REPORT

諸星和己 バースデイライブ

1999.8.14 18:30〜 日比谷野外音楽堂

朝から断続的に降り続く強雨。東京湾大花火も延期が決定し、JRの運行にも乱れが生じている。大丈夫だろうか。レインコートと着替えを詰め込み、大荷物を抱えて家を出た。そんな心配を、照る照る坊主が吹き飛ばしてくれた。諸ちゃんが、20年ぶりくらいで作ったという、頭が重くて傾いてしまったという照る照る坊主。わくわくドキドキしていたという彼は、怪しい音楽の中、強烈なスポットライトを浴びて登場した。

金髪の表面がピンクに染まっている。ノースリーブの黒のトップスの胸には互い違いになったピンクの大きなクロス。腰には一昨日と同じ、赤い羽の飾りがたくさんぶら下がった革の丸くて白いポーチ(黒の革で縁取られて、まるででんでん太鼓のようにも見える)が下がっている。
聞きなれないアレンジだが、一曲目は「一匹狼」。本来バラードだが、カッコイイアレンジになっていていきなりヒートアップした。

一昨日のように屋内の密集した客席から見上げるステージもまたいいものだけれど、野外の(少し曇った空ではあるが)オープンな雰囲気で扇型に広がって段差が付いた客席から見下ろすステージは、観客の盛り上がりとステージの雰囲気がシンクロしていくようで、余計にワクワクしてくる。
決して広いとは言えないステージの上に、段差を儲けて左右にスロープをあって、上下のステージを作ってあって、手が込んでいる。この中を、諸ちゃんは少しもじっとしていないで動き回る。スタンドマイクだって、ただ立って歌うばかりじゃないんだぞぉぉ!すごいんだぞぉぉ。かって気ままに動いてるようでいて、決めるとこはばっちし決めてくれるんだ。髪の毛振り乱して、表情たっぷりで、汗びっしょりでそれがきらきら飛び散って・・・。歌ってる諸ちゃんからは、ほんと目が離せないのです。自然と体が軽くなってきて気持ちも高揚してきて、幸せになれるんですよぉ。

懐かしい曲の数々が繰り広げられた。順番とか細かいことはすっかり頭から抜け落ちてしまったけれど、曲目を見ると、楽しかった雰囲気がお分かりいただけるだろうか。

  • 「一匹狼」
  • 「天使が天へかえる日」
  • 「俺の手にSay Good Bye」
  • 「Harry Up」
  • 「やってられないよ」
  • 「COUNT DOWN」
  • 「GO IT ALONE」

