愛の劇場
〜What a Precious Word of Love!〜
”恋とはどういうものかしら?”
かつてそうつぶやいた(いや、実際には歌い踊ったわけですが……笑)のは,無邪気な少年でした。恋愛というのは、あらゆるジャンルの物語(おとぎばなしから、流行歌まで)で扱われる永遠のテーマのひとつです。
古今東西、世界のいろいろな場所で語られたであろう、”愛の言葉”。小説、マンガ、映画、音楽……いろいろな物語のなかから、そんな恋愛に関する名セリフを集めてみました。略号 N ……小説
C ……コミックス
M ……映画・アニメーション
S ……歌曲
例:以下のような要領で表記されています。
「なんたらかんたら〜!」
C 「作品タイトル」(第何話)
作者:(不明の場合は省略)
出版社(製作者):コメント:
夢の月からのコメント、そのセリフにまつわる思い出等。
「口を閉じて。黙ってあたしを見て……これからは言葉のいらない会話をするの」
C 「ONCE UPON A TIME 〜夢色冒険譚〜」(最終話)
作者:めるへんめーかー
出版社:早川書房コメント:
このセリフがなかったら、いまのような読書傾向は、なかったと思います(笑)。弱小国の王子ヒラリーと、結婚斡旋業を生業とする魔女レーデルランの恋物語。たくさんの魅力的な姫君にフラレ続けたヒラリーが、最後にそのハートを射止めたのは、伝説の姫である「星の国の王女――星姫」だった!。自由のために国を出奔していたレーデルランは、ヒラリーからのプロポーズを受けたが、その直後に「星の国」の家臣たちに捕まり、母国へと連れ戻されてしまう。そのレーデルランを奪い返すために旅に出たヒラリーが、その宿願を果たし、「星の国」の「姫君の塔」から飛び降りる前に、レーデルランがこのセリフをつぶやくのですが、夢の月にとっては、ロマンスという言葉の代表選手のようなセリフです。いいよなー、一度でいいから言われてみたい(爆)。
「もし傷つくのなら
最初の相手は 有馬がいいわ」C 「彼氏彼女の事情」(ACT4)
作者:津田 雅美
出版社:白泉社コメント:
おなじクラスの有馬総一郎から告白された仮面優等生:宮沢雪野は、告白に対する返事をし損ない、なんとか自分の気持ちを有馬に伝えようとするが、ことごとく失敗する。そんなある日、告白の返事を有馬から求められた雪野は言葉に窮し、ある真実に気付いてしまう――私は逃げていたのだ……傷つかないために逃げていた。もう逃げない、と決心した雪野が、「口でいうと、またしくじるかもしれない」と有馬の手を取ろうとしたときのモノローグです。少女マンガで繰り返されてきたテーマのひとつである”告白”に対して、これほど見事な回答を見せた作者の津田雅美さんの凄さに、夢の月は痺れました(笑)。泣かされましたね(笑)。
「松笛くんの本当の心だ」
C 「ディスコミュニケーション」(第18話)
作者:植芝 理一
出版社:講談社コメント:
恋人の松笛くんを助けるために、冥界へと旅立った戸川安里香は、夢の世界にとらわれてしまい、その世界でひとつの誘惑を受ける――おまえは、どんな幸せでも手にいれることができる、と。おまえの求める幸せ……ほんとうに欲しいものは何だ? と問われた戸川が、その問いに答えるセリフです。享受し得るすべての富や快楽……それらを振り切って、 ましてや自身の生命までも危険にさらされながら、それでもただ一人の少年の本当の心を求めていく、というこのシーンは、ほとんど毎回(笑)告白シーンのある「ディスコミュニケーション」のなかでも、特に秀逸な告白です。 あと、第59話のラストで語られる「人を好きになるのは、なんとなく、悲しいね……」も、とても好きなセリフです。
”Say……Kiss me”
M 「ブレードランナー」
監督:リドリー・スコット
制作:ワーナーブラザーズコメント:
”人間以上”を実現した有機アンドロイド”レプリカント”と脱走した”レプリカント”を処分することを生業とする”ブレードランナー”……相容れぬ立場にあるはずの二人が、恋に落ち……そして。ハリソンフォード演じるところの”ブレードランナー”テッカードが、”レプリカント”レイチェルにむかって囁くセリフです。ヴァンゲリスの美しいメロディーをバックに囁かれるこのセリフ……天下のハリソンフォードだから、言えるというか(笑)。一度でいいから、言ってみたいセリフですよね(爆)。
「……笑ってこい!」
C 「笑えない理由」(第9話)
作者:望月 花梨
