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来館者研究文献紹介のページ
順不同で少しずつ紹介します。おもに「コミュニケーション」や家族間の学びを中心に。
→の記号以降は、その文献に対する簡単な私的評価です
| Parker,H.W., 1963, The Museum as a Communication System , Curator, Vol.6, No.4: 350-360 |
| かつては口承伝承として文化があった。そこには双方向的で具体的フィードバックが特徴である。現在は、伝達手段の発達により、抽象化されたものが伝えうるようになった。しかしコミュニケーションにおいて、たとえば「触覚(tictile)」は重要な意味を持ち、そのことはコミュニケーションにおける感情の役割を示す。 Informationから概念を広げるだけでなく、メンタルで情緒的な形成により概念は拡がっていくものである。 →コミュニケーションの「情報伝達」の側面強調への警告 |
| Alt, M.B. and Shaw, K.M.,1984, Characteristics of ideal museum exhibits, British Journal of Psychology, Vol.75: 25-36 |
| 大英博物館の「the Hall of Human Biology」での展示120のうちの45について、20名の学生に自由に思うところを述べてもらい、500ほど集まった表現をさらに以下のように分類した。 1)注意の喚起 2)全体的な評価 3)明確さ・わかりやすさ 4)話題にしていることの評価(evaluation of subject matter) 5)望まれる来館者反応 6)情動的反応 7)視覚的効果 8)様々な年齢層へのアピール度 これらの表現から[ideal」展示(理想的な展示)への一般化し、理想的展示に近いとされた展示の共通点を発見し、その理想的展示とattractionpowerやholdingpowerとの関連を調べた。 その結果、理想的かどうかの判断には「participatory」(参加可能性)が利いていることが判明した。 さらに、どう参加できるかのガイドが展示に簡単に示されていることが、理想的と判断される理由となっている。 →つまり、単にparticipationがあるかどうかだけでは展示の善し悪しは判断できないということである。 |
| Cone, Cynthia A., and Kendall, Keith,1978, Space,Time,and Family Intaraction : Visitor Behavior at the Science Museum of Minnesota, Curator Vol.21, No.3: 245-258 |
| ミネソタ科学博物館で、土曜日と日曜日に26家族を観察。人類学ホールをどのように利用し、家族同士がどのようなインターラクションを行っているかを中心に観察した。 方法:1)観察 2)ファミリーへのインタビュー 結果:このホールに滞在する時間は10分以下が多かった。1展示あたり30秒程度。 男の子と女の子で、興味の持ち方が違う verbal interaction の分類:@声に出して読む A説明する B質問する C指摘する Dしつけ motion の分類 @離れている A一緒にいる Bリードする 全体として、親から子どもへの[explanation」により学習がなりたっていることが示された。 家族は博物館に来て、ある展示をひとつの単位として認識する。 →親子の間でどのような言語的インタラクションが実際に行われているかの自然な観察法と インタビューの組み合わせにより、家族連れによる博物館利用の具体的状況を把握したもの |
| Cameron,Duncan,F.,1968, A Viewpoint : The Museum as a Communication System and Implications for Museum Education Curator, Vol.11, No.1, 33-40 |
| コミュニケーションのメディアとして「real thing」(ほんもの)を位置づけるべきである。これまで、relativeコミュニケーションの効果は実物(もの)そのものによると思われてきた。本物を通じてコミュニケートされるメッセージとは、映像とか複写物からもたらされるものと異なるだろう。 しかし、コミュニケーションのシステムを考えると、その第1段階は、受け手としてのvisitorへのtransmitterが必要であり、そのための情報源としての「もの」なのだということを重視すべきだ。 単にものが並べてあるだけでは、だめである。展示されている情報パターンから何らかのアイディアを得るものである。 大切なことは「language of the museum」を教えることではないか →展示物を含む「展示」の読み解きのためにこそ、「もの」の存在価値があるのだと言っている。しかし、コミュニケーションの効果とは、情報の伝達のしやすさということのみなのだろうか、という疑問も残る。博物館言語という概念は刺激的だが、その言語を展示利用者はどのように会得できるのだろうか? |
| Falk,John H. Koran, John JR., Dierking, Lynn D. and Dreblow, L.. 1985,
