで飛び出てきたのです。

ものすごく嬉しかったですね。素直に。
あぁ、ちゃんとわたしのことを“飼い主”と認識してくれているんだ…と、実感できた瞬間でした。
りょうすけにはかわいそうなことをしてしまったと反省すると同時に、りょうすけのことがますます愛おしくなったのです。

そして、りょうすけを1階に連れて行くと、あとはもういつもどおり図々しいりょうすけでした。
父に「なんだ、やけに強気になったな」と言われる始末。


さて、この出来事は「猫は人にもつく」ということが立証できたと言えるのでしょうか?

自分の家ではない場所で、飼い主がいるのといないのとでは全く態度が変わる猫。
確かにそう言えるかもしれません。
ただ、気になることがひとつ。
父が使った『強気』という言葉。
猫は、特に我家のりょうすけは、“陣地”に入る時は意味も無く『強気』になるものです。
例えば、悪さをしたので叱ると、机の下などの“陣地”に逃げ込み、そこから反論してきたりするのです。

ということは、猫にとって“飼い主”とは、結局のところ、移動式の“陣地”みたいなものなのでしょうか?

だとしたらちょっと寂しいなぁ…と、思うけれど、でも、それでも他の人と比べて“飼い主”は特別な存在ということに違いは無いわけだから、“陣地”という存在でいるも、まんざら悪くはないなぁと思うのでした。

(2004.10.07.thu)


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