
はじめに
昨年9月に、埼玉県部落解放運動連合会から、全国人権連に合流、発展的転換をした埼玉人権連は、今年5月の第2回定期大会で「同和行政の終結」「生活相談活動」「みんなで取り組む支部活動」の3つを、今年度の活動の重点課題とすることを決めました。
地域社会の人権課題は広範囲にわたっており、活動目標が拡散してあいまいになりがちであることを考慮して、焦点を明確にするため、当面の活動目標を3つに絞って報告します。
同和行政終結の取り組み
同和行政を終結させることは、「解同」と行政の癒着を断ち、「解同」問題を克服していくことに直結する課題です。
埼玉県で現在も継続されている同和行政の主な内容は、県と市町村がおこなっている同和啓発と市町村単独事業の運動団体補助金および税の減免措置です。 この他に、「一般対策」となったはずの家庭支援推進保育(保育士加配)事業、隣保館事業、小規模経営記帳指導などが事実上同和対策の継続となっている問題も残されています。 児童生徒支援加配はかつての同和加配配置校偏重から徐々に是正されてきていますが、まだ不十分です。 市町村事業の税の減免(住民税・固定資産税)措置は、多くのところで見直しが行なわれ、減免率の引き下げや2006年〜2007度で終了としている自治体が多くなっています。
しかし団体補助金については、金額の多少の引き下げなどがおこなわれていますが、依然として多額の補助金が出されています。 住民税の引上げが見込まれ、国保税をはじめ様々な公共料金の負担も引上げられている中で、税の同和減免に対する社会の批判や反発を無視できなくなっており廃止は当然で、その時期を早める必要があります。 ケタはずれの団体補助金に行政が本格的なメスを入れられないのは、「解同」の反対を恐れてのことで、ある自治体の人権課長が「将来見直しは必要だが、私が担当している期間中の廃止はありえない」と語るところに、行政の姿勢が端的に示されています。
埼玉人権連は、特別法が最終的に終了した直後の2002年に市町村の同和行政実態調査をおこないましたが、法終了3年が経過した時点での実態を把握するために、「同和対策」実施自治体を対象に同様の調査をいまおこなっています。 あわせて支部・県連合同で同和行政の終結を求める要求を出し、交渉や懇談を実施する計画です。
埼玉県当局は「同和問題の解決は県政の重要課題」とする同特法以来の県政上の位置づけを現在も継続しており、このことが同和行政の終結を遅らせている一因になっていると考えられることから、県への働きかけを強める必要があると考えています。
「部落解放」? 実行委員会問題
かつての「部落解放基本法制定要求運動実行委員会」は、いま「部落解放・人権政策確立要求実行委員会」に名称変更されていますが、依然として行政が大きな役割を果たしています。 「解同」が計画し号令をかけて行政が動く体制で、政府交渉と県交渉をおこない、議会請願や人権フェスティバルもおこなっています。
この実行委員会がいかに異常なものであるかは、人権擁護法案をめぐる請願運動の中でも明白になりました。 実行委員会は昨年から今年にかけて「人権侵害救済法の早期制定を求める請願」を市町村議会に提出し、埼玉人権連も「憲法と人権に関する国際的水準に立脚した人権擁護法の制定を求める請願」を提出しました。 これに対し、部落解放・実行委員会は、自主的人権団体である埼玉人権連を「共産党の下請け団体」と書き、埼玉人権連の請願を「共産党の請願」と書いた文書を実行委員長名で市町村議長宛に送付しました。
この文書に関して埼玉人権連は、実行委員会に幹事を出している行政に、説明と埼玉人権連の名誉を傷つけたことへの謝罪を求める文書を郵送しました。 「回答のしようがない」と一部から聞いたものの、いまだどこからも正式の回答はきていません。 庁舎に「お互いの人権守って明るい社会」などと垂幕を年中たらし、「人権尊重都市宣言」の看板も市街のあちこちに立てている行政ですが、どういうことでしょう。
それでも、この実行員会が主体でおこなう郡単位(県内8郡)の人権フェスティバルに、県は今年から新たに各100万円の事業委託費を出すことにしています。 これは「解同」が市町村行政を押したてて行なった実行委員会の県交渉の結果ですが、「運動団体と行政の立場と役割を明確に区別する」としてきた県の基本方針と矛盾するものだと言わざるをえません。
埼玉人権連は引き続き実行委員会からの行政の脱退と県の対応の見直しを求めて交渉・懇談をおこなうことにしています。
生活相談活動と支部活動
最後になりますが、当面する「三つの活動目標」であるところの「生活相談活動」と「支部活動」について触れたいと思います。
会員のくらしを守り、会員と地域の要求を実現する立場で、専門家の協力も得ながら生活相談に取り組む体制をつくる準備をいま本格化させています。 将来は、この活動こそが埼玉人権連の運動の中心にならなければならないと考えています。 そして、この活動を支える支部、みんなで取り組む支部活動をどう進めるかについて、学習会や経験交流会などを開きながら、惰性を排して新たな意気込みで取り組まなければならないと考えています。
さきの衆議院選挙の結果、増税を言ってはばからない勢力が増える中で、市民の生活はますますきびしさを連増すことが予想されます。 その面でも暮らしと仕事、子育てなど、埼玉人権の「生活相談活動」と「支部活動」の充実が求められていると思います。