世界戦の看板のない“世紀の一戦”がようやく実現した。日本バンタム級
の竜虎の戦いとあって会場は3000人の超満員。
この会場での世界戦以上の入りとも言われた。
試合前の予想では、磯上がどこまでねばり、村田を苦しめるかといったもので、
村田が有利。しかし、試合が始まり、先に仕掛けたのは磯上のほう。
腰を引いた独特のスタイルから左を出し右の強打を決めようと、じりじりと
追い上げる。磯上の右フック、アッパーの強さは定評があるだけに、
村田も真剣だ。磯上の攻撃を足と左でかわした。
が、磯上の右のロングフックが村田の顔面へヒットしたのである。
「これで面白くなるぞ」
リングサイドでこんな声が聞かれたが、勝利の女神が微笑んだのは
村田のほうだった。
2回になり、磯上の右フックで一瞬ぐらつき、どうなるかと思われたが、
村田の伝家の宝刀・右ストレートが出た。右フックで牽制しておいて、
切れ味鋭い右ストレートをアゴに直撃だ。磯上は腰を割り、ダウン。
3回になっても村田が受けたパンチは右フック1発だけ。右ストレートを
的確に決めて3度のダウンを奪い、村田が見事なKO勝ちを収めた。
村田はこれまでと一味違うボクシングだった。これまでオープン気味だった
右ストレートがまっすぐに出ること。それさえ出れば村田に敵はない。
チャンドラー戦、ピントール戦も右の打ち方が悪いのが王座を奪取できない
原因だった。
「その右ストレートをこの試合に備え特訓したんです。これからは、
なお磨きをかけ、世界奪取の武器にしたい」
|