Predicting visitor Behavior Curator、Vol.28, No.4, 249-257 |
| 展示・来館者・状況(settings)の観点から来館者行動の予測に関する先行研究を体系的にレビューしたもの。また、それに基づいてフロリダ州立自然史博物館で来館者観察を試みている。 展示への注目・場の状況への注目・その人自身の行動・同じグループのメンバーの行動・他の人への注意の度合い等について、大人のvisitorsを対象に3分ごとにチェックした。 その結果、大人にはある共通したパターンが見いだせた。最初にどうするかきめて展示を集中してみた後、少し疲れて休み、それからどうするか考える。展示への集中は、個々人の関心に大きく左右されている。Visitorsの行動予測は可能ではあるが、博物館側が考えていることの予想を超えることもある。 来館者行動の予測には、その個々人についてより知るべきだ。 →来館者行動観察に関する優れたレビューの一つ。各個人の過ごし方自体に注目し、その個性と展示の利用のされ方とを関連させ、博物館側が予想する行動以外にも注意を向けている。 |
| Diamond, Judy 1986, The Behavior of Family Groups in Science Museums Curator, Vol.29, No.2, 139-154 |
| 科学博物館での来館者観察。ここでの観察法は野生動物の観察法に似ている。Verbal interaction と nonverbal
interaction 双方について記録した。 まず、グループに対し「ついて歩いていいか?」の了解を取り、 1)行動や話していること、(展示について他の人からの指示もふくめて) 2)その人や他人との相互の関係 3)もの・展示などとの相互関係 4)観察者自身との関係 を観察しメモする。 観察データの分類は以下の21の行動カテゴリーにわけられた。 アプローチ:1/アプローチ、2/他のメンバーと過ごす 3/立ち去る 4/他人がやっているのを眺める マニュピレーション:5/ひとりで操作 6/一緒に操作 読む 教える : 7/説明を見る 8/声に出して読む 9/全部読む 見せて話してあげる 10/見せる 11/話す 何か語らう 12/展示名 13/何かを表現する 14/質問する(内容について) 15/質問する(interaction) 16/何かを好んでいるというコメント 17/嫌っているというコメント 他のグループとの何らかの関係 その他 18/助けを求める 19/終了 20/安らいでいる 21/ストレスを感じている(攻撃) 結果 全体として11%が解説を読み、親が子に読んであげるのが多かった。Wiess&Barforling(63)の言うように、その展示内容を参考にするのは 掲げてある説明からよりも以前の家族の誰かの経験によるのではないか?教え方には、ジョーク的なものから直接的教示まで様々であった。 結論 @学習は 展示--visitorとの関係でおこるのではなく、社会関係が学習動機の要素となっている。 A説明と「もの」や「現象」とをfeedbackさせながら、学習が進む B教示は、情報を与えるだけでなく「もの」「現象」からも学ぶという態度に影響を与える Cその家族により、コミュニケーションの仕方も異なり、体験の仕方も違う。(子どもは操作したがり、大人はシンボリック情報から学び取ろうとする。) この学び方の違いが重要なのだろう Dグラフィックがより理解しやすいものであれば、展示からの学びに有意に影響を与えるだろう。 →学習動機に来館者どうしの社会的関係が関わっていることが示され、また、年齢の異なり方が学習形態に影響を与えているらしいと指摘されている。学び方の違いに注目しているのは重要。カテゴリー発生の順序性(シークエンス)をもう少し議論してほしかった。 |
| Serrell, Beverly 1979 A plan for Writing Interpretive Signs Curator Vol.22, No.4; 299-302 |
| 来館者は、自分の目の前のobjectが何なのかを知りたがっている。この研究に先立ち、visitorをよりよく理解すると言う点で展示者側と我々は一致し、そこから出発した。 まずvisitor survey が為されて(Curator 20-1)、それに基づいて以下のプログラムが実施された。 それらは、サインコミッティーの設置→もっとも大きなテーマを少数厳選→最大の優先すべき展示の決定→サインについての情報収集→その情報を階層化する (*階層化とは、第1段階:展示から何かがすぐわかる 第2段階:観察しただけではよくわからない 第3段階:手助けが必要な程度のやや難しいことを強いる) →短文で制作する→小さい試作品の制作→サインの評価→サインの制作→評価の継続 結論:1色もしくは2カラーで、目の高さに設置し うらうちされたパネルで水槽の横におくとよい 300語を超えない程度の文字量とし、3−4段落で 4−6年生が読めるものにする イラスト入りのグラフィックは現在はないが、今後増やしていく。 展示者側のスタッフもこういうプロセスを経ることを気に入っている。 →展示サインのよりよい工夫のために、来館者の展示利用の様子を観察している。はじめに博物館側のコミッティーを設置しているのがすばらしい。 そして、試作品製作によって、どのような工夫が求められているかについて、何某かの情報が館側にも共有されている。実験的手法を取り入れた来館者研究の新段階を象徴している調査のひとつである。 |
