稜線や頂から望む大海原と磯の香り、これが島の山旅の魅力である。島の山旅の双璧は、北海道の最北端の利尻島と九州最南端の屋久島である。二つの島には、標高は1700mを越える山がある。アルペンム−ドにあふれた山、利尻岳と宮之浦岳は、深田久弥の100名山に選ばれていて、100名山の登頂を目指す登山者の憧れの的である。
新潟県の佐渡ケ島にも、島の山旅を味わえる魅力的な山々がある。それは、勿論、大佐渡山脈縦走である。その高さは1000m程度でしかないが、連絡船のフェリ−から眺めたとき、その山並みの高さ、大きさの意外さに驚かされるはずだ。
登山路は大佐渡縦走路に向かって、海岸から、谷あいからいくつも伸びているが、ドンデン山から金北山に抜ける大佐渡縦走コ−スがもっとも人気がある。起点と終点にドンデン山と白雲台をとれば、登り下りがカットされるので、日帰りも可能である。
お勧めのコ−スは、ドンデン山に向かう舗装道路の途中から沢沿いに登る青粘登山道だ。5月の始め、谷あいは足の踏み場がないほど春の花で埋めつくされる。青粘峠まで、約1時間30分の負担増となるが、充分それに見合うだけの価値がある。
今回(9月29日)、佐渡汽船の秋の親睦登山に参加して、青粘登山口から大佐渡パノラマコースを縦走し、金北山山頂を踏み、初盛ダムに下山する登山道オンリーのコースに挑戦した。
峠から、マトネ(笠峰)までは、樹林帯の中の登りであるが、マトネからは、佐渡特有の明るい稜線歩きとなる。天然の芝草を踏むかと思えば、茂みに入り、茂みを抜けると、明るく開けたガレ場や芝が現れるという繰り返し、さわやかな海風が快く、東に加茂湖と両津湾、西の外海府の海原を眺めながら快適な縦走が続く。
マサゴの芝生から、マサゴのピーク、イモリ平に続く広い尾根歩きは、開放感にあふれ、コース中最もすばらしいところである。この時期(9月29日)天然芝の中に、点々とハクサンシャジン、ウメバチソウ、センブリ、リンドウが咲いている。周りの景色や高山の花に見とれているので、つい足も遅くなりがちである。
天狗の休み場からは、潅木の中の登りとなって、展望はなくなるが、春ならば、登山道の両側に咲く山野草が目を楽しませてくれるはずだ。役の行者の石仏を過ぎると、植生も変わり、鏡池、アヤメ池の湿原が現れ、山頂に向かって最後の急登になる。
山頂には金北山神社があるが、自衛隊のレーダー基地に占拠されているため、ゆっくり休める場所がない。
登ってきた道を少し引き返すと、すぐ右手に沢口下山道の入り口がある。転げ落ちそうな急斜面には、えんえんとロープが取り付けられている。その後は、樹林帯の中の適度な下りとなるが、歩く人が少ないので、すべりやすく、歩きにくい。追分まで下ると、左手から神子岩からくる下山道が合流し、いくらか道も良くなる。道の両脇には、山岳信仰の名残を示す石仏や石柱がいくつも残っている。古い時代は、人々は、麓からこの山を目指したのだろう。この山には、科学技術と違った側面のあることを知った。
初盛ダムに駐車しているマイクロバスに到着したのは、5時30分で、あたりはうす暗くなっていた。
■上の写真 : マサゴの峰から金北山を望む (Ryoji Honda)

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