出版社:白泉社コメント:
幼なじみの男の子に、「醜い顔で笑うな!」と言われたことがトラウマになって、笑えなくなってしまった女の子、伏屋かな子。彼女を笑えなくしてしまった張本人、秋庭瑛士は、実は彼女のことが好きだった。嫉妬からひとりの少女を傷つけてしまった瑛士は、どうにかしてかな子を昔のように普通に笑える女の子にしたいと思っていたのだが……。一度は笑えるようになったのに、ふたたび笑えなくなってしまったかな子……友達になれたと思った女の子にだまされて、みんなが楽しんでいるクラス会に参加できなくなってしまったかな子を、瑛士が無理矢理その手を引いてクラス会に連れていくシーンでのセリフです。アンビバレントな恋心に悩んでいた瑛士が、かな子への想いゆえにそれを振り切って言ったセリフです。なかなか、じ〜ん、ときました(笑)。
「 初めて名前呼んでくれたわね!」
N 「スターダストシティ」(第2巻)
作者:笹本 祐一
出版社:朝日ソノラマコメント:
”大金持ちの娘 ”シェルミーと彼女に雇われて”おじいちゃんの宝物”を捜すはめになった”失業中のエース・パイロット”マックが、”コネクションと軍隊二つ”に追われながら繰り広げるスペースオペラ。いろいろなことがあって、最後の最後に判明した”提督の遺産の在処”に向けて、ふたりが旧式宇宙戦闘機に乗ってスペースコロニーから脱出するシーンで、マックがシェルミーの名前を呼んだ直後のセリフです。笹本祐一さんのストーリーには、かならず「決め」のセリフがあるのですが、それらのなかでも夢の月がいちばん好きなのが、このセリフ。ストーリーの中で、最初はただのお荷物だったシェルミーが、最後にはちゃんとマックの相棒になっていて、きっと二人はこれからずっと相棒としてやっていく……普通の恋愛とはかけ離れているかもしれない、でも夢の月にとっては、最高のロマンスなのです(笑)。
「お姉さま!」
N 「マリア様がみてる〜黄薔薇革命〜」
作者:今野 緒雪
出版社:集英社コメント:
明治の頃から続いているという名門のお嬢さま学校である私立リリアン学園高等部には、上級生と下級生が姉妹の契りを交わして学園のなかで私的な教育を行うことにより、厳しい規則がなくとも学園の秩序が保たれるという「スール」と呼ばれる制度が残っていた。そんな名門に通う一年生の福沢祐巳は、ある日の朝、以前から憧れてはいたものの、お声すら聞いたことのなかった上級生の小笠原祥子さまに呼び止められて……。すったもんだの騒ぎの末に、晴れてスールとなったふたりであったが、祐巳は照れのためになかなか祥子さまのことを「お姉さま」と呼ぶことができず、「今後は名前を呼ばれても、返事をしないことにしましたから」と脅かされた挙げ句に、ようやく叫ぶのがこのセリフ(笑)。恋愛関係のセリフというには、多少問題があるような気もしますが、どう読んでもロマンスのセリフなんです(笑)。冷静になると、ひじょーに問題があるような(爆)気もするのですが、とても素敵でロマンティックなセリフであることにはかわりがありません(あーあ、居直ってしまった……笑)。
「…真希、きみの言った通りになったね」
C 「トライアングル・プレイス」
作者:わかつきめぐみ
出版社:白泉社コメント:
最愛の妻である真希を亡くした隆行は、その寂しさから、彼女の遺作であるプログラム”みゆ”に手を加えて、”真希”と名づけ、生前の彼女に想いをはせていたが、ある日プログラムであるはずの”真希”が、プロク゜ラム以外の行動を取り始めて……。真希を捜すみゆに、「真希はきみの中にいるんだ」と諭すときの隆行のモノローグです。平静を装いながらも最愛の人を失った事実を受け入れることができなかった隆行が、その事実を前向きに受け入れるとともに、自身にとっての彼女の存在を再確認するこのシーンは、 わかつきめぐみさんの数ある名場面のなかでも、特にすばらしいものだと、個人的には思っています。ロマンスということを、直接的に語ることをあまりしたがらない(笑)わかつきめぐみさんのロマンス・シーンのなかでも、屈指の傑作と言えるでしょう。ええ、そうです。このシーンにも泣かされました(笑)。
「食事がまずかったから――じゃ、だめか?」
N 「楽園の魔女たち〜とんでもない宝物〜」
作者:樹川 さとみ
出版社:集英社コメント:
