視覚障害者登山

  2003年10月12日(日)、視覚障害者の団体と国上山を登った。
  分水町の国上寺登山口の駐車場で待っていると、約15名ばかりの障害者と彼らと一緒に登るパートナーを乗せたバスが到着した。中には、盲導犬を連れた女性の視障者もいた。
  私たち「山のともだち」の一行6人は、パートナーとしての経験がないので、サポート隊として先行した。私たちの役目は、頂上までブタ汁を作るための器材と水と食材を荷揚げし、調理して、一行の到着を待つのである。
  ブタ汁ができ上がった頃、一行が頂上に到着した。昼食後、依頼されて、私が頂上から見える景色や山々を説明した。視障者たちは、説明を聞きながら、その景色が見えているかのように、右を向いたり、左を向いたりした。
  それから、全員がそろって、「蛇崩れ」の岩場を経て、稚児道を下山することになった。
視障者国上登山の写真
  国上山の頂上から、蛇崩れまでは、粘土質の急な階段である。パートナーは、一歩一歩の足の運びに指示を与え出した。「2時の方向に足を大きく踏み出して」とか「高い段差があるから横向きに降りるように」とか「すべりやすい木道がありますよ」などである。指示の仕方にも一定のルールがあるようだった。
  健常者が視障者を伴って誘導するときには、一定の心得が必要である。二人が並んで歩ける広い道では、パートナーは、視覚障害者の左半歩前に立ち、右腕のひじの少し上を視障者の左手で軽く握ってもらい、案内する。障害者は、利き腕の右手で白い杖を持つ。二人が横に並んで歩けない狭い道では、視覚障害者は健常者のザックに手をかけて歩く。あらかじめ、ザックにロープの輪をつけている人もいた。
  盲導犬ターシャも慣れない山道を一生懸命主人の足を誘導していた。
  蛇崩れでは、凝灰岩の尖った岩が道の表面を覆っていて、足の運びも慎重になった。足の裏に、眼がついているかのように、足が尖った岩の先に触れると、直ぐに足の運びを変えた。蛇崩れのピ−クでは、みんなで板状の岩にさわって、蛇のうろこのようなザラザラした感触を味わった。
  傾斜がなだらかになると、足の運びもしっかりしてきた。一行を後ろから見ている限りでは、白い杖をもっていることを除けば、健常者とほとんど区別がつかないくらいだった。
  「てまりの湯」から国上寺までの林道はすでに完成していて、トンネルによって稚児道を3箇所でまたいでいた。見通しの良い場所に来ると、パートナーが左右の景色を同伴者に説明していた。視障者はものが見えなくとも、他の感覚でまわりのものを知ろうと努めていた。だから、せせらぎの音、鳥の声、蛙の鳴き声などは健常者以上に感じるようだった。