
京都地域人権運動連合会
事務局長 藤谷 剛
はじめに
私たち京都地域人権運動連合会は、7月10日に開催された創立大会において、83年に及ぶ部落解放運動の歴史に終止符を打ち、その歴史と教訓をさらに発展させて、地域住民運動として新たな一歩を踏み出すことを決定しました。
私たちは「人権」を隠れみのにした同和の特別対策の継続や組織の特権永続化をはかる動きにいては、これを厳しく批判し、終結させる運動を展開するとともに、日本国憲法に明記されている、思想・良心の自由、信教の自由、教育を受ける権利、平和で健康的・文化的生活を営む権利などの、基本的人権を全面的に実践させる運動を各地で取り組み、新の意味での人権が確立され、平和と民主主義が花開く地域社会実現めざし全力をあげることを決意しました。
組織と運動の発展的転換をめざす
私たちは数年間に渡って府連、地協、支部のあらゆる段階で発展的転換めざす論議を進めてきました。 この間の論議の中で、以下の3点について意思統一が進みました。
第1に、これまでの部落解放運動を部落の垣根を取り払い、地域社会に生活する地域住民の要求を実現していく「地域住民運動」へ発展させるということで一致できたということです。 私たちのこれまでの運動は、常に住民の要求に依拠して展開してきた歴史を持っています。 この歴史と教訓を今後は部落の枠組みにとらわれない地域社会を対象にした運動へ発展させることが、私たちの光栄ある任務であることを明らかにしたことです。
第2に、同和行政・同和教育について、国や府の段階では基本的に特別対策が終結したものの、自治体によっては「人権」をかくれみのにした、事実上の「同和優先」がいまも残されているところがあり、この終結を進めることが重要になっているということです。 私たちは、これまでも「解同」と行政の癒着による住民支配の打破や不公正・乱脈な同和行政・同和教育の終結に,時には体を張って、その先頭に立ってたたかってきました。 よって、今後もこれらの課題が完全に解決されるまで、府民や民主勢力との共同の力で、中心的に奮闘していくことを意思統一しました。
第3には、同和行政・同和教育の実態や、また部落住民の生活実態や態度から見て、部落問題が解決したとは言えず、組織の転換や名称変更は時期尚早という見方にどうこたえるかが議論になりました。
部落問題から地域住民運動へ
部落問題の到達点を見たときに、住環境や教育、就労、社会的交流のあらゆる分野で、以前の部落を特徴づける状況は解消しており、一部にある住民自治や生活態度などに関する問題は、それが部落に固有の状況であったり、部落に普遍的に存在する状況でなくなっています。 よって部落解放運動という地域と人を限定した運動は、発展の時期を迎えており、むしろ、これまでの部落の枠組みを越えた組織と運動へ発展させることが、同和行政への依存や部落へのこだわりを払拭させ、一市民として自立していくことを推進することとなることを確認しました。 また、対行政との関係から組織の転換に不安を持つこえも一部にありましたが、これもわたしたち自らが「同和の特別体制」から脱却していくことが重要であり、組織の転換後も、堂々と行政に対する取り組みを、これまでにもまして強めていく必要であることを強調しました。
このような論議を通じて、基本的にはこれまでの部落解放運動を地域住民運動への発展的に転換させることでの意思統一が進みました。
地域住民運動の具体的取り組み
私たちは、この間地域住民運動の具体的な取り組みとして、(1)地域の生活環境改善を進める取り組み(要求マップづくり)、(2)高齢者の生活擁護の取組み(昼食会、旅行会、入浴介護など)、(3)子どもの権利擁護の取り組みを「3つの柱」にして運動を進めてきました。
京都市協は、突如提案された市のごみ有料化方針に対して、市民的反対の声を組織しようと、学習会に組織的に参加するとともに、反対署名に取り組んでいます。 またこの取り組みを通じて、様々な地域組織との共同を深め、地域の課題解決に向けた組織作りが模索されています。
舞鶴地協は、台風23号で被害を受けた会員宅への訪問活動を行い、京都府や舞鶴市に対して、緊急の申入れ行動を行いました。 また「生健会」や「社保協」との共同を前進させ、社会保障の充実を求めるシンポジウムの開催も行いました。
西三条支部は高齢者を対象とした昼食会「れんこんの会」の定例化を継続して進め、地域内外の交流を進めてきました。また、地域にある他のサークルや組織との連携を強め、地域の公共施設のあり方等についての議論も深めてきました。
竹田深草支部では、支部も参加する「草の根要求連絡会」の組織化や具体化に積極的に取り組んできました。 また、地域の長年の懸案である駐車場建設運動を進める「駐車場建設を求める会」の立ち上げに積極的にかかわり、短期間の間に住民署名1300筆を集める成果をあげました。 この運動で行政も重い腰を上げ,駐車場建設に前向きな姿勢を示しています。 また地域の中を流れる河川の上流で汚染物質が流入し、悪臭を発生していることから、河川沿線の住民組織との共同強め、清流をよみがえらせる運動にも取り組んでいます。
八幡支部では、突如もちあがった場外船券売場建設に対する反対運動に立ち上がり、住民署名をすすめました。 署名活動の中で,売場建設計画が市民にまったく知らされないうちにすすめられてきたことが明らかとなり、多くの市民の怒りの声がわき起こっています。
田中支部では、地域のお年寄りから、みんな年がいったため旅行会の幹事のなり手がないとの相談を受け、支部の親睦旅行会を企画し、そこに地域のお年寄りにも参加してもらいました。 また、入浴に介護が必要な高齢者が年々増加し2週間に1度ほどしか入浴できない高齢者もいることから、地域に設置されている介護用浴場の施設改善や市営浴場での入浴を可能にするため、地域の医療機関との懇談や行政への申し入れを計画しています。
最後に
組織の発展的転換の論議を始めてから5年余り、具体的な取り組みが進みだしてから数年がたちました。
しかし、実際の各支部での取り組みはまだまだ端緒的で、府下すべての支部が足並みをそろえてという状態には至っていません。
これらの先進的な実践を普遍化し、各支部での地域住民運動の具体化の指針となるよう、さらなる取り組みの発展、強化をめざしていきたいと決意しています。