どれも甲乙つけがたいけれど、ひとつ挙げるなら「やってられないよ」だろうか。客席から一斉にハンカチを投げ上げるあれである。「Pocket Album 七つの星」に収録されたソロ曲。92年の夏、この曲を横浜で聞いた時、すでに客席はすっかり様子を呑み込んでいて、一斉にハンカチだの上着だのが宙を舞う。その様子にまだまだコンサート初心者だった私は驚いたものだ。ああ、なんて懐かしい。 歌の間は、この曲の楽しさと懐かしさに浸っていた私だったが、次に繰り広げられた諸ちゃんトークにはもう抱腹絶倒だった。
「俺は言いたいことがある!!!」諸ちゃんが大声でいいたかったことは3つあった。まず最初は、「内海光司にいいたい!」だった。「うち・・・」と言い出した当たりから私はもう興奮のるつぼだった。一昨日のことだ。12日、誕生日の真夜中に電話をしてきた内海光司は、Zeep Tokyoにその姿を現した(と、諸ちゃんは明言した)。そして当然、みんなが想像した通りその日は一緒に食事に行ったんだそうだ。細かい台詞は忘れたけれどその顛末は、こういったものだった。
内海光司が諸星和己を食事に誘ったのは「イタリアン」(照れくさかったのか、ここでひとくさり気取ってるとかなんとか、言ってたっけ/笑)。
イタリアンでもなんでもいいや。やったぁぁ!内海くんのおごりだぁぁ!あの内海だよ・・・って感じで語る語る。
レストランにつくと、あんなに細い体でこんなに食うの?っていうくらい料理を頼み(胃下垂だからな)、ドンペリまで頼んだ内海光司。諸ちゃんは、いいの?俺が好きなドンペリ・・・って感動してるみたいだった。たくさん食べて、たくさん飲んで、きっといろんなくだらない話とか愉快な話とか繰り広げたことだろう。また別の機会でいいから、ちょこっと聞きたいなぁ。
そして(これまた想像がついちゃうんだけど/笑)諸ちゃんがトイレから帰ってきたら、内海光司は姿を消していた。誕生日くらいおごってくれって言いたかったんだろうね、当然だよね(苦笑)。分かるよぉ。でもおかしい。おかしくてならない。大爆笑だよ。ごめんね、諸ちゃん、こんなに笑って。でもなんか、「分かるぅ」って言いたい気分でいっぱいになっちゃって、おかしくってならなかったんだよね。
そして、大爆笑の観客に向かって諸ちゃんがいったのは「おまえたちにも言いたいことがあるぅぅぅ!」っていう一言だった。ワクワクだぁ、何?諸ちゃん、何にそんなに怒ってんの?(私はサドなんだろうか。諸ちゃんには叱られたい願望があるらしい/笑。あ、待てよ。諸ちゃんだけじゃないかも。あっくんに叱られる客席ってぇのも好きだしぃ、お兄ちゃんにもちょっとは叱られたいしなぁ。あ、でも別に面と向かって叱られたいわけじゃなくって、コンサートMC中に限定される願望なんだけどね)。12日のGLUB G FESTIVALの後、ファンからメールが次々ときたらしい。律義だなぁと思うんだけれど、そのファンレターを諸ちゃんはもう読んだんだそうだ。「かっこよかったです」「新曲よかったです」というメールの中に、一つむかついたのがあったんだそうだ。「握手会の時、諸星くん、私の胸を見ていませんでしたか?」(笑)「そりゃぁ、見たかもしれないよ。」(そりゃぁ、そうだろう。露出度高いもんな、夏だもんな。)「でも男ってぇものは、見ちゃうもんなんだよ」(諸ちゃんもおっぱい星人だってことよねぇ。しょうがないよねぇ。逆に見なきゃ失礼かもってくらいなもんだよね。チラっと見ちゃうよね。/私がフォローするようなもんじゃないかもしれないけど気持ちは分かるよ。)
そして諸ちゃんの言いたいことは、まだあった。最後もまたファンに向けてのメッセージ(?)だった。(諸ちゃんの絶叫を聞きながら私は爆笑の連続だったけど、実は頭の中がハテナでいっぱいになっていた。そういうもんか?って。)「おまえらは男を求めてるぅぅ。いつでも男を求めてるぅぅ。それじゃあだめだ。いけませぇぇん。俺は結婚はしない。だから、おまえらも結婚しましたとか、子供が産まれましたとかいうんじゃない!」みたいなことをすごい勢いで叫んでいる。
どうも大阪のライブで、「俺の手にSay Good Bye」のトークの流れから、本当は指輪の話に持っていきたかったんだろうけれど、なぜか結婚の話になり「俺は結婚はしない」っていったら「えぇぇ?」ってブーイングが起きたらしい(この話をしたときの客席の反応もまったく同じようなものだった。「ほら、そうやって・・」と諸ちゃんも言っていた。)。だからって、結婚するっていったってブーイングは起きるんだろうし・・・。そういうファン心理のことを言ってたんだろうけれども・・・。
こんな言い草は失礼なんだろうけれども「諸ちゃんのものの考え方ってユニークだなぁ」これがアイドル育ちらしい考え方なのかな。「なんてったってアイドル」心理ってヤツかしら。でもでも身の回りで幸せそうなカップルが離婚しちゃったりするのを目の当たりにして「俺は結婚はしない」っておもちゃっても、不思議はないような気もする。でもさ、ファンはいいじゃん、それぞれの個人レベルの幸せ探したってさ。でも、「結婚するな」ってファンに要求しちゃうアイドル、諸ちゃんしかいないって思うと、「やっぱ、すげえよ」って素直に思います(笑)。ある意味カッコイイかもね、そこまで言いきると。でもね、「結婚するな」の一言を冗談にできないファンもいるんだってこと分かっていってるんだろうかって心配しちゃうのは、私だけ?(あの一言が冗談じゃなかったら・・・ってことは、ひとまず脇へおいておこう。)

