五泉市と三川村の境界にある菅名連峰は天然ブナの原生林のあることで知られています。ブナの森では、落葉が何層にも堆積し、厚く柔らかい腐葉土となって、水を貯えます。そして、森のいたるところから清水が湧き出し、登山者や森を訪れる人に清らかな水を提供してくれます。
菅名連峰の一つ大蔵山の中腹には、「どっぱら清水」という名水があって、岩の割れ目からコンコンと大量の水が湧き出ています。また、山麓の「いづみの里」の前には、「吉清水」があって、自然の水を求め、多くの人が集まってきます。
磐越高速道が安田まで開通して、菅名岳は新潟市から1時間もかからずに行ける身近な山となりました。菅名岳に登るには、小山田から丸山尾根を登るのが一般的です。どっぱら清水を経由して菅名岳に登る人はわずかです。一方、大蔵山に登り、菅名岳を縦走して、椿平からどっぱら清水に下山する人はかなり見受けられますが、その逆コースを取る人はあまりいないようです。
沢(新江沢)を登るコースは、途中に「どっぱら清水」や「橡の巨木」などの見所があるため、ハイキングコースとしてよく整備されています。何度も沢を横断する箇所がありますが、いずれもしっかりとした木橋がかけられていて安心です。水には不自由しないし、夏はとても涼しいコースです。雪解けのあと、沢沿いには、尾根コースにはないいろいろな山野草が咲き誇るのも魅力です。
4月23日、「いずみの里」から沢沿いに山開き前の菅名岳909mに登りました。昨年から、「いずみの里」の付近に駐車場ができましたが、その代わりに、林道にゲートが設けられました。林道を約15分歩くと、昔の登山口に出ます。ここで二つのコースに分れます。大蔵山には、沢を渡り、杉林の小道を登ることになりますが、「どっぱら清水」へは、林道をそのまま進みます。約30分で林道の終点に着きます。この辺の効率の悪さが人気のない理由でしょうか。
終点から沢に降り、沢沿いに進みます。キケマンの群生地を過ぎ、さらに進むと、丸山尾根に登る分岐点に出ます。さらに、水量豊かな沢の変化を楽しみながら、何回も沢を横断し、そのつど都度、左岸、右岸に移ります。清らかな沢筋には、ミヤマカタバミ、スミレサイシン、キクザキイチゲ、白い小花などが今や盛りと咲き乱れ、眼を楽しませてくれます。
やがて、「どっぱら清水」の標識が現れます。「どっぱら清水」は分岐から右の斜面を約5分登ったところにあります。岩の裂け目から、大量の水が湧き出し、驚かされます。例年1月ここで「若水汲み」が行われ、大勢のボランティアが参加します。ここで汲んだ水は、近くの酒造会社に運ばれて、新酒「菅名岳」の仕込みに使用されます。
どっぱら清水の分岐から約5分で、椿平の取り付き点に着きます。右の分岐は橡の巨木を見るためもので、これも一見の価値があります。
沢を渡り、急な斜面に取り付きます。登山道は階段状に作られ、ジグザグに上がっています。椿平まで標高差150mの苦しい登りですが、森の新緑とユキツバキの花によって励まされます。たどり着いたところが椿平で、約5合目に相当します。その周辺一帯はブナ林に覆われ、なんとも気持ちの良いところです。
ここから、しばらくはおだやかな登りが続きますが、7合目の鐘のある休憩地を過ぎると、再び道はきつくなります。がんばって、8合目、9合目と登りきれば、菅名岳の山頂到着です。頂上は広く、開放感にあふれ、南東方向に飯豊連峰のすばらしい展望があります。
ここまで来たなら、もうひとがんばり、大蔵山まで縦走して下山しましょう。時間的にはもと来た道を戻るのと大差がないはずです。いくつかアップダウンを経て、最高点910mの標識のある三五郎山に着きます。そこから、低木の茂った快適な稜線を下ると、鞍部に避難小屋があり、その先が標高864mの大蔵山の山頂です。
頂上で充分展望を楽しんでから、なだらかな尾根を下れば、約1時間30分で階段コースの入り口に着きます。