山毛欅ケ平山(ぶなひらがやま)と大王杉

  巨木と聞けば、誰でも思い浮かべるのが屋久島の縄文杉であろう。太さが28m、樹齢2000年以上と言われているこの杉は小杉谷を遡った宮之浦岳の登山道の途中にある。これに匹敵するほどの天然杉の原生林が佐渡の山毛欅ケ平山(ぶながひらやま)にある。この原生林に踏み入れば樹齢600年を超える天然杉が林立して、その威風堂々としたたたずまいに圧倒される。
  屋久島と同じように、温暖で、海からの湿気を含んだ大気がほどよい水分を含む土壌を育て、それが杉の生育に適していたのだろう。現在は、国の管理下にあり、稜線近くまで新潟大学演習林の管理道路が上がっている。また、その天然杉の一部は一般の登山者にも開放され、「王様の小径」と名づけられた観察路が作られているという。管理林道の途中に観察路の入り口があり、標識が立てられている。そこから尾根に向かって、約10分登ると、天然杉の林となり、その中でも、ひときわ、堂々とした大木が「大王杉」である。5,6人でも抱え込めるかどうかと思えるほどの大きさで、新潟の縄文杉といっていいくらいの貫禄である。思わず見とれ、感動してしまう。
山毛欅ケ平山の写真
  今回(2007年5月12日)、佐渡汽船親睦山行の「山毛欅ケ平山と天然杉の巨木めぐり」ツアーに参加した。
  県道45号線を内海府海岸沿いに歌見まで行き、左折して、歌見川沿いの林道に入る。1km先の第一堰堤まではマイクロバスが入る。その先の林道1kmは歩くことになる。
  第二堰堤の左の斜面を登って、登山道に入る。入り口は不明瞭だが、登山道に入れば、しっかりとした山道となり、緩急を繰り返しながら「歌見越え」(750m)を目指す。林床には、イワカガミ、ヒトリシズカ、シラネアオイ、サンカヨウ、コミヤマカタバミ、スミレなどいろいろな山野草が咲き乱れている。歌見越えで、演習林の管理林道とドッキングする。
  林道は山腹の西斜面に延びており、「大王杉」観察路の入り口に続いている。
  ツアーでは、いったん、林道に出て、すぐに左手の主稜につけられた山道に入り、山毛欅ケ平山の山頂を目指す。登山道は、一転して悪路となり、身の丈を超えるようなチシマザサをかきわけたり、倒木を越えたりして、手間取り、めっきりスピードが落ちる。井坪山を越え、小さな芝生場(しらば)に出て、ほっと一息つくが、それもつかの間、再び林の中に入る。次のピークでは、大きく左に曲がり、本峰を目指すが、このあたりは特にルートが整備されていないので、ときどきルートを見失う。頂上直下の小さな芝生から、チシマザサをかき分けて先に進むと、ひょっこり山毛欅ケ平山の山頂(947m)に着く。時間はすでに、午後1時に近い。
  山頂は、狭いながらも、まわりに丈の高い樹木がなく、岩石が露出していて、展望が利く。短い時間で昼食をとり、先を急ぐ。見事に続く天然杉の林の中を、赤いテープの目印を頼りに進むけれども、30分下っても、林道の登山口に着かない。リーダーの指示で、引き返すことにする。注意深く登り返すと、山頂から見て右手(西)の斜面に、林道に下りる踏み跡があるのを見つける。赤いテープは、森林の整備のためにつけられた作業用のものだろうか。とんだ「くわせもの」であった。
  林道の登山口から、約20分先に進むと、「大王杉」観察路の入り口(標識あり)がある。大王杉を見て、満足し、引き返す。
  帰りは、林道をたどり、歌見越えまで引き返し、ここから、再び登山道に入って、歌見の登山口に下る。いままでの悪路がウソみたい、悪路から開放されて、足も進み、1時間で、第2堰堤に着く。
  豊かな自然に恵まれたこの山域には魅力が一杯ある。訪れる登山者が少ないだけ、開発が遅れているが、見所満載のこのコ−スは、これから多くの中高年の登山者を集めるにちがいない。

■上の写真 : 山毛欅ケ平山の大王杉    (Ryoji Honda)

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