「俺の手にSay Good Bye」は個人的に「キテル」曲だった。12日に一緒だった友達が「この曲をラジオ(たぶん「GENJI 元気爆発」だろうねって言ってたけど)で聞いて、声に惚れてファンになった」って教えてくれた曲だったからだ。タイムリーだったので「わぁ。この曲を歌ってくれるのね」って嬉しかった。もう10年前のアルバムになる「Hello... I Love You」に収められている歌だ。
しみじみと歌ったこの曲の後、諸ちゃんは「いいですね、バラードっていうのは。切なくて、哀しくて」と、なんだか感傷的になって語っていた。少年時代の純な恋の歌は、大人になって聞いてもなんだか懐かしいような、優しい気持ちになれていいなぁと思う。こういういい曲をソロ曲としてグループの頃から歌ってきた諸ちゃんが、今でもこの曲を大事に思ってるんだなぁってことが伝わってきた気がする。そういういい表情をして語っていたから。
バラードを聞く良さっていうのは、自分が体験してないことなのに、歌の世界の中で聞いている自分も生きているかのような錯覚に陥り、それが錯覚じゃなくてほんとのことのように思える一瞬があることだ。もちろん、似たような体験をしていればもっと切実に胸に迫ってくるんだろうけれど、そんな恋愛したことなくったって、切ない気持ちを共有できる瞬間が歌にはある。歌の力ってすごいですよね、ほんと。

あと「ええぇぇ?これ歌うの?」って狂喜しつつも、ほんとぉ?って思いながら前奏を聞いたのが「Hurry Up」。私の中では勝手にA2ソングと思い込んでたからだと思うけど、諸ちゃんの選曲に驚かされた。
これは、言わずと知れた初アルバム「光GENJI」に収められた通学電車片思いソングだ。電車通学で同じ車両に朝、乗れるかどうかでその日一日の幸せを計るなんていう子供っぽさ、かわいらしさが胸キュンものだ。とにかく些細な日常をドラマチックに盛り上げてくれてそれでいてリアルな詩が時代に左右されない普遍性があって良いし、曲調はハッピーだしリズムは元気で溌剌としていて、まさに名曲だ。
去年の「太陽がいっぱい」でも盛り上がったけれど、この曲のときの客席とステージが一体になって飛び上がって盛り上がった様子ったらほんとうに・・・・。諸ちゃんが飛べっていうから、みんな飛び上がってましたね、見事に。ぎゃあぎゃあいいながらいっしょに歌ってたから、こっちももう思考能力なんて吹っ飛んでる状態だったけど、はじけてて楽しかった。

花火は揚がるし、赤い銀テープは飛ぶし、爆音はするし、ミニバイクでヘルメットかぶって登場するし演出にも凝ったステージだったけれど、中でもかっこよかったのは、ドラム缶の中にライトを入れて明かりを点し、その上にボトルから水をドクドクと注いでティンパニかなにかのバチでドラム代わりに叩いたパフォーマンス。「GO IT ALONE」のときだっただろうか、記憶が定かでなくて申し訳ない。叩くたびに光りに照らされたしずくがキラキラと光を抱きながら飛び散る様は、遠くの席からもしっかりと見えていただろうか。厳しい表情でパフォーマンスをする和己の回りに、何かが取り巻いているような不思議な雰囲気が漂っていたような気がする。ああいう姿を、彼は計算だけで作り上げているんじゃないような気がする。天性のものと努力と勉強と、そしてステージの魔力が一体となっていると思う。

結局、家を出てからライブが終了し、帰宅するまで雨は一滴も降らなかった。 ありがとう>諸ちゃんが作った頭が重くて傾いてて、へんなエンジェルみたいなてるてる坊主。

1999.8.26

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