GCT受験を終えて2006/09/10




優良家庭犬普及協会は、以前一緒に暮らしていた愛犬潤子ちゃんが子犬の時にしつけをはじめた頃発足した会です。私たちは、発足と同時に入会し、推奨する優良家庭犬の基準であるGood Citizen Test(GCT)を受験しました。潤子ちゃんは更新も含めて数回受験しましたが、毎回が勉強の連続でした。

さて、今回受験する海ちゃんは、実は3回目の受験です。1回目は昨年の9月で、受験資格の1歳を過ぎてまもなくのことでした。血気盛んなスポーツ系の海ちゃんは色々なことに興味を示し、誰に対しても好意的なチャーミングな女子です。初めての会場で、滑り出しは順調でしたが、匂いに惑わされたのか、お散歩のヒーリングがNGとなってしまいました。私自身も久ぶりの受験でしたので緊張もありましたが、海ちゃんの訓練が家ではパーフェクト(自称)に近い出来でしたので少しは自信があったのでとてもがっかりしました。犬は般化が出来ないことを痛感しました。

2回目の受験会場は同じジムで、しかも、かなり気合が入っていましたので、合格が当然のごとく思われました。しかし、順調に進んでいた試験も残り最後の「食事中の待て」で、その落とし穴はありました。テーブルを準備している最中に“こと”は起こりました。テーブルの下にタオルを敷こうとして海ちゃんから目を離したその時、海ちゃんは音も無くテーブルに前足をつき上を覗いてしまいました。ジャッジ曰く、「試験と試験の間も試験です。」この時点で海ちゃんの失格が確定してしまいました。

私の反省はテーブルの下にタオルを敷こうとした一瞬、海ちゃんから注意をそらしたことでした。いかなる場合でも愛犬から注意をそらさないという戒めで、飼主としての愛犬の全ての行動について責任を持たなければならないということです。

そして、3回目の今回は、今までの経験を活かし万全の準備の下に仙台まで行きました。会場がはじめての場所で朝早くからの長旅ですので、一抹の不安はありましたが、いつもの海ちゃんと飼主でいれば問題は無いと自分に言い聞かせていました。そして、予定通り受付の1時間前には到着し、駐車場やロビーでリラックスタイムを過ごしました。

緊張した受験生たちを察してか施設長の新田さんが盲導犬の犬舎を案内してくれました。施設の犬達は、健康診断の為に横浜訓練センターに出張中とのことでいませんでしたが、広い運動場と清潔な犬舎を見学し、盲導犬が誕生するまでの経過を聞きました。
この施設は、土地を仙台市が無料で貸出し、建物は自転車振興会の協力で出来たそうです。盲導犬育成のみならず、視覚障害者の為のリハビリセンターも兼ねているそうです。次に館内を案内していただきました。
廊下には施設を紹介するいろいろなパネルが展示されていました。その中で、楽天球団の田尾監督と記念撮影されているパネルは、視覚障害の子供たちの仙台球場での楽天対西部戦の観戦の話で心を惹かれました。
同球場は楽器の応援が禁止されており、試合の臨場感が膚で感じられる球場として有名だそうです。予定では5回で帰るはずが、子供たちの希望で最終回まで観戦した話でした。子供たちのその膚で感じ捉えたその感動をまえにどうしても帰ることが出来なかったそうです。そんな子供たちを歓迎して楽天の選手や田尾監督がベンチまで招きいれて記念写真を撮ったそうです。試合は負けてしまいましたが子供たちにとって一生の思い出の日となったそうです。
ほのぼのとしたお話を聞きながら受験生達がリラックスしてきたころ時間となり、受験会場の3階の多目的ホールへ移動しました。

優良家庭犬普及協会、事務局の挨拶とともに試験が開始です。今回仙台会場では13組が受験します。ジャッジの鬼澤先生から試験の概要の説明があり、一番目の受験者は10分後の11時40分からの試験開始となりました。私と海ちゃんは3番目の受付でしたから先ずはワンツー(排泄)を済ませて控え室で待つことにしました。

