四阿山-菅平牧場コース

  四阿山(2354m)は根子岳(2207m)とともに冬のスキー、夏のスポーツ合宿などで賑わう菅平高原の北東にそびえる山で、菅平から見て左側が根子岳、右手に見えるのが四阿山である。ともに旧四阿火山に属し、広大な裾野を持ち、山頂部には火口壁の名残が認められる。この山に登る人気コースは、鳥居峠から登り、根子岳を縦走して、菅平牧場に下りるコースであって、たいていのガイドブックはこのコースを紹介している。
  今回(2008年5月24日)の新潟日報旅行社の日帰りツアーは、菅平牧場から直接四阿山に登り、北東に伸びる尾根に沿って、パルコール嬬恋スキー場の山頂駅を目指すというものであった。参加者は30名、男性の参加者が20名、女性の参加者が10名、ご夫婦の参加なしというめずらしい構成であった。特に、男性のベテランの参加者が多く、華やいだ雰囲気は見られない。前途の多難さを予感させるものであった。
  菅平牧場の手前で一人200円の入山料を支払い、牧場終点の駐車場まで行く。身支度を整え、出発する。ここからは山に向かって二つの登山道が伸びている。直進する左の登山道は、根子岳に登るもので、下山路によく利用される。
  右の作業道を少し行くと、左手に四阿山の登山口がある。小川を渡り、四阿山から西に伸びる尾根(中尾根)に取り付く。シラカバの多い明るいゆるやかな尾根をたどると、約1時間で、小四阿のピーク(1917m)に着く。四方が開け、南には、烏帽子岳、湯の丸山の稜線が見える。その左には、斜面に雪の帯をつけた浅間山がある。前方には、いかつい姿の四阿山がそびえ、その左に優美な姿の根子岳の姿がある。
四阿山の写真
  しばらくは、なだらかな登りが続く。シラカバに混じってヤマザクラやオオカメノキの花が混じってくる。展望の良い岩尾根になると、やがてその先に中四阿の岩の尖頭(2106m)が見える。登山道はピークを避けるようにつけられているが、できたら、ピークの岩の上に立ってみるといいだろう。ここまで約40分。2,3人しか立てない山頂から、小四阿以上のすばらしい展望が広がる。特に、至近距離になった四阿山と根子岳の姿が雄大である。
  昼食後、少し下って、山頂への最後の登り(約1時間)に取りかかる。樹相もシラカバに換わってダケカンバとなり、ツガなどの針葉樹が混じってくる。ところどころに雪田が現れ、夏場にお花畑となる草原には木道が敷かれている。根子岳の分岐を左に見て、雪の付いた最後の急斜面を登りきれば、頂上の標識にある南峰(2354m)に着く。東西に長い山頂には、信州祠と上州祠の二つがやや離れた位置にまつられている。
  天気予報のとおり、前線の通過にともなって、雨があたり始め、雨具を着用する。この先天気の回復は望めそうにもない。北東の山頂駅に続く尾根をしっかり見て、頭に入れる。
  はじめに急な下りがあり、登り返すと、北峰(2333m)である。ここには、四阿山の二等三角点があるということだが、確認できなかった。
  尾根がやや広くなるとともに、下草のササは一面豊富な残雪に覆われるようになり、同時に、視界が悪くなってきた。樹林帯の中の残雪ほど厄介なものはない。踏み跡が消えて、正しいルートがつかめない。雪の上に立つピンクの布をつけたポールも、嬬恋山頂駅から冬山登山をした登山者の残したものらしく、必ずしも夏の登山道に沿っておかれていないようだ。2,3度ルートを見失う場面もあったが、経験豊かなツアーリーダーとGPSのおかげで、全員無事山頂駅にたどり着いた。霧の中からぼんやりと駅舎が現れたときは、さすがにほっとした。
  シーズンオフのゴンドラは今回の我々の山行に備えて運行していた。この辺の事前の配慮も大変ありがたかった。パルコール嬬恋リゾートホテルで暖かい温泉に入ってリラックスし、満足した気分になった。何しろ雪山(残雪期)のおもしろさと厳しさを存分に味わったのであるから。(2008年5月24日)

■上の写真;中尾根から見た中四阿と四阿山    (Ryoji Honda)

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