「朝日」新聞は7月28日付「社説」で、「人権擁護法 救済の法律は必要だ」を掲載。 法案の問題点として「人権委員会が法務省の外局とされたこと」と、「メディアの取材による被害も救済の対象としたこと」をあげ、「問題のある条文を修正した上で、法案の成立を急ぐべきだと主張してきた」とのべています。
この間全国人権連は、そのときどきの情勢に応じて、法務大臣や関係議員への申し入れ、3000を目標とした再提案反対の要請ハガキ運動、中央の労働組合・民主団体と共同した要請書の提出、議会対策など、人権擁護法案の再提出を許さない運動を展開してきました。 7月25日に、自民党人権問題調査会の古賀会長と、同党政務調査会の与謝野会長が協議し、今国会への同法案再提出を断念せざるを得ないという認識で一致したことは、こうした運動の成果であり、大きな国民世論の成果です。
法案の問題点は、「朝日」紙の主張点だけではありません。 それは
国連が示す国内人権機構のあり方(=パリ原則)とは異なる。
公権力による人権侵害を除外しており、最も必要性の高い救済ができない。
報道によるプライバシー侵害を特別救済手続きの対象としており、表現・報道の自由と国民の知る権利を奪うことになる。
「人権」や「差別」についての明確な規定なしに、「差別言動」を「特別救済手続き」として規制の対象としたことが、国民の言論表現活動への抑圧であり、憲法に抵触する。
というものです。 これらは多くの国民世論が指摘してきたことであり、決して「朝日」紙が主張するような単純なことではなく、まして「朝日」紙の主張する問題点を修正さえすれば「法案の成立を急」いでいいもの
でもありません。
しかも「朝日」紙は、「今も続く部落差別をなくすことが、この法案の原点だ。 部落解放に取り組む人が人権擁護委員に就くことを、この法案は想定している」とまで言及。 そうなれば、朝鮮総連や「解同」のメンバーが市町村で「人権擁護委員」として委嘱された場合、拉致被害を訴える行動や、「差別」でもなんでもない些細な言動が「差別」とされるのではないか、という国民の疑問が出るのは当然ですが、これに対して「朝日」紙は、「心配のしすぎ」「短絡的」と切り捨てているのです。
「朝日」紙は特に、法案第3条の差別禁止規定にかかわって、「解同」が言う「救済が必要な実態の厳しさ」を鵜呑みにし、この条項の見直しには触れていません。 「解同」はこの法案を「部落解放基本法」を取り込んだ禁止規定とし、みずからの無法な「確認・糾弾」をすすめる根拠としようとしていますが、「朝日」紙は「人権侵害に苦しむ人びとは、救済の法律を待ち望んでいる。 自民党は、なによりもこの現実に目をむけるべきだ」と主張しているのです。 これでは「解同」の露払いをしているものという批判を免れ得ません。
そもそも「朝日」紙は、「今も続く部落差別」などとなんの根拠もなく主張しますが、「最後の越えがたい壁」であった結婚問題ですら、基本的には解決しているのが実態。 まして部落問題にかかわる交際や結婚問題は、当事者間の問題です。 一歩間違えば意に沿わない結婚を強要することにもなりかねず、政府見解でも、何が差別かを判定することはきわめて困難であり、法律などで規制したり罰したりすることは、かえって差別の潜在化を招くとしています。 交際や結婚に際して、「部落差別」という断定のもとで「特別救済」として「確認会・糾弾会」に引きずり出され、「自分がいかに差別意識を持ったか」など出自に至るまで掘り起こされ、人権を踏みにじられたあげくに意に沿わない交際・結婚を押しつけられるような悪夢を、「朝日」紙は容認するとでも言うのでしょうか。
また表現には表現で対抗することが近代社会の基本的ルールであり、定義すらできない「不当な差別的言動」や「差別助長行為」などの表現行為に対して、あいまいな基準で「停止」や「差し止め」ができ、調査に応じなければ過料を科すなど、物理的・強制的な手段による対応をおこなうことは、言論・表現の自由を侵害し、部落問題解決にとって必要不可欠な「自由な意見交換のできる環境づくり」を無視する暴挙です。
もし人権擁護委員に「差別糾弾闘争」を是とする「解同」系の関係者が任命されれば、この法律によって糾弾闘争は合法化され、主観的な判定による「差別」との断定によって、人権侵害が蔓延することになりかねません。
このように多くの問題を持つ「人権擁護法案」に反対することは、国民の良識を示したものであり、「人権をないがしろにする」とか「的はずれな議論」などと悪罵の限りをつくす「朝日」紙の社説は、国民を愚弄するものです。
全国人権連は7月28日、これらの問題点を指摘し、同時に「朝日」紙が3月18日の社説でも問題のある主張をしていることから、「徹底審査の上、公平な議論を国民間でできるよう、猛省を求めます」とした文書を、朝日新聞の関係部署に提出しました。
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