「怪盗X」は見逃したが、「酔夢夜景(よいゆめやけい)」は見に行きました。新宿シネマカリテ。PM9:30開始。もちろん、事前に劇場に電話して終わる時間も確かめたのだ。終電に間に合わなかったらやばいので。大丈夫、PM10:55に終わるから。
シネマカリテは前回はケネス・プラナーの「ハムレット」を見に行ったところだ。前売りは買ってなかったので1階の窓口で1800円払い、エレベーターで3階に上がりると凄い人がロビーで待ってるから、やったじゃん。と思ったけど案の定、別の映画を見にきた人達だった。今、絶好調のネプチューン主演の大阪青春もの「どつきどつかれ」目当ての若い子たち。関連グッズも飛ぶように売れる。入り口で切符と引き換えに、隣接の喫茶店の割引券と整理券(なんと6番! 結局全部で15人もいなかったんじゃないの?)を受け取り中へ入る。お笑いファンなのか若い子たちで埋まる売り場をのぞき、どうせないだろうと思っていたパンフレットが売られていることに気が付く。お姉さんに声をかけ、250円払って手に入れた「酔夢夜景」のパンフレットは、立派な紙に印刷されたフルカラーの2つ折の4ページものだった(泣)。当然、樹生の写真なんか載ってるはずもない。キャスト欄に名前が載っているだけでもめっけもんだった。
映画は、結構面白かった。前評判では浅田次郎の「鉄道員(ぽっぽや)」に収録され、中井貴一主演で映画化された「ラブレター」の焼き直しといわれていたが、そんなことはない。地味だけどかなりいいエピソードを持った佳作だと思う。
樹生の出番は本当にちょっとしかない。出ていることを確認する程度。見事にワンシーン。事前にシネロケッツホームページやシネロケットのパンフで確認していた写真の樹生が動いている、台詞を言っている、演技していることを確認できれば幸いである。ネタばれぎりぎりだが、骨壺が出てきたら目をそらしてはいけません。見逃す恐れがあります。
ええい、ねたばれでいいやん。
ネタばれ・あらすじ・樹生の役どころ
アル中の若い男のところに警察が尋ねてくる。別居中の妻が死にそうだから病院へと連れて行かれるが、実は男はその妻なる女性に今まで2度しかあったことがない。女は強盗に金を盗まれそうになり、必死に取り戻そうとしたところを刺され重傷である。なぜ、女は我が身の危険も顧みず、強盗から金を取り戻そうとしたのか。2度しか会ったことのない女の胸の内を理解することはできない。そこから、彼女との出会いと束の間の思い出の回想場面が男の頭に幾度となくよぎっていく。
彼女との出会いは、借金がきっかけだった。男が借金の果てこれ以上どこからも借りられなくなったときにサラ金業者から、戸籍を売って偽装結婚すれば金を手に入れられることを教えられる。その場で承諾し、中国人の女と会い婚礼衣装をきて証拠の写真をとる。女がもっと二人の写真が欲しいというので、公園で恋人同士のようによりそって写真をとるうち、なんとなく恋人らしくなってくる。気持ちがほぐれた二人は食事をしながらお互いの過去とこれからについての話をする。男は、日本に働きにきてつらい生活をしながらもけなげに生きている女のさわやかな笑顔を見ながら、この金でやり直すことを誓う。男はレーサーを目指しながら、けがで挫折し、そのまま夜の世界の運転手としてアルコール漬けの生活をしていたのだったが、これを機会に頑張ると誓うのだった。
しかし、やはり男はその金をあっという間に使い果たしてしまい、もとの自堕落な生活へと戻ってしまう。2度目に女に会ったのは偽装結婚じゃないかを申し立てるためで、慌ててお互いの素姓、家族構成、好きな食べ物など聞かれそうなことを必死に覚え合う。
役所に向かう途中、男はふと思い付き、道端にアクセサリーを広げて座り込んでいる露天商(これが大沢樹生だ!!。毛糸の帽子をかぶり煙草を吸いながら、うすらわらいを浮かべながらぼんやりと座り込んでいる。)に目をやると、女に「指輪しといたほうがいいんじゃないか」といいながら、ダイヤのように見える指輪を露天商から買う。(立ち上がった露天商は、「2500円」と値段をいい、やたらゆっくりと釣り銭の500円をズボンのポケットから取り出すと男の手に渡す。<こんなことは粗筋とは関係ない、念のため。しかし意味もなくアップにするあたり、私は監督に感謝せねばなるまい。>)女は思いがけないプレゼントに言葉もない。あの日を思い出しながら男は、女がなぜ金を強盗から奪い換えそうとしたのか、なぜ女は死ななければならなかったのかという疑問にとらわれていく。
