006/ポラロイドカメラ
「ポロライドカメラで撮った写真ってさ、どうして下にこんなに余白があるか知ってる?」
さっき撮った写真をひらひらさせながら、サツキが言った。
「……さあ?」
その隣に座って、肩をすくめる俺。「デザイン?」
「ぶっぶー。正解はね、ここのー」そういって、余白を指差し、「とこにね、液体が入ってるの。現像するために必要な液体。それを入れるために、こんな余白があるのだよ」
「トリビア?」
「んー。でもないかな。あたしでも知ってることだし」
写真を見て、また振り出して、サツキはわらいながら言う。
「それ。振ることに意味あんの?」
「えー。そうだなー。ないなー。気持ちの問題ってやつ? ―――あ、もういいかな。ホラ、綺麗に撮れてるよ」
俺の前に差し出す写真。
わらったサツキと、どんな表情していいのかわかっていない俺。プリクラなんかでありがちな構図。写ってる当人が撮ったんだから、当たり前だけど。
サツキは鞄の中からマジックを取り出すと、余白の部分に日付を書いた。その後ろに、日付よりもやや大きめに、「6ヶ月記念☆」と書いた。
「女の子ってそういう記念にうるさいよな」
わらい混じりに言うと。
「うるさいんじゃなくって、それだけ大事にしてるってことなんだよっ」
反論された。ぷうっと頬を膨らませて。
「わかったわかった。ごめん」
言って、軽いキスをした。
―――というのは、3ヶ月前のこと。
写真は俺の手元にある。
となりにサツキはいない。
もう、此処に座ることはないんだろうな、きっと。
サツキとは別れた。些細な喧嘩だった。そう、些細な。
だけどそれでも、亀裂を入れるのは簡単で。亀裂が入れば関係は一気に弱くなる。
今手元に残っているのはこの写真だけ。
なんとなく引きずり気味なのは、俺だけ、なんだろうか。サツキは案外あっさりと次の恋愛にいそしんでいるかもしれない。
写真はまだまだ色褪せることなんかなくて、記憶もまだ、鮮明で。
(2004/01.11 782文字)
ポラロイドカメラのネタはテレビで仕入れ。
いやあ、モーニング娘。の番組が役に立つとは。
わかんないものですな。
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