ペンション「コスモス」の締めくくり登山

  中高年の登山ブームにもかかわらず、山麓の民宿やペンションで宿泊する登山者の数は減少する傾向にあります。その原因は、日帰り登山者の増加とツアー登山の普及にあると思います。
  好きなとき好きなところに行ける自家用車の普及に加えて、高速道路や林道の整備が進み、日帰りで行ける山が飛躍的に増えました。コンビニで食料を買い、車の中で一夜を明かす登山者も見かけるようになりました。
  ツアー登山の発達も宿泊者の減少に拍車をかけています。大都市では、ツアー登山専門の旅行業者がしのぎを削って、登山者のニーズにあったいろいろなプランを揃えています。従来、日帰りでは無理だと思われた登山も、夜行日帰りを含めて、可能になりました。登山者にとって、朝早い運転から、登山後の夜遅くなっての運転までとなると体にこたえます。しかし、バスなら、どんなにきつい登山であろうと、夜遅くなろうと、車の中で休めますから、安心です。以前のように、あえて、前泊や後泊しなくても良くなりました。
  ある民宿のご主人がもらしていました。以前は、日曜日の朝、玄関は登山靴を履く登山者でごった返していたのに、今は、このとおり、がらがらです。
  その中で、ユニークな経営をして、いつも登山者で賑わっているペンションがあります。それは、日光丸沼高原のペンション「コスモス」です。
  ペンションのオーナーの萩原弘さんが、年間約15回のトレッキングプランを希望者に提供しています。オーナーは、群馬・日光の山々に精通しておりますから、ここでなければできないような独自の山の選定とコース設定がなされています。駅や登山口までの送迎、山のガイドなど一切合財登山者の面倒を見ます。
  「コスモス」さんが山のツアーを始めて8年が経過し、その活動は雑誌に紹介され、口コミでも広がって、私を含め、多くのコスモスファンが生まれました。奥様のフランス料理もすばらしく、特に、女性の参加者には大好評でした。
不動沢を登る
  それが、2006年4月をもって、ペンションの経営を他の人に譲ることになり、それとともに、山のツアーも終了することになりました。
  締めくくりの登山が2005年10月28、29日皇海山で行われました。ツアーの参加者は22名、夜のミーティングで、口々に、いままでの労苦をねぎらい、感謝の気持ちを表しました。そして、これからもなんらかの形でツアーを継続してくれるようお願いしました。
  29日4時半起床、5時出発、オーナーの運転で、栗原林道の美しい紅葉を見ながら、登山口の皇海橋まで移動しました。不動沢を登り、主稜コルから針葉樹林に覆われた皇海山を目指しました。山頂も樹林に囲まれ、展望はあまりききませんでした。
  オーナーの勧めで、コルから反対側の鋸山最高峰にも登ることになりました。小さな岩場や急なザレ場を通過して、ようやく山頂に着くと、そこには、すばらしい展望が広がっていて、皇海山での欲求不満が一挙に吹っ飛びました。 多くの旅行業者のツアーでは、百名山の一つ皇海山に登っただけで「良し」とします。
  私たちの登山は、そうではなく、個性の異なる二つの山に登ることができました。私たちは、オーナーの配慮に感激し、このようなツアー登山がなくなることを改めて残念に思いました。
■付記  この時期、一時営業を中断しましたが、現在では営業を再開し、ツアー登山もおこなっています。

■上の写真;不動沢を登る参加者

 関連する写真

皇海山の写真 男体山の写真 鋸山頂上の写真