| JMMA主催「利用者研究のすすめ」参加記 2008年3月18日、東京国立博物館で行われましたシンポジウムに参加してきました。 詳細は、この学会のニューズレターで紹介される予定とのことですので、ここでは、私自身の関心事からの感想のようなものを紹介します。 *JMMAとは、「日本ミュージアムマネージメント学会」のことです。 |
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◆基調講演 講師:ジェフ・ヘイワード博士(米国 People,place,and Design Reserch代表) 1.研究機関について このヘイワード博士が立ち上げた研究機関の特徴は、端的に言うと、文化諸施設から委託された評価全般(評価指標の作成や実際の調査計画と実施も含む)を請け負って、その施設が具体的に何かを起こす上で必要な情報を的確に提供することだと思いました。 米国にはこうした公的機関の果たす役割を、教育的視点や文化創造、あるいは福祉的な観点からある意味で監視し提言するような多くのNPO機関や研究所が存在していますが、日本ではどうなのでしょう。 大きな博物館では、自らの組織でこうした調査計画をたて、自らの資金でそれを行うこともできるでしょうが、小さな組織ではもし必要性が認識されたとしても、実際に行う人的資源もままならないでしょう。なぜ、米国にはこのような多くの調査会社や研究機関が民間レベルで存在し得るのか、とても気になるところです。また、それぞれの機関の「得意分野」があるのかもしれないとも思いました。たとえば、社会調査のうち、量的調査にかけては、多くの実績があって、調査方法にかけては自信があるとか、とくに小さな子どもを含むターゲットに対しての質的評価方法においては優れているとか、あるいは、現地での調査員調達型の場合に、そのトレーニングについてはお任せ下さいとか、、、。 日本の多くの社会調査会社は、データの「読み取りの深み」についてはあまり期待できないように思います。「ここまで調査しまして、契約通りの集計はいたしました。そのデータの意味づけについては、クライエントのほうでどうぞ」というような。 むろん、そういう契約なのだから、ということで仕方ないのかもしれないですね。それが「調査会社」としての責任でもありそれ以上に踏み込む場合は、クライエントへの徹底したヒアリングが必要になるということです。 依頼者がわにも問題があると思います。データがそのまま何かを指し示すであろうという安易な気持ちがあるとすれば、それは誤りで、ある「仮説」を導く上での参考としてならデータが指し示す部分もありますが、データはそれ自身で何かを導くわけではないのですから。 また、自治体が「監査法人」から指摘される各種指摘事項を目にすることがありますが、監査法人はほとんどの場合、税金の使われ方について、無駄なく効果的なものなのかどうか、数字を基礎にして大胆に指摘してきます。しかし、その指標の多く(効果的、と言う場合)で使われるものさしは、税金投入の目的に照らして、という場合も少なくないようです。つまり、公的機関として目指すべきことからみてどうなのか、という視点はもてないわけです。これはある意味で当然ですが、「教育の目標」とか「文化的価値の継承」といった抽象的なものさしを、もともと監査法人としては持ち合わせることが法人の性格上、難しいということからきています。 それに対して、ヘイワード博士らが立ち上げた研究機関の場合は、ある展示によってもたらされた来館者の経験を吟味するというような微視的なレベルから、市民が抱いているその博物館イメージを探るという巨視的なものまで様々で、その「測定したいもの」にあわせた調査方法を創出しているところがすごいと思いました。 2.講演内容全般についての感想 詳細は、追って「ニューズレター」に掲載されるとのことでしたので、感想のみ記します。 「博物館評価」「博物館展示評価」「来館者の体験を理解する」「問題解決とアセスメント」「来館者研究」、、、こういったキーワードの意味するところをしっかりと理解するにはとても役立つ講演でした。 とりわけ、解決すべき問題の構造が未だ明らかになっていない場合に、来館者の意見を参考にしてその道を探ることと、すでに課題は明らかで、その道筋の優先順位を求める場合とでは、「来館者調査」の方法と規模が当然異なるわけで、前者はデータから仮説を導くことが目的となり、後者は確実に「今しようとしていること」がうまくいきそうかどうかの予測が可能な調査をすることが目的となります。 当然と言えば当然ですが、アンケート項目ひとつとっても、どちらなのかによって、その「聞き方」や選択肢の出し方、具体性が異なります。博士が強調していた「社会調査に精通することの重要性」は、そのとおりだと思います。 「社会調査」の専門性を磨くことがまずは第一かと思いました。 私自身は、博士の言う「来館者の経験を理解し」ということに関連して、「効果」というよりも「一人ひとりが何をそれまでの経験にその人なりのやりかたで付け足すことができたのか」というあたりに共感しました。 そして、来館者調査によって見ようとしていることが何なのか,それをどれだけ明らかにできるかが、調査方法と解析の方向を決めるのだと確信しました。 その際、最近の「visitor-centered」というコンセプトが、こうした来館者研究や調査の中に具体的にどう落とし込めるのか、それも興味深いことです。 また、考えがまとまりましたら、付け足します。 |