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同和採用選考で京都府連が見解。過去と現在の問題点を直視して批判提言

 

 奈良市、大阪市、京都市などで同和行政をめぐって不祥事が相次いでいます。 こうしたなか、京都地域人権運動連合会府連委員会は昨年12月3日、同問題での見解を発表しました。 旧全解連時代の運動の弱点も直視し、今後いかにあるべきかを提言した見解は、こんにち的意義が非常に大きいと考え、ここにその全文を掲載します。


京都市の「選考採用」についての見解

2006年12月3日
京都地域人権運動連合会府連委員会

 

はじめに

 京都市職員の相次ぐ犯罪・不祥事に関連し、京都市長がその原因として「同和の優先雇用に甘い採用があった」とマスコミに発言したことに端を発して、京都市で行われてきた「選考採用」の問題点が、大きく取り上げられています。

 「選考採用」については、これまで京都市も関係運動団体も、その実態を明らかにしてきませんでした。 このことが問題を複雑化させ、市民の信頼を損なう大きな要因となっています。

 よって京都地域人権運動連合会は、京都市職員の犯罪・不祥事を根絶し、部落問題を真に解決するとともに、これからの私たちの運動に対する市民の信頼が回復できるよう、「選考採用」の功罪について見解を明らかにするものです。
     

「選考採用」の歴史的経過

  • 「選考採用」積極面

 「選考採用」は、一時期積極的な意味を持ちました。同和地区住民が失対就労を定職とし、臨時工や社外工、日雇いなどの半失業・不安定雇用が大半であった時期、市職員への採用は、単に経済的安定という枠を越え、閉鎖的であった同和地区住民の生活を質・量ともに変え、社会参加を促進させました。 このこととあいまって、同和地区住民の要求は、文化や教育・健康問題への急速に高まり、同和地区の教育・文化等の向上に大きく貢献しました。

  • 「選考採用」を利用した「解同」の教育への介入と市教委の中教組弾圧

 現在の「選考採用」の原型は、京都市教育委員会によって試行されました。 1960年代前半、市教委は「解同」朝田善之助氏と癒着し、朝田氏の要求に応じて、「解同」幹部を学校用務員などに採用させました。 当時、学校現場では、部落内外の生徒を分断する「進学ホール」の是非を巡って、朝田「解同」・市教委と京都市中学校教職員組合(中教組)が対立しており、学校現場へ「解同」幹部を送り込むことにより、市教委と一体となって中教組に対する攻撃を強めました。

 学校現場へ潜り込んだ「解同」幹部は、「進学ホール」に反対する先生に対して激しく糾弾し、時には不当配転も行うなど、市教委と一体となって中教組弾圧を強めました。

 学校現場は次第に「解同」に支配され、「同和問題についてはものが言えない」「選考採用」で採用された人には逆らうな」という状況がつくりだされました。

  • 窓口一本化による「選考採用」を利用した「解同」の住民支配

 1969年に京都市は、「同和地区住民の市職員への採用を促進する」ことを方針化し、中高年者を対象にした、同和地区住民の「選考採用」を開始しました。 当時京都市は、解同京都府連の分裂以降、正常化連を排除し、「解同」を唯一の窓口とする「窓口一本化」を方針としていたため、「選考採用」による採用は、「解同」に組織された者に限られていました。 「解同」は、内部の権力闘争もあり、その勢力争いから、1970年に入ると「選考採用」の採用局、採用数の拡大を要求し、「中高年対策」から若年者を含む「雇用促進対策」へと拡大させ、「選考採用」を利用した住民支配を進めました。

  • 「窓口一本化」の打破と不公正・乱脈な同和行政是正の取り組み

 京都人権連(旧全解連)は、同和対策事業を「解同」が独占管理する「窓口一本化」の打破、不公正・乱脈な同和対策事業の是正を掲げ、地域住民や民主勢力とともにたたかってきました。 その結果、「窓口一本化」を是正させるとともに、1983年に発覚した同和対策事業をめぐる公金詐取事件の発覚を契機に、同和行政の一定の見直しを前進させました。 しかし、この見直しは百条委員会の設置が議会で見送られるなど、疑惑の徹底解明がなされませんでした。 またこの時期から「選考採用」の公募を廃止し、運動団体への採用枠の振り分けをおこなうという、現在問題となっている「採用権の丸投げ」が行われるようになり、架空請求が大問題となった「京都市同和対策地区事業助成要綱」による、同和団体補助金制度が確立されました。 このように同和対策事業はますます闇の中になり、市民の目の届かないものとなりました。
       

職員の犯罪・不祥事と「選考採用」の問題

 「解同」は、「部落民にとって不利益なことは差別だ」とする特殊な理論のもと、同和行政の継続を求めています。 よって「解同」に推薦された市職員は、「自分に不利益なことは差別だ」として、部落問題や「解同」を利用して職場で自由に物が言えない状況をつくりだしました。 また、「選考採用」をめぐっては、運動団体との金銭の授受が指摘されており、「運動団体にお金を払って採用してもらった」と公言する職員もいます。 こういった職員は、「お金を払って採用されたのだから、上司の言うことを聞く必要はない」と考えており、適正な服務規律や勤務態度が担保できることは、到底ありえません。 さらに京都市は、「解同」の要求に応じ、その受け皿組織として各支部段階に京都市幹部も参加する「まちづくり協議会」を組織し、「解同」べったりの体制をつくるに至りました。 この「協議会」は、ときには「糾弾」の場になることもあったといわれ、「解同」に推薦された市職員には「役所では怖いものなし」という感情が芽生えたと思われます。