魔術師と呼ばれる人々が天然記念物なみに珍しくなってしまった頃、ヨンヴィル国の片田舎に、エイザードと名乗る魔術師と、四人の弟子が住んでいた。もっともその弟子たちは、うら若き乙女たちで魔法についてはまったくの素人ばかり……しかも、人には言えぬ事情をそれぞれ抱え込んでいる。四人の弟子のなかでも、もっとも”アヤシイ”姉弟子のサラ・バーリンが、自身の身を案じてくれているかつての級友ティルトから、「どうして、きみは学院をでたんだ……?」とたずねられて、それに答えたのが、このセリフです。相手のことを憎からず思っているのに、志すものが異なってしまっているがゆえに、すれ違い、傷つけてしまう……いつも飄々として、なんでも出来てしまうサラの、とても不器用な一面を見せてくれるこのシーンは、なんともせつなくいい味を出しています。
「愛があるから大丈夫」
S 「愛があるから大丈夫」
演奏:上々颱風
作詞: 紅龍コメント:
ふつうであれば、恥ずかしくて言えないようなことを平気で言えたりするのが、歌の素敵なところだと思います(笑)。しかし、その歌にしても、これだけストレートに来られると……いやー、はじめてこれを聴いたときには、正直驚きました(笑)。「貧乏なんてこわくない……鍋釜さげてついて行く!」とくるのですが、これぞ日本のラブソングの王道でしょう(笑)。気の利いた言い回しも何もなく、ただストレートに自分の気持ちをぶつけてくる純情娘の心意気……いいじゃありませんか。この歌詞に対抗しようとすれば、スタンダードの名曲でも持ってこないとつらいんじゃないのかな?(笑) この上々颱風については、ほかにもいい曲がいっぱいあります。それらの中には、美しいラブソングもいっぱいあります。でも、それらと比べても、この曲はすばらしいラブソングだと思います。
”I want you,you,you”
S 「アイ・ウォント・ユー」
演奏:トム・ウェイツ(ホリー・コール・トリオ)
作詞:トム・ウェイツコメント:
ありました(笑)。上記の「愛があるから大丈夫」と戦える曲が(笑)。トム・ウェイツ作詞作曲の名曲ですが、とにかくシンプルで研ぎ澄まされた美しさがある曲です。この曲を、夢の月が大好きなグループ”ホリー・コール・トリオ”が演奏しているのですが、オリジナルともまた違った美しさがあって、そんなわけで”演奏”の欄をダブル・ネームにしました(笑)。この曲をはじめて聴いたとき、「自分の気持ちを伝えるのにふさわしい言葉だとか、そんなものを探したり、こだわっているうちは、まだまだだよ」、なんだか、そんなことを言われたような気がしました。いつか本気で好きな人ができたら、そのときこそ弾き語りでこの曲を――とか、思っているうちは、まだまだ修行が足りない、ということでしょうか(笑)。
「……行ってきます」
M 「王立宇宙軍〜オネアミスの翼〜」
監督:山賀 博之
制作:ガイナックスコメント:
人類初の宇宙飛行士となることになったシロツグ・ラーダットには、ひとりの想い人がいた。 彼女の名は、リイクニ・ノンデライコ……不幸な生い立ちのなかで、かたくなになりながらも、一生懸命に生きようとしている娘だった。最初はいかがわしい下心から、彼女に近づいたシロツグだったが、逢瀬を繰り返すうちに、いつしか本気で彼女のことを想うようになっていた。自身の日常に倦怠感を覚え、なかば自暴自棄になってリイクニを押し倒そうとしたシロツグだったが……。ロケット打ち上げのため、街を離れることになったシロツグは、リイクニに挨拶をするために街外れまで出掛けたが、彼女は留守だった。あきらめて、電車駅まで戻ってきたシロツグが電車に乗り込んだとき、ちょうど街から戻ってきたリイクニが電車を降りてきて……という場面でのセリフです。言いたいことや伝えたいことがいっぱいあった……でも、本気だったがゆえになにも伝えることができず、ただ一言「……行ってきます」と彼は言ったのだと思います。泣きました――これが、ロマンスというものだと思いましたね。
「特A級指名手配306号、光圀葵……あなたを逮捕します。あなたには自分に不利な証言を拒否する権利があります。また汎銀河系知的生命体連合に属する弁護人ないし弁護魚類、弁護爬虫類、弁護哺乳類、弁護腔腸動物、弁護節足動物、弁護単細胞生物またはそれに類する法定代言者を選択する権利があります。不法な抵抗は、あなたの不利になります」
M 「宇宙海賊 ミトの大冒険」
監督:渡部 高志
制作:バンダイビジュアル・エアーズコメント:
長い……(笑)。でも、この長さにこそ重みがあるセリフです。幼いころ父親を亡くし、母親とも仕事の関係で別居を余儀なくされている主人公・光圀葵。父親の命日に帰ってくる母親を迎えに出た葵を待っていたのは、彼の15年の人生を覆してしまう衝撃の真実だった! 自分の母親と信じていたその女性の姿はただの着ぐるみで、その実態はまるで小学生の女の子……そのうえ彼女は宇宙人、それも宇宙海賊だったのだ! はたして葵の人生はどうなってしまうのか!? 特A級指名手配303号宇宙海賊ミトを追って地球にやってきた年賀睦月は、極秘捜査のために原住民の学校に転校生として潜入したのだが、そこでひとりの女の子として生活するうちに、敵であるはずのミトの息子に恋心を抱いてしまう……。上官の命令により、葵を逮捕せねばならなくなった睦月が、「あなたには……こんなことしたくなかった」と任務のために、自身の想いを振り切って云うのがこのセリフです。シリーズを通して、何度も出てくるセリフなのに、ちゃんと全文が披露されるのはこの回だけ(いつもは途中で、「以下、省略!」となります……笑)。任務のためになんとか自分の想いを振り切ろうとして語られる――それゆえに、かたくなまでに規則通り語られるこの言葉は、最高のロマンスです。
「ここ。……わたしの家に」
N 「覆面作家の夢の家」
作者:北村 薫
出版社:角川文庫コメント:
天国的美貌を持つミステリー界の人気作家「覆面作家」こと新妻千秋さんには、ふたつの顔があった。ひとつは家庭内で見せる大富豪のご令嬢としての側面、そしてもうひとつは、お屋敷の外で見せる快活なきっぷのいい姉御肌の側面……ほとんど二重人格といってもいい「外弁慶」の千秋さんが、相棒で想い人でもある若手編集者、岡部良介にその想いを告白されて、そのときに、「外弁慶」であるはずの彼女が、お屋敷の外であるにも関わらず”お嬢さん”としての顔を良介に見せたときに、彼から「お屋敷でもない、外でもない。きみは、どこにいるんだい」と尋ねられて、彼の腕のなかで答えるのが、このセリフです。お話をさりげなくドラマティックに終わらせて、思わず笑みを浮かべさせてしまう作者、北村 薫さんの手口にまんまと転ばされてしまいました(笑)。まさしく彼の腕のなかこそ、彼女の家……ロマンスですね。
「『葛葉』を、あげる」
N 「姫神さまに願いを〜永遠国ゆく日〜」
作者:藤原 眞莉
出版社:集英社コメント:
ふとした時に手にとって、それであっさりと転んでファンになってしまうお話というのはありますが、この”姫神さまに願いを”のシリーズは、わたしにとって、まさにそれでした。和風のファンタジーということで、どんなものかな? と手に取ってみたのですが、とてもおもしろく……あっさりと、転んでしまいました(笑)。基本的に、”決め”のセリフがあるようなお話に弱いのですが、このシリーズは、まさにその典型だと思います。夫と子のもとから、己が素性ゆえに去らねばならなかったヒロイン「葛葉姫」。その彼女が、出会ってしまった夫以外の男性……だが、彼ともまたその愛情ゆえに離ればなれにならねばならぬときが来て……。失ってしまい、そして自分のもとへと帰ってきてくれた愛する男に、”京にいる彼へは、子を産んだ。だからここにいる彼へは”と自身の名前を与えるシーンのセリフです。ロマンスは、甘くやさしいものばかりではありません、そして、このセリフは、そんな哀しくせつない……それゆえに、とびっきりのロマンスを、見せてくれます。
「夢を、見たよ。かぞえきれぬ夜のはざまで……ただ、おまえの夢だけを見ていたよ」
M 「神秘の世界 エルハザード」
監督:林 宏樹
製作:AIC/パイオニアLDCコメント:
ものすごくひどい言い方をすると、物語冒頭のこのシーンとラストシーンのためだけにあるような物語なのですが(爆)、逆に言えばそれぐらい感動的で素敵なシーンだったのです。普通の高校生だった主人公、水原誠は、ある日、ふとしたことから、自分を呼ぶ声に導かれて、学校の中で発見された遺跡の発掘現場へと向かいます。そこで彼は謎の女性と出会い、この言葉を告げられるのですが、当の本人には、なんのことだかさっぱり見当がつきません。そして、そのまま彼は「時間がない」と、いきなり異世界に飛ばされてしまうのですが(笑)、物語が進むにつれて、謎の女性の正体があきらかとなり、物語の最後のあたりになって、やっとこの冒頭のシーンの言葉の意味も理解されます。お約束、ご都合主義と言ってしまえば、まさしくその通りかもしれません――でも、わたしの知っている告白シーンの中で、最も美しいもののひとつであるこのセリフには、最高のロマンスが詰まっているのです。