優良家庭犬認定試験の受験には一定の条件が必要です。基本的に室内飼育をされている1歳以上の健康かつ清潔な犬であることが要求されます。正式に認定を受けるためには避妊去勢済みの必要もあります。各種ワクチンや登録、健康に関する情報は獣医師によって証明されなければなりません。「肥満」や「やせ過ぎ」も不健康であると看做されます。また、飼主は受験する犬の世話や訓練を日常的に自らが行っていなければなりません。受験申請がなされて問題がなければ受験が可能となります。受験時に使用する首輪やリードにも規定があるので予め準備をしておきます。もちろん試験当日はご褒美としての「おやつ」や「おもちゃ」の使用はできません。

テストが始まると飼主は犬の体に触れて強制的に姿勢を直すことは禁じられますが、テストの合間に褒めて撫でることは許されます。要するに全て号令によってのみ犬とのコミュニケーションをとることが要求されるのです。号令は声符、視符(ハンドシグナル)の2種類があり、これらを同時に使ったときは号令一回とカウントされ、時間差があれば二回の号令となります。飼主が号令をかけるときも、前傾姿勢(おじぎ状態)のままでいると、長い間号令が出し続けられているとみなされてしまい失格要件に該当します。飼主も背筋を伸ばして受験に臨むのです。

試験にはこれらのことを含むルールがあり、認定基準受験要項レギュレーション(合否判定基準)に細かく定められています。特に試験開始後は飼主がレギュレーションを完全に覚えていなければ、愛犬を合格につなげることは困難でしょう。

テスト項目は15項目ありそのうち一つでも失格になると、その時点でテストは終了となります。各テストでジャッジは項目を告げ用意が出来たかを聞きます。ハンドラーの「はい」の応答によって試験が開始されます。各項目のテストはジャッジの「終わりです」の言葉で終了します。試験が一旦開始されると待機している間もジャッジの目の届く範囲で判定がおこなわれています。

テスト項目1:ビニール袋の提示
ビニール袋の提示を求められたときにハンドラーは携帯しているビニール袋を見せなければなりません。そのとき犬は横でおとなしくしていなければなりません。

テスト項目2:飼主が他人に挨拶をする間、座って待つ
ハンドラーは犬に「マテ」をかけ座らせておきます。そこへスタッフがハンドラーの1m位正面まで近づき、おじぎをしてから挨拶の言葉をかけます。これに対してハンドラーはおじぎをして挨拶を返します。スタッフは挨拶がおわるともとの方向へ帰っていきますがこの間犬は座り続けていなければなりません。

テスト項目3:座って他人に触られる
ハンドラーは犬に「マテ」をかけ座らせておきます。そこへスタッフが近づき正面で静止した後、犬に触れても良いかをハンドラーに聞きます。ハンドラーの「どうぞ」という了解で犬に正面から近づくと手の匂いを嗅がせ、目線を合わせて頭から肩にかけて軽く触ります。この間犬は立ち上がったり、後ずさりをしたりするなどの拒否的な反応を示すことなく座り続けます。

テスト項目4:リード付きで歩く
試験場に予め用意された散歩コースを約1分間歩きます。距離は15〜25m位ですが犬はリードを引っ張ったりせずにハンドラーの側を歩かなければなりません。何度も床の匂いを嗅ぐことやハンドラーから50cm以上離れていても失格です。ジャッジの指示はありませんが一時停止位置があるのでここでハンドラーは停止し、犬もハンドラーと同方向を向いて一旦座ります。一時停止が出来たらまた歩き始めます。歩いている最中にジャッジから「速度を速く」または「ゆっくり」との指示が出るのですぐにそれに従い速度を変えます。「普通」の声がかかったら元の速度に戻します。

