えんめいじゅっくかんのんぎょう
延命十句観音経


かんぜおん  なむぶつ

観世音 南無仏

よぶつういん    よぶつうえん
与仏有因 与仏有縁
ぶっぽうそうえん じょうらくがじょう
仏法僧縁 常楽我浄
ちょうねんかんぜおん ぼねんかんぜおん
朝念観世音 暮念観世音
ねんねんじゅうしんき ねんねんふりしん   
念念従心起 念念不離心  



〔和訳〕
観世音菩薩に帰依いたします。仏に帰依いたします。わたくしどもは仏と同じ因、
仏と同じ縁をもった世界に生きております。そしてそれは仏・法・僧の三宝とひとつ
につながっている世界です。この世界は常・楽・我・浄の理想世界です。
朝に観世音菩薩を念じ、夕べに観世音菩薩を念じます。
その一念一念はすべて悟りの世界から起こったものであり、悟りの世界を離れた
ものはなにひとつありません。


〔解説〕
ふつう「十句観音経」と略称する。この経は比叡山の霊空光謙(1652〜1737)
によって世に知られるようになったと言われているが真偽のほどは不明である。
日本で作られたお経のひとつであろう。
 この経にまつわる霊験譚が白隠禅師によって宝暦9年(1759)に著されている
ことから、当時から庶民の間でよく誦えられたものであろう。観音信仰はこの経
によって中国・朝鮮・日本のみならずアジアの広い地域に流行した。
「十句観音経」は「観音経」のコンパクト版といえるかも知れない。
白隠禅師はこのお経を坐禅のように背筋をのばした姿で称えることを勧めているが、
歩いている時も、立っている時も、寝ている時もいついかなる姿・場所で称えても短い
お経であるから観音様を信仰する人は誰でも簡単に覚え、称えることができ、多くの
人に読誦をすすめることのできるありがたいお経である。
              『禅宗で読むお経入門』(大法輪閣)より