新保岳(塩野町コース)

  最近の登山ブームの背景に、林道の発達と自家用車の普及があります。好きなときに、好きなところまで、車で行けるようになり、行動範囲が飛躍的に大きくなりました。林道がどこまで延びているか、林道の先に車を置く場所があるか、林道から登山道がどのようにつなっがているかいうことが重要な情報になってきました。
  その代りに、下の登山道は使われなり、荒れ放題になってしまいます。浅草岳の五味沢から、五合目のサクラ曽根までの登山道がその例です。一部の下山者を除いて、その道を通る人はいませんから、藪で覆われてしまいます。
  新保岳もそんな山でした。
  新保岳は、新潟県の北端、日本海に面した葡萄山塊の最高峰(852m)です。頂上直下9合目付近にあるブナの原生林が有名で、新潟県の「ブナ林100選」の一つに選ばれています。
  晩秋の一日、この山を訪れました。木の葉の落ちきったブナ林の中は明るく、林床にはブナの葉がびっしりと敷き詰められ、樹間から見える鷲ケ巣山や雪をかぶった朝日連峰が印象的でした。
  朝日村塩野町から、国道7号線を左折して、舗装された林道(広域基幹林道新保岳線)に入ります。この道は、旧登山道の赤沢入り口を過ぎ、ぐんぐん山腹を登って、569mのピークの直下まで延びています。将来は、新保岳近くの尾根を越え、海側の浜新保までの通じるということです。
  林道は、新登山口(約標高405m)の先で、閉鎖されています。(2003年11月現在)、入り口の近くに、新しく、車が駐車できるスペースが作られ、登山にはさしつかえありません。従来の赤沢登山道入り口からここまで歩けば、たっぷり1時間はかかるでしょう。随分楽になったわけです。
  林道の右側に新登山道の入り口が作られていました。階段を登ると、すぐブナ林の中の急登になります。約10分で、主稜に出ます。ここには、地図上には載っていない三角点があり、旧道との分岐になっていました。旧道の入り口には、ロープが張られ、立入禁止の標識が立っていました。旧道の形の良い「夫婦松」や「鎖場」は、もう過去のものになりました。
新保岳ブナ林の写真
  登山道は右に折れ、従来の登山道に入ります。しばらくは、松の木のある雑木林の中をたんたんと登ります。林床には、イワウチワの葉が多く見られました。約30分で、見晴らしの良いピークに出ます。ここは、通称「見晴らし」と呼ばれているところで、登山道の中で唯一視界の開けるところで、鷲ガ巣山や朝日連峰が望め、樹間から、新保岳の頂上が見えます。
  ここから少し下ると、ブナの原生林になります。新緑や晩秋の頃は、特に見事です。何回来ても、この山のブナの巨木には、圧倒されます。傾斜がゆるやかになるので、ゆっくり休んで、ブナの原生林を満喫したいところです。
  鞍部のブナ平から、最後の登りにかかります。急な登りを登れば、わけなく、標高852mの新保岳山頂に着きます。新しい林道のおかげで、従来2時間半もかかったコースが約1時間に短縮されました。そのせいか、この日(11月2日)は、団体も含め、中高年の登山者が大勢登っていました。
  新保岳の山頂には、かなりの広さがあり、一等三角点が置かれています。日本海側と朝日連峰側の展望が開けていました。
  山頂の手前、登山道の右側(北東)に新しい切り開きがありました。道に沿って、丁寧に案内用のロープが張られおり、これが、新しく切られた桑川ルートに相違ないと思いました。
  ロープや目印のリボンに沿って急な下りを下ると、道はゆるやかに左に曲がって、稜線の鞍部に出ました。ここから、道はゆっくりと海側に下りていました。この付近は、まったく手つかずのブナの原生林で、道はふかふかの落ち葉に覆われていました。
  再び、山頂に引き返して、往路を下山しました。(2003年11月2日)

■上の写真: 新保岳のブナ林    (Ryoji Honda)

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