その内容は、昭和23年7月10日公布、同年8月9日施行された「温泉法」により、きっちりと規定されている。
すなわち温泉とは「地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、」次の一つ以上に該当するものである。
地中から湧出する際の温度が25度以上
1kg中に、ガス性のものを除く溶存物質を1000mg以上を含有
1kg中に、遊離炭素、リチウムイオン、メタほう酸など温泉法で指定された18種の物質一つ以上について、それぞれ設定された基準値以上を含有
というわけで、鉱石や薬品を入れこんだ湯を温泉とは呼ばない。また逆に、いくら冷たくとも上記の成分を含んでいれば、鉱泉や冷泉でも立派な温泉なのである。
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温泉には禁忌がある。
そもそも温泉療法とは、泉温・泉質・水圧などの刺激に対するカラダの順応反応を利用するところにあるので、反応を起こし得ないような消耗状態、逆に過敏状態にある場合は適さないのである。
すなわち、発熱時・すべての急性疾患・進行期および重症状態・妊娠初期と後期などの場合は、温泉浴に適さない。
また、高血圧症・動脈硬化症・心臓病・呼吸器病・高齢者の場合は、42度以上の高温浴を避ける。さらに、泉質により薬理作用が異なるので、自分の症状にあった温泉を選ばないと逆効果となるおそれがある。
【泉質の禁忌】
硫黄泉は、皮膚の過敏な人、特に光線過敏症の場合は避ける。
硫黄泉、硫化水素泉は、高齢者で皮膚が乾燥している人は避ける。
塩化物泉(食塩泉)ナトリウム炭酸水素塩泉(重曹泉)ナトリウム硫酸塩泉(芒硝泉)の場合、高血圧症、腎臓病その他一般にむくみのある人は、多量に飲用しない。
二酸化炭素泉(炭酸泉)、硫黄泉、硫化水素泉は、下痢をしている時は飲用しない。
ヨウ素を含む泉質の場合、甲状腺機能昂進症の人は飲用しない。
泉質が重複している場合はそれぞれに該当させる。
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温泉に入った後はぐっすり眠れる。これは、さっぱりスッキリといった心理効果だけでなく、前述した刺激によりかなりのエネルギーを消費しているためである。例えば、40度の湯に20分間の入浴すると、約200キロカロリーを消費する。
すなわち、温泉の刺激に対する十分な受入態勢が必要なのである。
【入浴時】
■入浴前には30〜60分の休憩をとる。
■貧血状態を招きやすい空腹時、消化不良を招きやすい食事直後の入浴を避ける。飲酒直後の入浴は事故の元。
■温泉に入る際は、十分にかけ湯、かぶり湯をし体をお湯に慣らす。かけ湯の順番は下肢から上肢、最後に頭から湯をかぶるのが望ましい。
■入浴後は肌に付いた湯を洗い流さず、タオルで押さえる程度にする。これは温泉成分の肌への浸透を妨げないためである。ただし過敏肌の場合は、湯ただれを起こしやすいので適宜洗い流す。
【入浴回数の目安】
■健康な人……1日2回〜3回
■高齢者、乳幼児、体の弱い人……1日1回〜2回
【時間の目安】
■熱めの湯……10分
■ぬるめの湯……20分〜30分 |
◎単純温泉
無色透明、無味無臭の、日本ではもっともポピュラーな温泉。含有物質が少なく、刺激が弱いので、高齢者でも安心して入浴できるほか、病後回復期や外傷後の療養などによい。「名湯」といわれる温泉が多く、高血圧、動脈硬化、神経症を含めて万病に効くとされる。
◎二酸化炭素泉
炭酸ガスの気泡が肌に付くのが特徴。「心臓の湯」といわれ、毛細血管を広げて血圧を下げる効果がある。冷鉱泉や低温泉が多いが、保温効果があるので湯上がり後も身体はポカポカだ。飲むと清涼感があり、胃腸病によい。日本にはこの泉質の温泉は少ない。
◎炭酸水素塩泉
旧泉質の重曹泉は無色透明なアルカリ性の湯が、皮膚の角質をやわらかくして脂肪分や分泌物を洗い流し、しっとりとした肌になる。飲用すれば、痛風、慢性胃炎、胆石に効き、入浴すれば、リウマチやじんましん、糖尿病などに効く。
◎塩化物泉
単純温泉と並んで、最も数の多い温泉。保温効果が高く、「熱の湯」ともいわれる。温泉名に「塩」とつくところはほとんどがこの泉質である。その名のとおり、なめると塩辛いのも特徴で、浴用では関節痛、筋肉痛などの症状を和らげ、飲用では胃腸病に効果がある。
◎硫酸塩泉
