鳴沢峰-馬下保養センターコース

  最近各地の町村に保養センタ−が建設されるようになった。保養センタ−には、大浴場とゆっくりくつろげる大広間があって、休日ともなると、どこも賑わっている。
  各地の保養センタ−から、新しい登山道が作られるようになった。保養センタ−してみれば、登山者が客として当てにできるし、登山者にとっては、下山口に日帰り温泉があるのは、まことにありがたい。登山でかいた汗をさっぱり流し、疲れた筋肉をほぐして帰ることができるからだ。
  新潟市の周辺にもいくつかその例がある。宝珠温泉から宝珠山の登山路が、岩室温泉の日帰り温泉施設「よりなれや」から、地図にない新しい登山コ−スができた。
  馬下保養センタ−の脇にも鳴沢峰の新しい登山口があった。保養センタ−は、盤越線馬下駅から歩いて約20分の位置にある。加えて五泉市から一日数本のバスが発着しているので、アクセスには恵まれている。
  鳴沢峰は、菅名連峰の中でもっとも東に位置する雄峰であり、標高は880mが、その鋭角的な山容は、どこからでもよく目立つ。この山は、菅名岳から縦走して登られることが多く、単独で登られることは少なかった。長くて急な登りを考えると、つい敬遠してしまうのと、菅名岳、大倉山のようなブナの巨木の林が見られないからだろう。しかし、駅から歩いて20分の距離にあるので、自家用車のない高校登山部の日帰り登山には、大変有利である。
  この山には、ナラ、ブナ、カエデなどの自然林があって、紅葉の時期はすばらしいという。その話を耳にしたので、11月、このコ−スを登ることにした。 
  保養センタ−からしばらくは、左手の沢に沿って杉林の中を行く。小さな登りと下りを繰り返した後、一旦沢に下りて、急な尾根に取り付く。この沢で、水を補給するとよい。尾根を登りきれば、傾斜もいくらかゆるやかになり、ブナやナラ、カエデなどの混合林の中をゆるやかに登る。登山者の少ない分、登山道がえぐられていないので、非常に歩きやすい。赤や黄色の落葉が登山道を埋めていて、まことに快適だ。
  適当な間隔をおいて、3本の送電線の鉄塔があった。鉄塔の周辺は、草付きの広場になっており、見晴らしが良く、一息入れるのに格好の場所だ。鉄塔からは、鉄塔の維持管理のため、別の道が分岐していることが多い。そのため、誤った道に入る込まぬよう、常に標識に注意する必要があった。
鳴沢峰の写真
  694mのピ−クのすぐ下に第3鉄塔があり、そこから約5分ほど登ると、鹿返道の表示のある花見山の肩の広場に着いた。このコ−スのほぼ中間点だ。広場には、登山者のために鐘がつるされていた。目指す頂上はまだ左手の高いところにある。 
  鳴沢峰への道は、左に一旦ゆるやに下っており、下り切った鞍部から主稜線の小山田の五葉コ−スの分岐まで、長くて急な登りとなる。このコ−スの最も苦しいところだ。登り切った分岐点には、登山路の標識と背の高い赤い鉄のポ−ルが立っていた。ペンキを塗り立ての表示があった。このポ−ルがあれば、積雪時であっても、随分役立つにちがいない。
  分岐点から約15分の急登で頂上に着いた。いくらか傾斜もゆるんで、救われ気分になった。頂上のすぐ手前に、咲花温泉に下山する登山路の分岐があった。
  鳴沢峰の頂上は低潅木に囲まれ、三角点と登山路の標識があった。東から北にかけて開け、眼下に阿賀野川と高速道路が一望のもとである。その先に五頭連峰の大きな眺めが広がっている。頂上から右に行く道は、菅名岳に至る縦走路だ。
  誰もいない頂上で、軽い食事をとり、同じコ−スを下山した。途中、ナラの切株にクリタケが出ているのを見つけ、うれしくなった。これも山の楽しみの一つである。
  下山後、保養センタ−に寄って、ゆっくり温泉につかって、疲れた筋肉をほぐし、帰宅した。

■上の写真 : 大谷山から見た鳴沢峰    (Ryoji Honda)

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