| C.G.Screven 1975 The Effectiveness of Guidance : Devices on Visitior Learning Curator Vol.18, No.3:219-243 |
| スミソニアンのレンウィックギャラリーで、「どのような変数が、観客へのコミュニケート影響を与えているか」を調査した。
本調査では、自発的来園者が、ある程度限られた時間内に、その展示がそれぞれの来館者の学習動機や学習への影響にどう反映するかを見た。 たとえば、その変数としては以下のもの。 1)観客者自身の持っている知識。興味。期待。 (この変数にはかなりの幅がある。) 2)場のセッティング(フィジカルな要素を意味している) 例えば、光。空間配置。色。ラベル。ものそれぞれが視覚的・認知的・情緒的な内容への注目度に潜在的に効いている。 また、communication toolsのひとつとしてのテープorフリップブックレットを持って展示を見てもらった。 見る人の「展示への参加やインタラクションの程度」という変数が展示の持つ「コミュニケートする力」を決める。動くパネルや質問板といった多くの手段がインタラクションの要素となっている。 →フリップブックレットを手にしてまわるのと、自分のペースでテープを聴きながらまわるのと、どちらも同じように高い正答率となった。 たくさんの来館者がこのシステムを了とした。最も多かった批判は、テープの時間が長すぎたということであった。セルフペーシングのよいところは、人々がそれぞれ異なっていて、展示からのインフォメーションを自分で探せるという点だ →セルフぺーシングを成立させる道具によって「展示のコミュニケート力」が高まることを実証した初期の調査として位置づけられる。単に、物理的環境がどう観客に影響を及ぼしているかという観点ではなく、それぞれの興味や前知識と「展示を成り立たせている物理的要素」に加えて、コミュニケーションツールとしての「セルフガイドツール」を用いることが、コミュニケート力に影響を与えていることを明らかにした。ある道具を介在させて、展示の観客への影響力を確かに高めたことは認められたが、それぞれの観客の多様な興味関心自体がどう高まったかについて、いまひとつ深い洞察はない。 |
| Screven,C.G. 1986 Exhibitions and Information Centers : Some Principles and Approaches Curator, Vol.29, No.2 109-137 |
| いったいどのようなsettingsが機能していてどれが機能していないのだろうか? Formal settings:school(教師によるバーバルなもの 補助的に「もの」と「視覚」をつかう) Informal settings:museum(展示による) と通常分けられているが、このinformal な状況での 来館者の学習の特徴を見極めるためにどのような手法があるか、を論じている。 以下の諸点を調査した。 1)観客層分析 2)来館者のモティベーション(注意・時間・努力を向上させるかどうか を決める要因 として重要) 3)コンセプトネットワークと学習環境 4)評価(展示デザイン計画のツールとして) 5)来館者オリエンテーション(展示を見る際の空間配置) 6)ラベル(使うかどうか 読もうという気になるかどうか ◇communicaiton effectiveness of the exhibitをはかるための前段 まず、来館者が持つ知識や期待、誤った概念が何かを知る。 その展示の主要な情報とは何かをみきわめる 重要な要素に対する来館者の見学時間や態度などを知る ◇内容に対するモティベーションも重要。 →モティべーションを含んだ評価手法としての「Formative evaluation」のすすめ (summative evaluationだけでなく) ◇ラベル機能の分類とその配置 1)展示についてのinformation(名前。ここにあるのはなぜか など) 2)指示 (「答えてみよう」「これを見てご覧」 3)展示物の解説 4)他の見方の示唆 ◇ラベルを見ようとしない理由 としてあげられたことがら 「そのもの」に近くない ラベルが小さすぎる ライティングが悪い 字が多くて長すぎる 技術用語・専門用語などが使われている ディスプレイにたよったり展示内容からの質問をかもし出していない ◇ラベルを読んでもらうための工夫 質問をする (フリップタイプの質問は有効) 情報マップを示す →来館者行動の観察に基づいて effectiveness とは どういうことかを論じている。 とくにひとりひとりの「モティべーション」をそのeffectivenessをはかる上で重視しており、学習の 個別化、認知的な多様さ、を知った上での「展示者側としてのあるべき工夫」を提言している。 フリップタイプの「質問」をもって展示を見ることの意味は、各人が自分で問いに取り組むことによって 主体的に学ぶことを補助することにあると思われる。フォーマルな学校場面とそこが異なる。 |
| Wolf, Robert L. 1980 A Naturalisitic View of Evaluation Museum News, July/August: 39-45 |