マグネシウム、カルシウム、ナトリウムなどを多く含み、大別すると、便秘や胆道疾患に効く芒硝泉、鎮静効果に優れ高血圧や動脈硬化の予防になる石膏泉、苦い味に特徴がある正苦味泉に分かれる。「中風の湯」「きずの湯」ともいわれる。
◎含鉄泉
旧泉質名の鉄泉と緑ばん泉にあたる。鉄泉は、鉄分が多く浴用・飲用ともに貧血症や更年期障害に効果がある。湧きだしたときには透明であるが、空気に触れると酸化して褐色になるのが特徴。ただし褐色に濁った湯の効果は落ちている。「眼の湯」といわれる緑ばん泉は、皮膚や粘膜を引き締める収れん作用が強く、慢性の皮膚疾患や結膜炎といった、慢性の粘膜疾患に効果がある。手足の多汗症や静脈瘤にも効果を発揮する。
◎硫黄泉
硫化炭素ガスが含まれるため、卵が腐ったような独特な匂いと白濁色の湯が特徴。毛細血管を広げ、血圧を下げる作用があり、浴用、飲用ともに療養効果は高い。温泉治療に適した泉質である。
酸性泉
「直しの湯」「仕上げの湯」といわれる殺菌効果の高い温泉。水虫、湿疹など、慢性の皮膚病によく効くが、肌にしみるような強い刺激があり、湯ただれを起こすことがあるので注意したい。日本特有の泉質である。
◎放射能泉
一般的にはラジウム泉といわれ、万病に効くため昔から療養向けの名湯に多い。痛風、糖尿病、リウマチ、循環器障害、神経痛に効くとされ、飲用すれば尿結石などにも効く。
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温泉のうちで、
特に治療の目的に供しうるものを「療養泉」といいます。
療養泉は、含まれる化学成分の種類と量により、
次のように分類されています。
1、塩類泉
溶存物質量(ガス性のものを除く)が温泉水1キログラム中に
1グラム以上含まれるもので、
陰イオンの主成分によって次のように分類されます。
(1)塩化物泉
塩素イオン(Cl+)を主成分とする温泉です。
陽イオンの主成分がナトリウムイオン
(Na+)であれば、ナトリウム−塩化物泉(食塩泉)となります。
入浴すれば、皮膚に塩分が付着して汗の蒸発を防ぐため、
保温効果があります。
このため、食塩泉には「あたたまりの湯」とか
「熱の湯」といわれるところがあります。
(2)炭酸水素塩泉
陰イオンの主成分が炭酸水素イオン(HCO3−)である温泉です。
陽イオンの主成分がナトリウムイオン(Na+)であれば、
ナトリウム−炭酸水素塩泉(重曹泉)となります。
入浴すれば、皮膚の脂肪や分泌物を清浄化するので肌が滑らかになり、
「美人の湯」とよばる温泉があります。
(3)硫酸塩泉
陰イオンの主成分が硫酸イオン(SO42−)である温泉です。
陽イオンの主成分がナトリウムイオン(Na+)であれば
ナトリウム−硫酸塩泉(芒硝泉)、カルシウムイオン(Ca2+)で
あればカルシウム−硫酸塩泉(石膏泉)となります。
「きずの湯」などとよばれ、きりきず・やけどに効果がある
といわれる温泉が多いようです。
2、単純温泉
溶存物質量(ガス性のものを除く)が
温泉水1キログラム中に1グラム未満のもので、
泉温が25℃以上のものを単純温泉といいます。
また、ph8.5以上の単純温泉をアルカリ性単純温泉といいます。
含有成分がうすいので、
一般的にからだに対して刺激が少なく、利用範囲の広い温泉です。
3、特殊成分を含む療養泉
(1)硫黄泉
総硫黄が温泉水1キログラム中に2ミリグラム以上含まれる温泉です。
硫黄が主として遊離硫化水素の型で含まれるもの(硫化水素泉)と
含まれないもの(硫黄泉)に区別されます。
温泉地に行くと卵の腐ったような特有の臭いのすることがありますが、
これは硫化水素の臭いです。
酸化されると黄白色のイオウの沈殿を生ずるので、
浴槽の湯の中に浮かんで見えることがあります。
また、ガス噴気孔のまわりにもイオウの結晶が見られます。
(2)含鉄泉
総鉄イオン(Fe2++Fe2+)が温泉水1キログラム中に
20ミリグラム以上含まれる温泉です。
湧出直後は無色透明でも、時間の経過とともに酸化されて、
茶褐色に変化する温泉です。
(3)酸性泉
水素イオン(H+)が温泉水1キログラム中に
1ミリグラム以上含まれる温泉です。
外国の温泉にはあまり見られない泉質ですが、
わが国では各地で見られ、強い酸性を示す温泉です。
このほかに、二酸化炭素泉や放射能泉などがあります。
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