 こういった「解同」と京都市の癒着関係の中、職場の所属長は指導することもできず、労務管理の放棄が服務規律の乱れを生み出し、労働意欲をなくすこととなるなど、職場の団結を弱めることとなりました。
      

「選考採用」に対する旧全解連の対応の問題

 旧全解連は、「窓口一本化」の打破、不公正乱脈な同和対策事業の是正を求めるとともに、「選考採用」においても、すべての市民を対象にした「公開」・「公募」を京都市に要求し、一般公募を実現させました。 また、民主的な職場風土の確立、「同和の特別扱い」の廃止のため、職場で奮闘してきました。 しかし一方で、「窓口一本化」の打破とともに行政との窓口が開かれて以降、「選考採用」の運動団体枠を長年に渡って受け入れ、推薦してきました。 この「選考採用」枠の受入は、採用数の各支部割り当てをめぐって、市協と支部の主従関係を強めるとともに、市協に結集する支部間に疑心暗鬼を生みだしました。 また支部と会員の関係でも、支部幹部と会員との間に不審と不満を生み、組織の不団結を生むこととなりました。

 さらに、旧全解連が同和行政の終結を運動方針として掲げながら、長年にわたって「選考採用」枠を受け入れてきたことは、会員や住民の強い要求があったとはいえ、運動の弱点というべきものであり、市民的に理解されないものであったと言わざるを得ません。

  • 京都市職員の犯罪・不祥事の根本原因

 このように、京都市職員による犯罪・不祥事の根本原因は、長年にわたって同和対策事業を市民の目の届かないところに隠し、一方で「解同」との癒着を深めてきた京都市の同和行政にあります。 さらに今日に至っても「一般行政の中で同和行政を推進する」という「同和の特別扱い」を終結しようとしない京都市の姿勢にあります。 とりわけ京都市幹部として、同和行政・教育に中心的に関わってきた桝本市長の責任は重大です。

 京都市職員の犯罪・不祥事に対する自らの採用者、管理監督者としての責任をうやむやにし、その主要な原因を「選考採用」制度に求める桝本市長の態度は、問題の解決につながりません。 桝本市長のするべきことは、これまでの京都市の同和行政・教育の問題点を明らかにし、「同和の特別扱い」を一掃し、「解同」一部幹部との癒着を断ち切ることです。 このことが、職場での自由な論議を保障し、市民に喜ばれ、働き甲斐のある職場を確立することとなります。

  • 犯罪・不祥事根絶に役立たない職員削減と服務監察チーム

 市長は、環境局職員の犯罪・不祥事が特に多いことから、ゴミ収集業務の民間委託を進め、職員を50%削減することとしています。 しかしこのことは、今回の犯罪・不祥事を利用した、公務労働の民間への投売りであり、公務労働の放棄と言わざるを得ません。 職場の規律や職員の服務態度の改善と職員の50%削減は何ら関係なく、このことで現在の問題は解決しません。 とりわけ市長も発言しているとおり、多くの職員はまじめに働いており、職員50%削減案はそれらの職員をも敵視する、許されざる行為です。

 また市長は、警察OBを含む服務監察チームを新設し、抜き打ち査察等を実施するとしています。 本来、職場の服務規律や職員の服務態度の改善は、職場での管理職を含む職員の民主的な討論で改善すべきです。 京都市による自浄能力を放棄した、警察OBらによる強圧的な調査・指導は、問題を潜在化させるだけで、犯罪・不祥事の根絶には何ら役にたちません。

 民間委託による職員50%削減を撤回し、市民に信頼される直営によるごみ収集業務への改善を進めるべきであり、警察OBを含む服務監察チームは新設せず、市長を先頭に問題解決にむけた徹底した論議を職員とともに積み上げ、職員一丸となって自浄能力を発揮した民主的職場の確立、服務規律の改善を行うことが、問題解決に向けた一番の早道です。

  • 「同和の特別扱い」の終結、「解同」一部幹部との癒着根絶を

 今日部落問題は、様々な格差は是正され、社会的交流も大きく進展するなど、基本的に解決した状態を迎え、同和の特別法もすでに廃止されています。 これ以上の「同和の特別扱い」の継続は、市民との間に新たな垣根をつくることとなり、部落問題を解決するどころか、かえって問題を複雑にします。

 私たち京都人権連(旧全解連)はこの間、みずからも職務免除による活動を自主的にあらため、行政からの補助金や市幹部からのカンパも同和の特別法廃止に先だち返上してきました。 しかし京都市は、「同和の特別扱い」や「解同」一部幹部との癒着を改めようとせず、補助金の支出や「選考採用」を漫然と継続してきました。 今回の不祥事の原因は、「同和の特別扱い」、「解同」一部幹部との癒着を是正せず、見逃してきたことに大きな要因があります。

 京都市が先ずやるべきことは、京都市行政全般に巣食う「同和の特別扱い」、「解同」一部幹部との癒着の終結です。

 私たち京都人権連は、職員の犯罪・不祥事の根絶のため、市長の責任を徹底的に追及するとともに、市民に信頼される京都市の再建を目指して、「同和の特別扱い」や「解同」一部幹部との癒着を終結させ、民主的な職場風土の確立をはかるとともに、市民に喜ばれ、誇りをもてる仕事の確立をめざして、地域・職場で全力をあげて奮闘する決意です。

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