同僚や勤務先の女主人に聞くと、彼女はお金に執着し同僚のお客を奪い、客からチップをとって稼ぎまくり、女主人と諍いを起こしては他の店で働くなど、問題を起こしていたという。しかし彼女の親友(これが、喜多島舞ちゃん。中国女性役のため、つたない日本語という演技。顔立ち的にはそれらしく見える。結構出番の多い彼女すら「友情出演」とクレジットされているのだが、ということは樹生は「友情の夫出演」もしくは、「妻の撮影についてきたついで出演」か?)がいうには、彼女は真剣に男を愛していたという。そんなことは信じられない。たった2度しか会ったことはないのだから。それに男の住まいを訪ねてきたことすらないのだから。
男はさらなる借金の取り立てに追われ、相変わらず酒におぼれる日々の中、やくざに声を掛けられ危ない仕事を請け負う羽目になる。
女の荷物を整理しにアパートに向かった男がその部屋で見つけたものは、二人でとった数多くの写真と、中国語で書かれた日記だった。運良くその場に訪ねてきた彼女の親友(舞ちゃん)に日記を読んでもらうとそこには、男への思い、彼女の真実の姿が克明に書かれていた。仕事はつらく、中国の両親のためいやいや客に身を任せていること。女主人と喧嘩し、店を飛び出して男に会いに行った日、男は帰ってこないため、泣く泣く店に戻ったこと。男と再会した日の喜び。買ってもらった指輪がうれしくて、大切にしているということ。しかし、偽の指輪、おもちゃの指輪と同僚や客に笑われ、彼に悪いからと家においておくことにしたこと。
彼女を殺した犯人が捕まったからと警察が尋ねてくる。そこでもう一つの真実が判明する。彼女が身を挺して強盗から奪いかえそうとしたものは、実はあのとき樹生演じる露天商から男が買ってくれた「結婚指輪」だった。震えだす右手をしっかりと押さえて、男は涙をこらえる。贋物の指輪じゃなければ身に付けていたから、強盗に盗まれることもなかったし、殺されることもなかった。こんな指輪を、男からもらったものだからと大事にしていた女の思いは、男の心を揺さぶり続ける。
男はやくざの仕事を断り(当然ぼこぼこにされる)、引っ越し業者として働きだし、酒も断つ。写真の女の笑顔に手を合わせ、いまだに震える手を必死に押さえながら新たな道を歩みだす。
あらすじという名のすじがき終わり。
さて、これだけ主人公の命運をつかさどる重要なファクターとなる指輪を売り付ける露天商だから、ちょい役とはいえ重要だなどとたわけたことをいうつもりはないが、樹生が出ていなければ、出演者メインで見る映画を決める私がこの映画を見る機会はほぼ100%なかった(ただ券でもあれば別かもしれないが)。そういう意味で、まあまあの映画(それも邦画)を見ることができたので、樹生には感謝している。しかし、逆にいうと、邦画としてはこれほどよい作品にもかかわらず、あまり宣伝してないし、ほとんど人に知られていない。都内でも単館上映しかも夜1回のみ。これじゃあ、なかなか普通の人には「くるな」っていっているようなものだ。邦画は厳しい(しかも、今やディカプリオじゃなければ、映画じゃないかのような状況だし)から仕方がないのかもしれないが、なんとかならんのか? せっかく作っても人の目に触れないんじゃもったいないぞぉ。でも、1回1800円は高い気もするしなあ。生で数十人が出演する芝居だって素人の無料から、海外オペラの数万円まで、でも平均4000〜6000円ぐらいで十分見られるんだよなあ。ぴんきりだけど。映画も全部1800円なんて決めないで、値段を変えて勝負したらどうだろう。
映画サイトでの「酔夢夜景」ページ
There's http://www1.sphere.ne.jp/there-s/
酔夢夜景
ストーリーのページを開くと、樹生ちゃんの登場シーンの写真が見られます(ちょっと画像がくらいですが)。映画館にいけない人はこちらをご覧ください。
制作会社のページ
シネロケット