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FE世界の名前

 

『ローマ人の物語』を読んでいると、名前の種類が少ないことに驚かされるというか、「この名前、またでてきやがった」という気分になります。男性のルキウスやガイウスやティベリウスと言った個人名(姓名の「名」に当たる)はよく出てきます。
女性に至っては、少ないどころか、全く無いも同然です。何しろ「家門名の語尾変化」が名前なのですから。ユリウス一門に生まれた女性ならユリア、クラウディウス一門ならクラウディア、コルネリウス一門ならコルネリア、アウレリウス一門ならアウレリアです。これでは、姉妹は必ず同じ名前ではないですか。というか、「どこそこの「一門の」女」という意味でしか無いではないですか。日本なら「平家一族の女」くらいの勢いじゃないですかね。識別する気が無かったとしか思えません。…って、その日本でも、平安くらいまでの女性の名前を可能な限り思いだしてみましたが、大差ないような気がします。

という枕をおいて、FEキャラの名前について思いを巡らせてみます。
やり出したら深みにはまりそうなので「考察」ではありません。単に思いついたことをつらつら書くだけです。

まず第一に気がつくことは、FEキャラの名前は、同一作品内では徹底して異なる名前になっているということです。
凄いですねえ。
そんなに名前のバリエーションが豊富なのでしょうか。
話が変わるようですが、50人の人間を無作為に集めて、その中に同じ誕生日の人が一組もいない確率はどの位だと思います?まぁ、前提として、1年は365日であり、どの日に生まれるかは完全に同じ確率だとします(実際はいくらか偏っていると思います)。
計算したところ、約3%でした。式は(365!/(365^50 × 315!))(※ただし、x^yはxのy乗、x!はxの階乗を表す)です。つまり、名前のバリエーションが365個あったとしても、50人(仲間になるキャラ+主要敵キャラで、FEならだいたいこんなもんでしょう)いれば同じ名前のキャラが1組も無い確率は3%であり、つまり不自然です。あまり記憶に残らないようなキャラまで含めて80人として計算すると0.01%を切ります。
もちろん、名前のバリエーションが多ければ、この確率は上がります。1000のバリエーションがあるとして計算すると、50人で29%、80人でもまだ3.8%残っています。
とはいえ…名前って、そんなに多いものですかね。漢字を自由に組み合わせることができる日本人は、桁外れに名前のバリエーションが多い民族だと思いますが、それでも1000の名前を挙げるのは難しいと思います。『俺屍』プレイヤーなら、何となく実感できると思いますが、いかがですか。
それに、いくつ名前があろうとも、それらを「同じ確率で」名付けることなどあり得ないでしょう。流行り廃りもあるでしょう。誰かが滅茶苦茶に有名になり、それにあやかろうと同じ名前をつけることもあるでしょう。あるいは「ああはなって欲しくない」と避けるかもしれません。
ついでに、普通なら、極端に変わった名前は避けるのが親の心理だと思います。同性の日本人(もしあなたが外国人なら、同一文化圏の同性の人間)を無作為に30人集めた時、自分と同じ名前がいるとはまず思えないという方は、どのくらいいらっしゃいますか。多分、非常に少ないと思います。
というわけで、50人もいるなら、同じ名前が一つもないのは不自然極まりないという結論になります。
…理論上は。
実際は、どうでしょう。同名の人が実際にいて、長い間一緒に何か活動をしなければならないとしたら?
識別する必要は、必ずと言っていいほど生じるでしょう。そういう時は、名字が異なるならそちらで呼ぶとか、職名で呼ぶとか、渾名をつけるとかすると思います。実際、ローマ人はそうしていたようです。例えばスキピオ・アフリカヌス(アフリカを制覇した者)などです。
全キャラ違う名前が付いているのは、こういうことだと考えられないでしょうか?そもそも、名前なのか名字なのかわからない連中も結構多いのです。たとえばオレルアン騎士団のウルフなどは、実は渾名だったと考えられなくはないでしょうか?シリウスに至っては、自分でそう名乗ってる名前です。多分、あからさまに偽名だと思うような名前だと思います。現代日本に仮面をかぶった金髪の男がいて、「私の名前はシリウスだ」と日本語で名乗りを上げたのと同じくらいの違和感があるに違いないと踏んでいます。

名前のバリエーションを増やす手として、民族が異なるということもあり得るでしょう。
ローマ人の名前はバリエーションに乏しいだけに、時々登場する異国の人の名前は新鮮です。ハンニバル、ミトリダテス、クレオパトラ、ヴェルチンジェトリックス…いや、ちゃんと調べてないんで姓である可能性も大ですが、ともかく異国情緒あふれて新鮮であることに変わりはありません。
さてFEキャラを見てみると、フランス語風あり、英語風あり、ドイツ語風あり…というより、何でもアリです。なぜそんなにごちゃごちゃしているのかという疑問はありますが、それを無視すると、確かに多民族の混成ならば同じ名前になる確率は激減するでしょう。元をたどれば同じなのに、ミカエルとミヒャエルだったりしますし。…ところでこの系統、ミシェイルマイケルも入りますよね、多分。ミシェイルの名前がもしマイケルだったら、僕ははたしてあの男にこうまで入れ込んだでしょうか。かなり疑問です。マイケルと聞いて僕が最初に思い出すのは、『ホワッツマイケル』のマイケル(猫)です。同様にジョルジュも英語にしたらジョージになるような気がしてならないんですが…。ちなみにジョージと聞いて最初に思い出すのは、「盗っ人ジョージ」です。わかる人いますか(ヒント:飛翔の神)。
ふと思ったのですが、ひょっとして、渾名をつけるような感覚でわざとに別の語圏の名前で呼んでいることもあるかもしれませんね。

とまあ、つらつら書いてきましたが、そろそろ第一の結論を。
「FE世界の連中は、同名の人間を苦労して呼び分けているに違いない!!」

もうちょっと続けてみましょう。
最初に女性の名前について触れましたが、FEに登場する女性も全て異なる名前が付いています。
女性を一人一人識別する気がマンマンと思っていいでしょう。
ローマ(特に上流階級)では結婚は政略結婚が当たり前だったようです。というか政略離婚(?)も当たり前でした。一夫多妻は考えになかったようで(愛人がたくさんいたりすることはあったようですが…)、有力者が血縁の娘を既婚者に嫁がせる時には、まず離婚させています。完全に男社会ですね。これじゃあ、女性を一人一人識別しようとしていないのも当然かなという気がします。というか、「どこそこの家門の女」であることだけわかればOKだったのでしょう。
FEに目を向けます。
FEの女性は強いですね。自分で戦いますし、恋愛の主導権を握ることも少なくありません。政略結婚もゼロではないでしょうが、そればかりではないような印象もあります。
女性に個性が認められていたということでしょう。
というわけで、第二の結論です。
「女性の名前が全て異なっているのは、女性の立場が強く個性も認められているFE世界では、それを強調する手段として実に妥当なものである!!」
…本気にしないようにしてくださいね。


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