山座同定の勧め

  1度でも登ったことのある山の形は、大抵の場合忘れられないものです。なぜなら、その山を近いところから自分の眼で見、自分の足跡を印したからです。足跡を印したことのある山は、遠くから眺めただけでも親しみをもって、指呼できます。なぜなら登ったときの感触が鮮やかによみがえってくるからです。
  昨年の11月、快晴の日、加茂市の水源地から粟ケ岳に登りました。越後平野からいきなりそそり立つこの山は、新潟市からみると、三角錐形をしていて、もっとも目立つ山の一つです。
  水源地から主稜に続く枝尾根を30分ほど登ると3合目です。ここで振り返って北の方をみると、高さはそれほどでなく、整った円錐形の山が眼につきました。あれは、前の年の春、登った下田村の袴腰山に相違ない。山頂からまっすぐ、切られた新道を通って八木鼻まで下りた感触が改めてよみがえってきました。それまで、粟ケ岳には何度か登りましたが、袴腰山に気がつくことはありませんでした。
  山旅のたいせつな要素は山頂を極めることですが、山々の眺望も大切な要素です。折角、山頂を極め、まわりの景色が見えたのに、山並みを眺めているだけで、一つ一つの山の名前が判らないとしたら、まことに残念なことです。
  槍ケ岳とか、妙高山のような有名な山は、誰が見ても、それと判ります。しかし、小国町の八石山や広神村の鳥屋ケ峰、奥多摩や奥武蔵の山々など、標高があまり高くなくて、これといった特徴のない山は、登っていないと、山座を同定することはむずかしいようです。しかし、その山に登り、一旦愛着を感ずるようになると、自分の方から探し出そうとします。
  仮に、登っていなくとも、山の名前がわかると、胸の中でひそかに次の山行のプランを立てるきっかけになります。
  山頂で祝杯をあげるだけでなく、地図を広げて、まわりの山々を点検し、詮索する気持ちを持ちたいものです。山座を同定するには、25万分の1の地図があると有効です。
  手軽な方法として、新潟市に新しくできた「朱鷺メッセ」の31階展望室に登って、そこから見える山々の名前を確認してみましょう。
写真は、山梨県瑞牆山頂上から眺めた八ガ岳です。写真に写っている山々の名前を確認してしましょう。

八ガ岳の写真

瑞牆山から見た赤岳と南八ガ岳

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