米山

  新潟県柏崎市と柿崎町の境界上にある米山は、黒姫山、八石山と並んで刈羽三山を構成している。標高は992mで決して高くはないが、日本海の海岸からすっくと立ち上がったりりしい姿は、周辺の人々に親しまれてきた。独立峰のため、どこからでも、その均整のとれた三角錐のりりしい姿をみることができるが、尾神岳、黒姫山、石川峠からの姿は、いずれ劣らずすばらしい。
  三階節に唄われているように、日本海の気象の変化をもろに受けやすく、かって地元の人々は、この山にかかる雲を見て、天気を占っていたという。
  独立峰のため、東西南北の四方から、登山道が頂上に通じている。柏崎市の大平から登るのが一般的だが、柿崎町の水野から登るコ−スも林道が伸びていて、短時間で山頂に立つことができる。
  米山のすばらしいところは、その展望の良さにある。天気がよく、空気が澄んでいれば、越後の名だたる名峰が一望のもとである。頸城三山、越後三山、守門岳、飯豊連峰など枚挙にいとまがない。
  今年の春、地元新聞に柿崎町下牧から米山に登る記事が載った。それによると、今年は小雪で、山野草も例年より10日ほど早く咲き始めているということだ。そこで、5月2日、このコースから米山に登ってみることにした。
  柿崎町から米山寺に行く県道に入り、廃校になった下牧小学校の校庭に駐車する。校庭には、すでに、地元の高校生が大勢休んでいた。春の遠足で、地元の名山米山に登るということだ。
米山の写真
  舗装された農作業道が登山道の入口である。しばらく杉林の中の中を緩登すると、混合林の中の急登になり、約30分で、水野からきた登山道が合流する。
  長年にわたって踏み込まれた道は、深い溝状になって上に続いている。この時期、登山道の両側の斜面は、標高の高いところまで、イワカガミの花で彩られている。
  ブナの林が現れ、傾斜がゆるくなると、杉の大木が見え、駒の小屋の広場に出る。一休みするのにちょうどよい場所だ。小屋のすぐ上に、三十三観音が三列に並び、登山者を出迎えてくれる。昔の信仰登山の名残なのだろう、このコースの歴史の深さを語りかけているようだ。
  さらに、深くえぐられたブナのトンネルを登りつめると、立派な標識があり、右手から、しかっりとした登山道が入ってくる。水野林道の終点からきたもので、下牧コースよりはるかに楽なコースである。
  急な登山道を登りつめたところが806m峰で、ブロック製の立派な避難小屋がある。ここから、急な階段状の下りがあり、女しら場の鞍部となる。樹木が切れ、ガラガラしたガレ場の通過となる。ガレ場に咲くミヤマキンバイとスミレの花が美しい。両側が切れ落ちているが、鎖の手すりもあるので、心配はない。
  あまり視界のきかない胸突き八丁の登りをがんばると、やがて雑木の丈も短くなり、傾斜もいくらかゆるやかになって、ひょっこり、米山の山頂に飛び出る。登山口から約2時間の行程である。
  米山の山頂部は、案外広く、立派な小屋と薬師堂がある。薬師堂の前に、頂上の標識と一等三角点がある。東の方向、谷根口に向かうと、見晴らしのいい広場があり、方位盤が置いてあるので、周囲の山々の名前を同定するのに便利である。
  車の関係で、同じコースを下ることになるが、えぐられた粘土質の急な道は、ぬれていると、滑りやすく、案外時間を食う。高校生に励まされながら、無事下山した。

■上の写真:米山    (Ryoji Honda)

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