要害山は標高283m、登山の対象としては物足りないが、地元(神林村、荒川町)では、小中学校の遠足によく利用されているなじみの山である。山頂は広く、眺望もすばらしい。
加えて、この山には、戦国時代の山城の史跡やロマンがある。要害山の平林側登山口には、国の重要文化財に指定された平林城跡があり、鍵型に連結した土塁が当時の面影を伝えている。この城は、平野をのぞむ台地の端に平時の館を構え、背後の要害山(かご山)に戦時戦闘目的のための山城を備えていた。山城は数段の曲輪からなり、その頂上台地に、本丸や望楼やのろし台があった。
要害山の登山口には、表の平林口と裏の川部口がある。平成13年、「川部山の会」のメンバーが朴坂山と岳薬師の間の登山道を整備した。それに伴って、要害山から物見山を経て、のろし山を通り、川部登山口へ下りる新しい下山コースも作った。そのおかげで、川部を起点にして、要害山から朴坂山、岳薬師まで縦走する周回コースが誕生した。川部では、毎年、5月に「さなぶり登山」を企画して、参加者を募っている。
国道7号線で、荒川の橋を渡り、荒川沿いの県道に入ります。「平林城跡川部登山口」と書かれた標識のところで、左折して、山に向かいます。やがて、ゲートボール場がありますから、そこで駐車します。舗装された農道を行くと、水道タンクがあり、その先で、道は二つに分かれます。左の直進する道は仏穴、のろし山に通じ、右の道を行けば、要害山登山口に出ます。
要害山の麓を巻きながら、植林された杉林の中をゆるやかに登ると、約20分で、分岐点に出ます。ここには、神林村教育委員会の手で、標識が立てられています。右手の山道に入って、急な山道をしばらく登ると、"仏穴"です。洞穴は直径1mくらいの斜抗になっており、奥に続いていました。この洞穴の奥には、その昔金の仏像が輝いていたという伝説があります。
ここから、新しく作られた山道を登ると、物見山からのろし山に続く尾根に出ます。左の道のすぐ先が、笹におおわれたのろし山の頂上です。頂上には、白いベンチがありました。周りには、大きな木がないので、360度のすばらしい眺望が得られました。
再び、分岐点に戻り、要害山を目指して、尾根を進みます。物見山の近くに、空堀があり、道は、二つに分かれます。左の道に入ると、物見山です。ここにも、ベンチが置いてあり、日本海側の展望が開けています。
空堀を越えて、少し登ると、表登山道との分岐点です。右を登れば、すぐ要害山の頂上に着きます。山頂は、広く、左右に大きく開けており、形のよい松の木や避難小屋があります。ここなら大勢のこども達が昼食をとるだけのスペースがあります。地元の遠足に使われるわけがわかりました。
山頂から、尾根伝いに約5分ほど行くと、巨石の重なった館岩のピーク(写真)です。岩の上にあがると、思いもかけず、すばらしい展望に出会いました。
尾根に沿って、急な下りを下ると、新しくできた不動滝登山道分岐に出、その先に、雪割草の小さな群生地があります。地元の小学生の手で「ふやそう、咲かそう、とらないで、川部の雪割草」と書かれた看板が立っていました。
尾根の最低鞍部は、種松と呼ばれているところです。右側の斜面から、裏登山道が登ってきました。尾根を直進する道は、三の輪山、タカツボ、朴坂山への縦走路です。
美しい自然林の中の登山道を登り返すと、三角点のある三の輪山の山頂です。山頂は平坦で、美しい自然林に囲まれた静かなところです。ここは、最奥の曲輪のあった場所です。次のピークを右に巻いて、そのまま大きく右に曲がると、峰の大ケヤキです。幹まわりが6mもある立派な大木です。周囲は小さな広場になっていますから、一息入れるのに良いでしょう。
快適な縦走路を進むと、途中二重山稜の溝を行くような箇所(中通し)があり、最後に、急な斜面を登り切ると、標高407mのタカツボのピークです。ここは、この縦走路第一の景勝地です。南面が大きく開けているので、光兎山、鷲ガ巣山、朝日連峰が指呼のうちです。
昼食後、種松の分岐に戻りました。道を左にとり、ゆるやかに下って、金鉢沢に入りました。上部に小さな泉が出ていたので、水を補給することができました。流れは登山道の下を流れているので、その先、まとまった流れを見ることはありません。
やがて、「馬洗場」と呼ばれる周囲80mくらいの浅い池に着きました。その昔、武士達がここで馬を洗った場所です。平林口にも、これに似た池がありました。池の周囲には、地元の人の手で、いろいろな山野草が植えられていました。
馬洗い池から右に約5分下ると、要害山川部登山口に着きました。左の道を行けば、最初の分岐点、右の道を行けば水道タンクに通じ、どちらをとても、駐車場に戻ることができます。
付記 不動滝下山路
館岩から種松への下りの途中で、左手に新しく登山道が切られていました。この道は、不動滝を経て、平林の二又に通じています。ロープが取り付けられた急な斜面を下ると、景色の良い第2ベンチに出、そこから、沢沿いにしばらく下ると、第1ベンチのある不動滝分岐に出ます。沢を少し登ると、不動滝です。滝の横の岩棚には、石の地蔵が置かれていました。分岐から、往復約1時間かかります。(2003年11月24日)