全国地域人権運動総連合
           

   

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シリーズ、ここが重点。発展的転換と各地の人権連運動

教科書無償運動に学ぶ。歴史の歪曲を許さないためにも。

  

はじめに

 私は本誌3月号掲載の「地域人権運動のあり方―高知人権連がめざすもの―」の中で、窪川町興津の原発反対闘争と共に、高知市長浜の教科書無償運動の経験と教訓を「今後の…地域人権運動に生かさなければならない」と書きました。

 1961(昭和36)年の初頭に闘われた科書無償運動(長浜地区小中学校の教科書をタダにする運動)はよく知られているように、憲法26条2項の規定「義務教育は、これを無償とする」を実現させた「地域共闘」(当時の呼称)=統一戦線の闘争でした。

 ところが高知市教育委員会は一昨年、この運動を「同和問題を解決していく活動の中から提起された」と、事実をネジ曲げたビデオ教材をつくり、学校現場に配りました。

    

事務局担当の水田先生の記録

 教科書無償運動で事務局を担当した水田精喜先生(故人。 元全解連高知県連執行委員。 他に2人)は、著書「草分けの同和教育」(1982年発行。 文理閣)の中で、次のように述べています。 「この闘いの記録については、今までわたしが書いたもの以外に出ていませんが、実に多くの人びとによって、まるで自分が参加指導したかのように、利用され、悪用され、盗作、海賊版が横行してきました。 それは個人的なものから、県同教から全同教にまで及びました。 ・・・・・・わたしが黙っておれなかったことは、この闘いを『部落の母親の闘い』というように、事実を無視しているからです。 二つめに、この運動は『憲法を守る』という民主主義の闘いであったわけですが・・・・・・それを『人民解放に視点をおいた闘い』などと思い上がったような評価を下している人もあります」。

 教科書無償運動が「憲法を守る」民主主義の闘いだったということは、運動を提案・指導した「長浜地区小中学校教科書をタダにする会」の会長だった宮本儔(ひとし)さん(元全解連高知県連委員長、元共産党高知市議)や、同じく運動を指導した「タダにする会」副会長だった林田良徳(元共産党高知県委員長)さんも述べていることです(後記のパンフ「教科書無償運動の真実」を参照)。

       

学ぶべき教訓

 全解連の機関紙「解放の道」高知版は1996年1月10日から掲載した教科書に関わり「『タダにする会』宮本儔会長が語る 高知市長浜の教科書無償闘争」には次のような記述があります。

編集部  なぜ長浜でこのような闘いが起こったのか、その原因は何だったのでしょうか?
宮本  第一の原因は、憲法に書いてあるとおり、義務教育を無償にせよ、教科書もタダで配れという要求が地域の人々みんなにすんなり受け入れられたからですわ。 その頃は、勤務評定反対闘争、日米安保条約改定反対闘争など民主主義の根幹に関わる全国的な闘いがくりひろげられていましたから、住民の意識も高かったと思います。
編集部  地域では憲法学習などもやっていたようですね。
宮本  そうです。青年が集まったり市教組の先生たちが父母のみなさんたちと学習会をやったりしていました。そういう学習もこの闘いの背景にあるでしょうね。
編集部  第二の問題は?
宮本  それは経済的問題ですわ。当時は、同和地区だけでなく、御畳瀬(みませ)、浦戸をふくめて長浜あたりの地域全体が、まだまだ貧しかったから・・・・・・。

 また宮本さんは「地域共闘」の構成メンバーや役員について「当時の南区民主教育を守る会、教職員組合、部落解放同盟(統一時代)、失対、造船所、鉄工所、郵便局などの労働者、共産党などで『タダにする会』が組織され、宮本儔会長、林田芳徳副会長、水田精喜事務局長などが選出されました」とも語っています。

 この運動の盛り上がり・性格について水田先生は、著書「草分け…」に次のように書いています。 「まさに闘いというにふさわしい運動だった」「その(1961年2月の第1回校区教研の)翌日からの会員の具体的な行動はまことに精力的でした。 幹部の市教委交渉はもちろんですが、会員は署名運動に走り回ります。『タダになるまで買わずにがんばろう』という主旨の署名運動は1週間もたたぬうちに1600の署名を集めました。 憲法学習による権利意識と経済的要求とが見事に統一されたこの運動の署名はほとんど文句なしに集まりました」(注「2000名の小中学校児童生徒のうち、その8割もの署名が集まった」。 水田精喜著「未完成の記録」)

 教科書無償運動は、経済的要求を大切にし、憲法学習で身につけた権利意識が働いて、憲法の民主的規定を「地域共闘」=統一戦線の闘いによって、暮らしに生かしたのです。 ここに、社会問題としての部落問題が基本的に解決した「地域社会には自民党などの悪政が具体的な形で集中しており、憲法が国民に保障した基本的人権がないがしろにされている現実があります」と位置づけて、人権の視点から地域住民運動に取り組んでいる高知の人権連運動が学ぶべき教訓があります。

     

歴史のわい曲との闘い

 前記のように高知市教委は「同和問題を解決していく活動の中から提起された」と、歴史をわい曲したビデオ教材をつくりました。 このビデオ教材をつくるにあたって高知市教委は「いくら請願しても効果はない。タダで配るまで買わずにがんばろう」(草分け・・・・・・)と「運動の口火」(同)を切り、運動を会長として指導した宮本儔さんや、同じく副会長として運動を指導した林田芳徳さんを証言者の中から排除しました。(理由は二人が共産党員だったから、としか考えられない)。

 また高知市教委は、宮本・林田両氏が話し合いの席で直接「事実と異なる」と指摘し、訂正または回収を求めてもこれに応じず、自らの勝手な解釈を優先させました。 不遜極まると言わねばなりません。

 憲法9条改悪などの動きが急を告げる中で、高知市教委が引き起こしたこの問題に、事の次第を知った県民から批判の声が上がっています。

 もちろん高知人権連や、高知人権連も参加する人権と民主主義、教育と自治を守る高知県共闘会議(人権共闘)は、高知市教委の歴史のわい曲をただし、真実を広めるために闘っています。 高知人権連はそのための資料・武器として、パンフレット「長浜の教科書無償運動の真実―歴史の真実を歪める高知市教委をただす―」(B5版 頒価200円。送料別)を発行しました。 このパンフには「タダにする会」会長だった宮本さんの前記の証言を掲載し、副会長だった林田さんが特別寄稿しています。 当時の新聞記事などの資料もつけ、歴史のわい曲をただす闘いの中で人権共闘が配布したビラ「歴史の事実を歪める教材は許されない」も載せています。

 全国におよんでいる教科書無償運動のわい曲をただし、憲法を暮らしの中に生かした34年前の闘いに学ぶため、このパンフが全国に広まることを期待しています。

連絡先
高知市本町4ノ1ノ37
電話 088(822)7224   FAX 088(822)7262

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