テスト項目5:リード付きで人込みを歩く
擬似的に作られた人ごみの中を歩いて障害物の横でハンドラーが止まり犬を座らせたら終了です。人込みのスタッフは犬の前後を歩き回りますがハンドラーと犬は止まらずに目標まで歩きます。犬は人に飛びついたりせずにハンドラーとともに歩かなければならず、障害物に対しても強すぎる関心を示してはいけません。

テスト項目6:各種「刺激」の中を歩く
テスト項目5の静止した位置からテストは始まります。静止位置から再びスタート位置まで戻る際に先ほどの人込みが現れますがそれに加えて、視覚刺激、臭覚刺激、聴覚刺激のいずれかが与えられます。刺激の種類は限定されていますが、どの刺激が試験に用いられるかは当日までわかりません。刺激は犬から1m以上離れたところで与えられます。この刺激に少し驚いてもかまいませんが、すぐに状態を回復することが出来ない場合は失格となります。

テスト項目7:飼主の横で伏せ、待て10秒間
ジャッジからフセをさせるように指示が出たら、犬にフセをさせて「マテ」の号令をかけます。10秒間のフセを保つことが出来たらこの項目はクリアです。

テスト項目8:飼主から1.8m離れて30秒「オスワリ・マテ」
このテストでは1.8mのリードを使います。ジャッジの「離れて下さい」の指示で座っている犬にマテをさせたまま指定された位置までハンドラーだけが移動します。30秒間このままの状態を維持すると戻るように指示が出るので最初の位置に戻ります。この間犬は座ったままでハンドラーを待ちます。

テスト項目9:活発に動かしてから落ち着かせる
このテストはテスト項目8に続けて一つの流れとして行われます。ハンドラーが戻ったあと犬を褒めて元気にさせるよう指示が出たらハンドラーは遊んだり褒めたりして少し犬を興奮させます。すぐにジャッジから「静かにさせてください」と指示が出るので3秒以内で犬を落ち着かせることが出来ればクリアです。

テスト項目10:呼び戻し(6mのリード付き)
このテストでは6mロングリードにリードを付けかえ、犬をスタッフに託してハンドラーだけが犬から離れます。所定の位置に付きジャッジから呼び戻すよう指示が出たら犬をハンドラーの方へ呼び戻します。足元まで犬が着たら犬を座らせ元のリードに付け替えて終わりです。

テスト項目11:他の犬とのすれ違い
犬と指定されたコースを歩きその間犬をつれたスタッフとすれ違います。もちろんすれ違うときは一旦停止して犬を座らせてからスタッフと挨拶をします。終始、他の犬に対して異常な関心を示してはいけません。

テスト項目12:犬の四肢をタオルで拭く
タオルで1本1本の足をおとなしく拭くことが出来ればOKです。

テスト項目13:食事中テーブルの下で待つ
ドッグカフェのようなシーンで、犬はテーブルかイスの下でハンドラーが食事中おとなしく待っていることが要求されます。

テスト項目14:留守番・クレートに入って10分間飼主を待つ
犬はクレートに入り、ハンドラーは10分間この場所から離れます。この間、犬は吠えたり、鳴いたりし続けることなくおとなしく待っていられればクリアです。

テスト項目15:獣医師によるグルーミングチェック
体の汚れや、耳、歯、爪、体格などを獣医師が実際に犬に触って診察します。このとき怯えたり、逆に興奮しすぎたりしてはいけません。

15項目もあるとさまざまなシーンがテストされることがわかると思います。すべてのテストにおいて犬だけがきちんと行動することが要求されるわけではありません。ちょっと興奮した時はハンドラーがつかさず号令をかけて落ち着かせ、犬をコントロールできればクリアできるテスト項目もあります。要するにハンドラー(飼主)と犬のコンビネーションがきちんと出来ていないと合格することはできません。まさに、よき伴侶としてお互いの存在を認め合うということです。

