名古屋の味 あさくま 編
あさくまは、名古屋では老舗のステーキハウスである。今でこそ、いろんな外資(名古屋以外)系のステーキハウスがたくさんできたので、選択肢は広がっているが、ひと昔前は、ステーキというと「あさくま」であった。
ステーキ自体高級品である上に、外食と来たものだから、当然、あさくまは敷居が高かった。しかし、このあさくまは決して高級料理店とふんぞり返りはしなかった。そもそも、このあさくまは、本店が日進市赤池付近にあり、本業は「朝熊」という仕出し屋旅館であった。そのため、いい意味で庶民的なところが残っているのでしょうね。
あさくまでも、いいステーキはそれなりの値段であるが、それでも、この料理ならこの値段で納得できるという価格設定であったと記憶する。また、それでも敷居が高い人のために、「あさくまハンバーグ」が用意されていた。ハンバーグの値段は、そこそこのステーキの半額くらいで、そこいらで食べるのと価 格的に変わりがない。(ただし、ライスなどは別会計なので、やっぱり高いけど)おかげで、多くの人があさくまを利用することができた。しかし、そのハン バーグでさえ、ひき肉にエビを加え、中央にギンナンが1個埋め込んであるという、他では味わうことのできない凝ったものであった。さらに、貧乏学生のため に「学生ハンバーグ」なるものも設定されており、値段は「あさくまハンバーグ」より安かったため、エビなどは入っておらず、厚さも薄かったが、その分、大きく、若い人向きに硬めに仕上げてあり、食感は肉を食っているのに近かった。今は、なんとかあさくまでステーキが食えるようになったが、それでも、「あさ くまハンバーグ」の味が忘れられず、たまに注文してしまう。一部のスーパーなどでは、冷凍のあさくまハンバーグを置いているところもあるくらいである。と ころが先日、あさくまに行き、「あさくまハンバーグ」を注文したところ、愕然とした。味が変わっていた。エビが混入されておらず、ギンナンもない。より肉の旨みが分かるハンバーグらしい味になっていたが、あたしは天を仰ぎ涙した。「うまい、確かにうまいよ。でも、おれ、泣く!」
あさくまのステーキ類は、当然焼いた鉄板皿に盛られて出てくるが、そこに焼いた直径8cm、厚さ3cm位の円筒形の鉄塊「ペレット」が乗ってい る。鉄板の保温をしたり、ステーキをその上に乗せ、自分の好みの焼き加減まで調節できるもので、今ではステーキハウスでこれを採用しているところが多い が、あさくまはかなり初期からこれを採用していた。資料がないので断定できないが、あさくまが創始なのかもしれない。このペレット、当然むちゃくちゃ熱く なっており、ステーキのソースがかかるとそこが突沸状態になって、ソースが跳ねる。あさくまに行きなれた人は、おしぼりをたたんで皿の下にかませ、皿を斜めにすることによりこれを回避している。
あさくまの魅力はサラダバーにも現れる。メニューを見て目を丸くする人もいるだろう。なんせ、先述の「あさくまハンバーグ」や「学生ハンバーグ」 などよりサラダバーのほうが高いのである!しかし、あさくまのサラダバーはハンパじゃない。そこいらの店にあるような野菜が盛ってあるコーナーがメインで あることには違いない。それに加え、ゼリーなどのデザート類はいわずもがな、その日のシェフの気分でメニューは変わるだろうが、焼きそばやパスタ、辛味の 効いた麻婆豆腐なども登場したりする。また、うまいことで有名な「あさくまコーンスープ」などのスープ類も飲み放題、極めつけはサラダバーの脇にソフトク リームマシーンが設置されており、ソフトクリーム食い放題なのです。お子様は狂喜乱舞し、月4人は発狂すると言われています。このサラダバーだけで十分満 足した食事を取ることができるくらいのものが用意されているのです。もちろん、ちんけなサラダバーのように見た目量が多そうに見えるけど安物の集合体と か、一品がなくなっても補充されないとかいうことは、自分の見た限り、ありませんでした。少々お高いですが、懐とおなかに相談して一度お試しください。な お、サラダバーのみでは注文できません、あしからず。
あさくまも、関東地方にも進出していますので、名古屋に来なくても名古屋の味が楽しめます。ほら、あなたの背後にも名古屋の味!