全国地域人権運動総連合
   

   

 全国人権連 > 政策・基本見解 > 全国人権連が人権擁護法案再提出断念を要請 > 要請文全文

2005年3月17日

内閣総理大臣 小泉 純一郎 様  
法務大臣 南野 智恵子 様  
自民党 幹事長 武部 勤 様  
自民党 政調会長 与謝野 馨 様  
自民党 法務部会長 平沢 勝栄 様  
人権懇話会 座長 古賀 誠 様  

全国地域人権運動総連合   

 議 長  石 岡 克 美

  

国民の人権を抑圧する「人権擁護法案」の国会再提出を断念されたい

  政府が今国会に再提出しようとしている人権擁護法案について、自民党法務部会などはさる10日に続き、15日にも意見がまとまらず、次回の日程さえ決まらずに終わったと聞きます。この法案には、前から指摘されている人権委員会の所管の問題やマスコミ規制の問題以外にも、様々な問題があることが理解された結果です。

 このようなもと、貴職は様々な国内外の世論を真摯に受け止め、今国会への再提出を拙速に進めることなく、あらためて国民的議論に賦すことを強く求めます。

 私たち全国地域人権運動総連合(略称=全国人権連)は、前身である全国部落解放運動連合会当時より、国民の人権擁護と部落差別解消に奮闘し、人権擁護推進審議会でも、司法制度の充実、「人権」「差別」などの名のもとに言論・表現、取材活動の自由を規制しないこと、人権擁護委員会の民主化を推進することなどを意見陳述してきた団体です。

 2002年3月に先の法案が国会に上程されたときも、刑務所内での暴行事件と関わって、人権委員会の所管が問題になりましたが、政府・与党は国民的議論に賦すことなく、マスコミ規制の一時的凍結、一定期間後の組織の見直しなどを条件に修正をはかろうとしました。しかしこのときも大きな反対世論がわき起こり、2003年10月、同法案が廃案となった経緯があります。にもかかわらず今回、廃案になったときと同様の「修正」内容で法案を提案しようというのは、この間の経緯を無視し、国民を甚だ愚弄するものと言わざるを得ません。

 私たちは、「矢田事件」判決に見られるように、司法でさえも判定が困難な「差別」「人権侵害」等の認定を、法案第3条の差別禁止条項により、「差別的言動」「差別助長行為」などとして人権委員会が勧告、公表、差し止め、訴訟援助、過料を伴う制裁ができるとすることの違法性、「差別」「人権侵害」などの名のもとに、国民の内心にまで踏み込む危険性、マスコミの取材規制と萎縮、それに伴う国民の「知る権利」の侵害など、新たな人権侵害をもつくりだし兼ねないと指摘してきました。

 人権委員会の所管については、国連も「パリ原則」に基づき、2度にわたって「政府からの独立性」を指摘してきましたが、今回報道される法案ではこの指摘も顧慮されておらず、これでは国際社会からの「人権後進国」との汚名も返上できません。

 人権委員会の構成や選任方法、事務局職員の専門性と公平性、人権擁護委員の民主的選任方法などについても十分な議論が必要であり、国民的議論を経ることなく、修正によって法案の問題点が解決されるものでないことは明らかです。

 政府・与党は、今国会への人権擁護法案の再提出を断念し、国民の期待にかなう人権擁護の体制を、あらためて検討し直されることを強く要請するものです。

以  上   

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