| 自然的な評価とは何か。これは、博物館というセッティングにおいて実際に起きていることを把握しようとする事である(p39)。行動観察においても、カテゴライズしようとするのではなく、実際のシークエンスを問題として、できるだけそれを記述する(p40)。インタビューも会話スタイルをとるようにする。したがって、プログラムに参加する人々にとってそれがどのような意味を持つのかを把握することが「自然的」評価に必要なのである(p41)。 長期間にわたってのformativeな評価を、評価プロフェッショナルスタッフによって、よりセンシティブにことがすすめられている(p42)。 また、獲得できた情報とプレゼンテーションのタイプとの関連を見れば、来館者が展示の違いと学び(learning)との関連を見いだすことができよう(p44)。 博物館では好まれたインパクトがどうしてもたらされたかというにはあまりの多くのファクターが利いているので、次の点を考慮に入れて調査することを提案する。 1)来館者の興味はどうか(ただし、興味の程度は、来館者が質問をするかどうかを指標とするべきではないか。 ) 2)提示の仕方はどうか(個々には、ラベルやプレゼンテーションもそうだが、どういったメディアによるのか、あるいはその人の持つ情報入手の仕方の流儀、あるいは来園者同士や係りとのインターラクションも含まれる。 このうち、情報提供の仕方(presentation of information)と、展示物の位置や提示の仕方(placement or arrangement of objects)の2つが、来館者の[involvement(その展示に惹かれるのかどうか)」に主に影響を与えている。 3)情報と展示物を結びつけるものは何か--来館者はまず、ラベルを読んだりものを見たりして博物館を体験する。(p44) 人々はラベルをあまり読まないと言われてきたが、自分の興味関心の向くものについては、かなりの割合で読んでいるのである。 また、こうした自然的評価は、博物館スタッフへが展示デザインを更新したり、新しいプログラムをつくる意欲に貢献するものである。というのも、多様な来館者の豊かな博物館体験が実現されていく可能性がそこにあるからである(p45)。 →それまでの評価手法が、行動主義的傾向が強かった(観察可能な事実を重んじるという意味で)であったのに対し、Wolfは、第一に、ひとりひとりの持っている関心事や認識方法の特徴が重要であるとしており、第二に、来館者の興味の現れ方をその発話の表現方法や内容を参考にしたり、その語られる語り口を重視している。これらは、来館者ひとりひとりにとっての博物館体験の多様な意味事態を重視し、そこに価値をおく姿勢である。具体的なこれらの方法は、体験を深く語ってもらい、その語り方を含めてその人を理解するという臨床心理学的な方法に共通すると思われる。ここでの「評価」は、したがって、展示の一般的なあるいは全体としての影響力ということではなく、展示を含む、博物館来館体験全体のその人にとっての役割を明らかにするという意味である。また、このような評価手法を採用することにより、博物館側(展示者側)がより来館者の多様な体験を知る可能性が増えることが論じられているのも、この論文が80年のものでもあり、新風を吹き込んだと言えるだろう。 |
| Shettel, Harris H. 1968 An Evaluation of Existing Criteria for Judging the Quality of Science Exhibit Curator Vol.11, No.2: 137-153 |
| 展示効果研究の方法として、教育のコンテクストにおける視覚メディア研究の方法が採用されているが、それが直接役にたつことはない。というのは、展示を見る人の動機が問題だから。それは、各自のattracting powerの問題だからだ。 展示が殆ど影響しなかったり、まちがった方向になったりすることもある。 そのため、ここではなにが[effetive」なのか、なにが「good」なのか、逆に何が「bad」で「ineffectiveなのか」を関係者へのインタビューを通じて知ることとする。 (p141) communicaiton技術の具体例として、「音・動き・デモンストレーション・チャート・フィルム・モデル・教育テクニック(話術など)・参加性のあるもの」があげられる。 effectiveかどうかのクライテリアとしては、1)妥当性 2)信頼性 が必要であり、これは多くの人に展示に関する知識を問うことで測定が可能である。 結果→ 人それぞれでagreementにばらつきがでたので、信頼性は低い。これは彼らがデザイナーであったり解説者だったり、エネルギーに関する専門家であったりしたためだ。 たとえばラベル制作者は、fieldで実際に観客と話をすることはできない。これら関係者の間での一致度が得られたとは言えない。 →直接、来館者行動の観察だけではなく、関係者への面接・質問という手法をとったことは新しい。博物館関係者がそれぞれイメージする「効果的とは何か」「効果的ではないのはどういうことか」を比較して、そこから共通項を引き出そうとしている。関係者自身の意識を高める上で、こうした研究方法採用が功を奏するかもしれない。60年代であり、初期のevaluation研究として、位置づけられる。 |
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