| 「政治的見解、信教(宗教、思想および信条をいう)、労働組合への加盟、人種および民族、門地および本籍地、保健医療および性生活、ならびに犯罪歴に関する情報(センシティブ=機微=情報)に関し、保険金の支払いをするために必要な範囲で情報を取得・利用させていただくことを同意いただくものです」・・・・・・・・・・。 憲法の人権尊重理念を真っ向から否定し、基本的人権を侵害するこの文書は、大手損保会社A社の高知B課が、今年6月、交通事故に巻き込まれた高知市内の中学生の保護者に送った、「同意書の送付について」と題する文書にある記述です。 同社はこの文書とともに、「同意書」をその保護者に送っています。 保護者が「同意書」の問題点をすぐに指摘したにもかかわらず、B課が長らく放置していたという対応も問題でした。
「同意書」そのものには問題の記述はありませんが、法律の専門家によれば「2文書は一体のもの」。 全国人権連高知県連(高知人権連)は、この問題でA社に対して「重大な問題だ」ときびしく指摘。 本部と連携しながら、適切な対応を求めてきました。 また12月1日には、全国人権連本部と東日本各都県連の代表がA社の本社を訪れ、この問題で話し合いました。
A社の高知B課はこのなかで、「(『同意書』は)個人情報保護法の施行にともない、高知だけでつくった。 本社は一切関与していない。 本社からはおしかりを受けている。 金融庁の『金融分野における個人情報保護に関するガイドライン』なども参考にした」と説明。 また高知人権連への対応のなかで、高知人権連が「名称はどうあれ、確認・糾弾行為がおこなわれる場には出席すべきではない」と指摘したことに対し、A社は「(確認・糾弾会のことは)承知している。 出るつもりはない」と答えました。
12月1日、A社は全国人権連に対し、高知B課がイントラネット(企業内の閉じたインターネット)にこの様式を掲示していたことから、社内調査をした結果、8拠点で361枚が使用されていたことを明らかにし、早急にこの回収と破棄、関係者への謝罪をおこなっているとのべました。 またこの場でA社は、この問題については「人権上、きわめて問題のある文書」との認識を示し、「これを見た社員が問題意識を持たず見過ごしたり、問題意識を持っても、それを提起しなかったことは遺憾」との見解を示しました。 同時に「問題のある文書ではあるが、この問題となる情報の取得・利用はしていない」ことも強調しました。
また全国人権連は、11月14日の法務省交渉と、翌11月15日の金融庁申し入れで、この問題を取り上げました。 法務省交渉の結果および金融庁申し入れについての結果は、こちらをご覧ください(別窓が開きます)。
A社はその後、今回の問題についてコメントを発表。 「今後、二度とこのような事件を引き起こすことのないよう、これまでの人権啓発研修全般を見直し、社員の人権意識を高めていく」とのべています。
| A社の公開コメント
当社は、2005年4月1日に全面施行となりました個人情報保護法に伴い、保険金支払業務で必要とする交通事故等の被害者の怪我の状況を知るための医療情報および相続確定のための戸籍情報が機微情報(センシティブ情報)に当たるため、それら情報の取得・利用に際し、被害者(未成年者の場合は親権者)ないしは遺族の方の同意が必要となることから、全店で使用する書類として、「個人情報に関する同意書」およびその「送り状」を作成致しました。
ところが、それらの書類とは別に当社の一拠点において、独自の「送り状」を作成し、その文言が受け取る側の人権を侵害する内容となっておりました。
具体的には、同意書の目的説明として、法令等に定められた機微情報(センシティブ情報)の定義をそのまま引用し、“政治的見解、信教(宗教、思想および信条をいう)、労働組合への加盟、人種および民族、門地および本籍地、保健医療および性生活、ならびに犯罪歴に関する情報に関し、保険金を支払いするために必要な範囲で情報を取得・利用させていただくことに同意を頂くものです”と記載し、保険会社が必要としない情報までも同意の対象と誤解されかねない表現となっておりました。
実際の保険金支払い業務においては、従来より医療情報および相続情報以外の個人情報はまったく取得・利用しておりませんが、かかる誤解を招きやすい表現の「送り状」が作成され、8拠点で計361枚が使用されたことを重大に受け止めております。
当社では、問題が発覚後、直ちに当該「送り状」の使用を禁じ、全店用に作成したものを使用することを改めて全店に徹底するとともに、既に送られた「送り状」361枚に関しては、全件、原則、訪問し、謝罪をするとともに「送り状」の回収・破棄を実施致しました。
当社といたしましては、今後、二度とこのような事件を引き起こすことのないよう、これまでの人権啓発研修全般を見直し、社員の人権意識を高めていく所存です。
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