稜線や頂から望む大海原と磯の香り、これが島の山旅の魅力である。新潟県の佐渡ケ島にも、島の山旅を味わえる魅力的な山々がある。それは、勿論、大佐渡山脈縦走である。その高さは1000m程度でしかないが、連絡船のフェリ−から眺めたとき、意外に大きいその山なみに驚かされるにちがいない。
登山道は大佐渡縦走路に向かって、海岸から、谷あいに沿っていくつも伸びているが、特に、お勧めのコ−スは、ドンデン高原に向かう舗装道路の途中の梅津登山口から、青粘渓谷を登る道だ。5月の始め、谷あいは足の踏み場がないほど春の山野草の花で埋めつくされる。
新潟港発6:00のフェリ−か、8:00のジェットフォイルに乗ると、前者は8:20、後者は9:00に両津港に到着する。
今年(2008年)もハイカーの便宜を図って、シーズン中(5月)の毎日、新潟交通のドンデンライナーが運行されるようになった。4月19日から5月9日までは、両津港から8時50分発ドンデン山荘行きのバスが出る。5月10日から6月1日までは、8時20分発に変わる。(要予約 新潟交通佐渡定期観光バス予約センター TEL. 0259-52-3200)帰りは、5月9日までなら、ドンデン山荘発両津港行きが14:00、5月10日からは、ドンデン山荘発が14:50となる。青粘渓谷を登って、ドンデン山まで、約3時間の行程であるから、充分余裕はあるが、花に見とれて、写真をとったりしていると、案外時間を食う。
5月13日(火)8:00のジェットフォイルに乗り、9:00に両津到着。タクシーで青ネバ登山口まで行く。ドンデン高原に行く途中、道路が大きくくびれたところが、登山口で、標高は既に約294m、入口に青粘渓谷の案内板が立っていた。
この渓谷の春の花はその種類の多さと密度の濃さにおいて、全国でも有数のものである。雪解けを追うようにいろいろな花が下から次々に咲き出し、開花の期間も長い。キクザキイチゲ、スミレサイシン、カタクリ、エゾエンゴサク、エンレイソウ、ユキワリソウ、ニリンソウ、イワカガミなどが林床を飾る。そして、極めつけは、シラネアオイの群落だ。本土では、1000mを越さないと見られない花である。最近では、全国からハイカーが訪れるようになった。
左手に砂防ダムを見ながら、渓谷沿いに、自然林の中をなだらかに登ると、すぐオドリコソウ、ズタヤクシュ、クルマバソウ、ヒロハコンロンソウなどが現れた。今年(2008年)は4月の気温が高かったために、標高の低いところでは、多くの花はすでに咲き終えていた。それでも、途中2本、小沢を横断するあたりで、待望のシラネアオイが現れ、最後の合流点(川渡し)の付近では、ニリンソウが満開の状態であった。
登山道は沢を離れ、左手の斜面をゆるやかに登るようになり、道の両側にはシラネアオイが次々に現れた。青粘峠に近付くと、名前の由来になった青いねばねばした粘土が山道の表面を覆うようになり、湿った斜面には、ザゼンソウやサンカヨウの花が見られるようになった。
青粘峠(767m)はドンデン山から金北山への縦走路の通過点になっている。花に見とれている時間が長かったので、ここまで来るのに2時間以上もかかってしまった。峠は、樹林に囲まれているので展望はないが、芝草に覆われていて、一息入れるのに丁度よい場所である。
左の山道は、マトネ峰(934m)を経て、金北山に向かう大佐渡山脈の縦走路である。右手の平坦な広い道が、ドンデン山に向かう道である。しばらく林の中を進むと、舗装道路に出た。右に曲がればドンデン山荘、左はドンデン野営場に向かう。左に曲がって、しばらく行くと、ドンデン野営場に行く林道が右に分岐する。
林道をゆるやかに登っていくと、突然林が切れ、前方に明るい天然の芝生が現れた。小さな流れを横断して、芝生の中の道を登ると、避難小屋に通じる分岐に出た。この日は、台風2号の影響で、風が強く、避難小屋に入って昼食をとることにした。
昼食後、いくらか風も収まったので、ドンデン池まで下り、三角点のある論天山(873m)まで散策した。さえぎるもののない高原からの展望は最高だった。
青粘分岐まで引き返し、開放感のある尾根を急登して、最高峰の尻立山(940m)を目指した。背後の視界がぐんぐん広がって、間峰、雪畑山、金剛山に続く山並みがせり上がってきた。足下には、ドンデン池と赤い屋根の避難小屋が見える。
山頂は、360度の大展望。南西方向に、大佐渡山脈の縦走路が延び、その先に佐渡の最高峰金北山(1172m)の姿があった。
芝生の広がる鞍部まで下り、アンテナタワーのあるピークまで登り返す。そこからは、わずかな下りで、ドンデン山荘に着いた。14時50分の佐渡ライナーには、余裕をもって間に合った。(2008年5月13日)
■上の写真: ドンデン高原尻立山 (Ryoji Honda)
■関連 青粘渓谷のシラネアオイ

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