受験番号一番のMIX君は無事に前半をクリアしました。受験番号二番の子は健闘むなしく前半クリアはなりませんでした。そして、いよいよ私たちの番になりナイロン袋を提示して会場に入りました。
所定の位置に移動して、「ご挨拶」「他人を受け入れ」「お散歩」と順調に進んでいきました。「人込みの中を歩く」や「刺激の中を歩く」も無事通過したところで、ジャッジからおすわりをもう少しヒールポジションに近づけるよう指示がありました。
海ちゃんもとても楽しそうに周りを気にしているのでアイコンタクトがなかなか続きません。いつものように、こちらを見続けてくれないのです。それでも、試験と試験の間に海ちゃんをはげまし、こちらにアテイション(集中)させるように心がけました。
「呼び戻し」では、ジャッジが犬を抑え飼主が6m離れて呼び戻しをします。その時、海ちゃんはジャッジに甘え、多少興奮気味になってしまいました。「カム」の声に反応したまではいいのですが、私の左側にいたサブジャッジの方へ向かっていってしまいました。過度の興奮と飼主の号令に3秒以内で答えないと失格になってしまいます。すぐさま2回目の号令を出すと、反応よく、戻ってきました。やれやれ一安心です。
「他の犬とのすれ違い」「四肢をタオルで拭く」「獣医師の診察」と問題なく合格し、前半は終了です。

後半の「お留守番」と「お食事」の2項目は、後の合格者と一緒に行うので会場を出て一階のロビーで鮎ちゃん達と次の試験まで待つことにしました。無事に前半を通過したことを伝えると、鮎ちゃんママもとても喜んでくれました。鮎ちゃんもGCTを目指しているので、海ちゃんを目標に頑張るそうです。

しばらくするとスタッフが「お留守番」を行いますと伝えてきました。会場に入ると受験番号一番のMIX君と海ちゃんだけです。他の11組は残念ながら前半の試験に残ることが出来ませんでした。こうなると後半の試験に挑む2組への注目度は増すばかりです。
海ちゃんをクレートに入れ「待て」の号令をかけて会場を出ました。隣の控え室で10分間待ちましたが、この10分がとても長く感じられました。MIX君と共に合格し最後の「お食事」になりました。
MIX君が先に準備を始めています、テーブルの下でおとなしく伏せをした状態で待っています。私たちはMIX君たちと向い合って試験を受けることになります。前回の教訓を活かし海ちゃんからは目を離さず、テーブルの下に導き伏せをさせて「待て」の号令をかけました。
ジャッジの「準備はよろしいですか」の問いに2組とも「はい」と答え、試験に入りました。2,3分するとMIX君はお母さんの緊張をよそに横になってリラックスし寝てしまいました。海ちゃんは周りが気になるのか、うれしそうにキョロキョロしていますが伏せをした状態を保っています。

この試験はレストランで食事をすることを想定して行われますので、実際に食事を取り会話も普段どおりに行います。お話の様子から更新の為の受験であることを知りました。GCTは2年毎に更新をしなければなりません。10歳以上で3回の更新を経験すると次からは受験が免除となりゴールド会員となります。お互いにゴールド会員を目標にしましょうと話をしました。
「お留守番」の10分間に比べ、「お食事」は愛犬と一緒にいるのでそんなに長く感じることはありませんでした。そして、無事に終了することが出来ました。
実はこの会場に来た時点から帰るまでが試験の対象となっています。試験が終わった後でも犬が不適切な行動をすれば、その時点で合格を没収されてしまいます。
ジャッジの鬼澤先生から優良家庭犬の飼主として、他の飼主の模範となるよう挨拶がありました。合格できなかった組は八木沢先生のワンポイントレッスンを受けることが出来るようです。私たちはパスポート用の写真撮影をしていただき、スタッフのみなさんにお礼の挨拶をして仙台会場を後にしました。
帰りの東北道は比較的空いていて流れはスムーズです、途中の菅生パーキングで笹かまと牛タンをお土産に買い無事に帰ってきました。この日の笹かまは特別おいしかったです。