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サイクリングは、精神的にリッチで優雅なスポーツだと思っている。
随分と前のハナシだが、飯田から雪の中を飯田峠、大平(木曽)峠を越えて、妻籠宿にたどり着いたときのこと。
とある宿に一夜を頼んだが、宿の主人は私を頭のてっぺんからつま先まで見た上で、『あいにく、今日は満室ですから・・・。』と断られた。
ウィークデイの雪の日に満室も無いだろうが・・・と思いつつ、仕方なく外に出て、自分の姿を鑑みると、なるほど無銭飲食してもおかしくないほどの“立派な”いでたちである。
オマケに使い古して、色あせたキャンバス地の(一般人からすれば)へんてこなバッグを抱えていれば、誰だって断りたくなるだろう。
このときから、初めての宿に入るときは、出来る限り泥を払うなり、身なりを整えて、『コンニチハ』をするようにしている。
また、出来れば、肩にぶら下げているフロントバッグも、精神と同じくリッチなものにしたいと長年思っていた。
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勿論、私にとってサイクリングは道楽なのだから、その“極み“をしてみたかったというのもある。
ただし、ブランド物のフロントバッグなど無いし、(もしエルメスのフロントバッグが、あったら面白いと思うが・・・。)革製のバッグ自体、サイクリングが野外活動である宿命か、どこを探しても見当たらなかった。
それと同時に、重いのはイヤ、かさばるのもイヤ、それでいて必要なものは、取り敢えず持っていたいという贅沢な願望を絶えず抱いていた。
また、私の習性として、売っていなければ何とかしてでも、作ってしまおうということで、出来たのが『シャコンヌ』である。
生産性の乏しいこと、余りあるとは思うが、“今のところ”使い勝手は満足している。(というより、やっとたどり着いたという感がある。)
一方、TVでは気安く、『究極の一品』などという表現をするが、モノ造りは、その様なものでは無いとも思う。
あくまで、かのチャップリンの言うところの、『NEXT ONE』 である。
しかし、何処かで見切らなければならないとすれば、今が“最良”と思う。
『どこを切っても、金太郎』かもしれないが、この“最良”の結果を分かっていただけるサイクリストに、このフロントバッグを提供したい。
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