注目のホープがアッサリとキャンバスに尻もちをついてしまった。2ラウンド後半、
右のガードが下がったところに、沼田の左フックを狙い打ちされたのだ。
ノンタイトルとはいえ、チャンピオンに挑む村田は、これがプロ入りわずか
3試合目。いくらアマチュアで活躍したとはいえ、世界戦も経験したことのある
沼田が相手では、荷が重いと見られるのも無理はない。
しかし、村田にはそんな冒険をさせてみたくなるほど、魅力的な素質があったことも
確かだった。
ダメージの少ないダウンではあったが、カウント8で試合続行に応じた村田は
さして動揺の色も見せない。無表情で沼田を迎え打ち、反撃の糸口を
さがそうとした。
冷静な村田とは対照的に、珍しくエキサイトしたのは村田である。
ホープの“踏み台”になってはたまらないという意識もあったのだろう。
おとなしい沼田が、ゴング後の村田のパンチに憤然と感情をムキ出しにした。
これが敗因につながったといえるかも
しれない。
3回、沼田はバッティングで右マユを切り、8回には頭の中まで切ってストップ
されたのだが、いってみれば自分から頭をぶつけにいって負けたようなものだ。
7回までのスコアは、各審判とも2,3ポイント沼田がリードしていた。村田も積極的に
左右フックを浴びせたが、6回には沼田の右アッパーをカウンターされ、
7回も左フックをアゴに受けてグラついた。村田はショートのカウンターなどの
小細工は知っているが、ガードの甘さ、パンチの角度の悪さなど、全体的に
ボクシングにぎこちないところがある。
ボクシング マガジン 1976年12月
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